増加する孤独死 年間で推計3万人へ突入(3/3)

孤独死の予防に向けた対策・サービス事例

増加する孤独死に対応したサービスが増えている。孤独死予防のための取り組みをはじめ、万が一孤独死が発生した場合の保険も登場。

国・地域

行政による対策も進められている。自治体の取り組み例は以下。

【声かけねっと!】宮城県栗原市

郵便配達、水道の検針など、業務上定期的に利用者宅を訪問する事業者と協定を締結し、栗原市に居住する要保護世帯等に対し、訪問時に励ましの声がけを行い孤独感の解消を図るとともに、要保護世帯の異変を発見した場合に各総合支所に連絡を行っていただく事業。現在24事業所と締結中引用:厚生労働省「取組事例一覧」

【IP電話での見守り】福島県矢祭町

平成23年度に本町で導入したIP電話を使用し、週1回、高齢者の独居者に対し、タッチパネル方式の画像を送り、高齢者が健康状態を回答する。回答がない場合など、社会福祉協議会のヘルパーが自宅を訪問し、孤立死の発見、日々の安心した生活に寄与している。 その他に、先進的、先駆的な事例はない。引用:厚生労働省「取組事例一覧」

センサーで見守り 〜独居高齢者の賃貸入居問題を解決〜

NTT西日本は、高齢者見守りサービス「スマートルームみまもり」をトライアル実施。同サービスは、ドア開閉センサーをトイレや玄関といった日常的に使う2カ所に設置。一定時間以上ドアの開閉が検知されない場合は、アラームが鳴る。アラーム発動後も高齢者本人と連絡がつかない場合は、家族や管理会社へ通知され、事故や孤独死を未然に防ぐことができる。

孤独死防止アプリ 〜残されるペットや小さい子どもも守る〜

一緒に暮らすペットやシングルマザーの子どもを守るための、孤独死防止アプリ「リンクプラス」も登場。このアプリでは、スマホのタッチ操作を感知して一定時間操作しなかった場合、外部にE-mailでメッセージを送信。孤独死の防止だけでなく、大切なものを守るため外部に異変を伝えることを目的に開発された。孤独死によりペットが犠牲になるケースは後を絶たない。飼い主が亡くなってしまったペットたちは飢えて共食いするケースが多く、凄惨な現場となって発見される。孤独死の先には一緒に暮らすペットの死も待ち構えている。

孤独死保険 〜賃貸住宅向のオーナー向け〜

孤独死が発生した場合、滞納家賃のほか特殊清掃のためのクリーニング代や遺品整理費用などがかかる。そんなリスクを回避するために最近では「孤独死保険」が登場。賃貸住宅の入居者自身が入る「入居者型」と、家主や管理会社が契約する「家主型」がある。

東京海上日動火災保険

家主型の孤独死対策として「家主費用補償特約」を発売。賃貸住宅内で孤独死が発生した際に、家主が負担する家賃の損失や特殊清掃による原状回復までの費用、遺品整理費用を補償する。

あいおいニッセイ同和損保

賃貸住宅のオーナーを加入対象者とする「家主費用特約」を新設。賃貸住宅内での孤独死をはじめとした死亡事故によりオーナーが被る家賃収入の損失や、清掃・改装・遺品整理等にかかる費用を補償する。

損保ジャパン日本興亜

事故対応等家主費用特約」によって、賃貸住宅内での死亡事故に伴う家賃の損失を補償。また事故物件を賃借可能な状態にするための費用、火葬や遺品整理にかかる費用も補償している。

孤独死の悲惨な現実、記事・本

超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる

人生100年時代の新たな課題

孤独死は、超高齢社会を迎え単身世帯増加が加速する日本の新たな社会課題だ。回避するためには、日頃からの人との繋がりが欠かせない。SNSが普及し気軽に連絡がとれるようになったからこそ、コミュニケーション手段として直接顔を合わせることは少なくなってきている。家族だけでなく近隣住民や地域コミュニティーなど人付き合いの輪を広げ、気軽に顔を合わせられる“縁”をもつことが大切だ。

 

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