健康寿命とは?長生きしたくない人たちの理由と、課題解決に向けた国や企業の取り組み

平均寿命が男女ともに過去最高を記録したという明るいニュースが厚生労働省より2017年3月に発表され、日本人の寿命の長さは国内のみならず世界的にも注目されている。100歳を超えても元気に生活をしている人をテレビなどで見かけることも珍しくなくなり、今や、時代は「人生100年」だ。しかし一方で、「長生きはしなくていい」と、長生きを否定的にとらえる人が増えているのも事実。その理由は、平均寿命と健康寿命の差、介護問題、年金問題などの将来への経済不安からだ。

健康寿命とは?

健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。2000年に世界保健機関(WHO)が提唱したのをきっかけに注目されるようになった。

単純に寿命そのものの長さを表しているのが平均寿命であるのに対し、健康寿命は、医療や介護を日常的に必要とせずに自立した生活ができる期間を指す。例えば寿命が90歳でも、80歳から90歳までの10年間は寝たきりで要介護だった場合、健康寿命は80歳ということになる。

健康寿命と平均寿命の差は10年前後

日本人の平均寿命の長さは世界トップクラスだ。今年3月には、日本人の平均寿命が過去最高を更新したことが話題となったが、平均寿命と健康寿命の差が大きくなればなるほど病気や介護の期間が長くなることを意味するので、平均寿命の延伸だけを見ても一概には喜べない。見るべきは、健康寿命と平均寿命の差だ。2013年時点の健康寿命と平均寿命の差は、男性は9.02年、女性は12.04年。長生きをしても10年前後は自立した生活ができず、病気や介護で不健康な毎日を送っていることになる。

画像:厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移」

都道府県別・男女別、健康寿命ランキング

最近の研究や調査では、住む場所や地域によって健康力が異なることが明らかになっており、食文化や地形の違いなどから、かかりやすい病気や寿命に地域差が見られることが知られるようになってきた。平均寿命や健康寿命も、地域差が見られる事例だ。次の表は健康寿命の都道府県別ランキング。男性は1位と最下位で2.67年の差が、女性は3.29年の差がある。

都道府県別 健康寿命ランキング(2015)
男性 女性
順位 都道府県 健康寿命 順位 都道府県 健康寿命
1 山梨 72.52 1 山梨 75.78
2 沖縄 72.14 2 静岡 75.61
3 静岡 72.13 3 秋田 75.43
4 石川 72.02 4 宮崎 75.37
5 宮城 71.99 5 群馬 75.27
6 福井 71.97 6 茨城 75.26
7 千葉 71.80 7 山口 75.23
8 熊本 71.75 8 三重 75.13
宮崎 71.75 9 福井 75.09
10 三重 71.68 10 大分 75.01
11 茨城 71.66 11 栃木 74.83
12 愛知 71.65 岐阜 74.83
13 群馬 71.64 13 新潟 74.79
14 鹿児島 71.58 14 富山 74.76
15 神奈川 71.57 15 神奈川 74.75
16 大分 71.56 16 長野 74.73
17 新潟 71.47 17 石川 74.66
18 長野 71.45 18 愛知 74.65
19 岐阜 71.44 19 青森 74.64
20 和歌山 71.43 20 千葉 74.59
21 埼玉 71.39 21 奈良 74.53
22 山形 71.34 22 鹿児島 74.52
23 栃木 71.17 23 鳥取 74.48
24 佐賀 71.15 24 岩手 74.46
25 北海道 71.11 25 熊本 74.40
26 岡山 71.10 26 北海道 74.39
27 山口 71.09 27 沖縄 74.34
28 奈良 71.04 28 和歌山 74.33
29 長崎 71.03 29 高知 74.31
30 島根 70.97 30 山形 74.27
31 滋賀 70.95 31 宮城 74.25
富山 70.95 32 佐賀 74.19
33 広島 70.93 33 福岡 74.15
34 鳥取 70.87 34 埼玉 74.12
35 福岡 70.85 35 福島 73.96
36 愛媛 70.77 36 岡山 73.83
37 東京 70.76 愛媛 73.83
38 香川 70.72 38 島根 73.80
39 秋田 70.71 39 滋賀 73.75
40 岩手 70.68 40 香川 73.62
41 福島 70.67 長崎 73.62
42 兵庫 70.62 42 東京 73.59
43 大阪 70.46 43 徳島 73.44
44 青森 70.29 44 兵庫 73.37
45 京都 70.21 45 京都 73.11
46 高知 69.99 46 広島 72.84
47 徳島 69.85 47 大阪 72.49

           厚生労働省 第5回健康日本21(第2次)推進専門委員会 
           資料2「健康寿命の都道府県格差の縮小について」よりウーマンズラボ作成

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健康寿命と平均寿命の差が大きくなるとどうなる?

理想的な死に方は、寝たきりの状態になることなく死ぬ直前まで元気に生活する「ピンピンコロリ」だ。いくら長生きしても、寝たきりや病気で床に臥す期間が長いようでは、自分自身はもちろん家族など周囲の人たちまでもがQOLの低下に悩まされる。

介護や治療にかかる費用、介護のために止むを得ず家族が離職するなど、健康寿命が短いことが家庭内の経済問題に与える打撃は深刻だ。特に今の若い人たちは年金受給に対する不安を抱えながら長生きすることになる。そのような背景もあり、長生きに対して否定的な人たちは意外にも多い。特にその傾向が見られるのは若い人で、男性よりも女性に多い。

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健康寿命が短いことで懸念されるのはそれだけではない。社会問題化しつつある介護殺人についても考えなくてはいけない。果てしない介護の日々に心身が疲れ果て、普通の人がある日突然殺人者へと変貌してしまう介護殺人は全くの他人事とは言えない。大げさな言い方になるかもしれないが、健康寿命が長ければ家族を介護で疲れさせることもなければ殺人者にすることもない。健康寿命をより長く伸ばすことは、自分自身含め家族の幸せを考える上でも重要なのだ。

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健康寿命延伸に向けた取り組み

医療費削減や国民一人一人の健康寿命延伸に向け、現在、国が中心となって様々な取り組みが進められている。

スマート・ライフ・プロジェクト

スマート・ライフ・プロジェクトとは、「健康寿命をのばそう!」をスローガンに、人生の最後まで元気で健康で楽しく毎日が送れることを目標とした国民運動で、「運動」「食生活」「禁煙」の3分野を中心に、具体的なアクションの呼びかけを、プロジェクトに参画する企業・団体・自治体と協力・連携をしながら推進する、厚生労働省によるプロジェクト。

このプロジェクトの一環として平成24年に始まったのが、生活習慣病予防の啓発活動の奨励・普及を図ることを目的とした表彰制度「健康寿命をのばそう!アワード」。第6回目を迎えた今年は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険、ユニー、大分県など、企業や自治体などが受賞した。

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健康寿命延伸産業の創出

経済産業省では、「健康寿命延伸産業」の創出に向け、「健康寿命延伸産業創出推進事業(健康経営普及推進・環境整備等事業)」を実施する事業者の費用を補助、サポートしている。今年は次の6テーマに沿った実証事業を募集、10件の応募者が採択候補先として選定された。

  • 地域における現役世代(特に健診未受診者)の健康作り対策
  • 定年退職後の人生に備えたセカンドライフ対策
  • アクティブシニアに対するフレイル(虚弱)対策
  • 健康不安のある高齢者への在宅療養向け健康医療・生活支援対策
  • 人生の最終段階において心残りなく生ききるためのサービス創出
  • その他、上記のテーマには該当しないものや、該当テーマを1つに限定しにくいものであっても、健康寿命の延伸や地域包括ケアシステム構築における課題解決に資するもので、社会的な波及効果が期待される事業

都道府県の取り組み

各都道府県では、健康日本21(第2次)に基づき、住民の健康増進の推進に関する施策についての基本的な計画として「都道府県健康増進計画」を立てている。健康日本21(第2次)では、生活習慣病や身体活動、口腔の健康など各種健康に関する目標を立てており、その中の一つに健康寿命の延伸と都道府県間の健康格差の縮小を掲げている。

各地域の健康問題を反映した内容が盛り込まれているので、都道府県によって力を入れている項目は異なる。特に注目したいのは平均寿命が男女ともに1位の長寿県、長野県。「長生き」を実現した長野県は今後の目指すべき姿を「健康で長生き」とし、「『健康長寿』世界一を目指して」をスローガンに掲げ各項目で長野県独自の健康目標を立てている。各都道府県の健康増進計画はコチラ

企業の取り組み

各企業も、健康寿命をキーワードにした商品やサービスを展開している。高齢化が急速に進み、さらに人生100年時代と言われる今、健康寿命の重要性はますます高まっていく。「長生き不安」を抱える生活者たちの健康寿命延伸ニーズに応える商品・サービスの登場が強く望まれる。

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