若者の恋愛離れは二極化?データと時代背景から読み解く恋愛価値観 (2/3)

恋愛離れは二極化?

現在のアラウンド20を堺に、今後恋愛離れは二極化することが考えられる。

アラウンド20は、若者の恋愛離れに終止符を打ち、少しずつ興味を回復か?

働き方改革の推進で今後、家庭やプライベートの時間を重視する生活者は増えていくことが想定される。AI・アニメ・ロボットなどバーチャル恋愛も抵抗なく楽しめる世代なので、バーチャル恋愛とリアル恋愛の両方を楽しむ女性が増えそうだ。

それ以降の世代は、恋愛離れは継続?

一方でそれ以降の世代は、「女性の社会進出」「男女格差是正」「女性活躍推進」「働き方改革」などの社会トレンドの中で経済力を身に着けてきた。女性自身に十分な経済力があれば恋愛や結婚に対するメリットは少なからずは小さくなる。仕事と家庭の両立でキャリアを諦めたり、趣味の時間を削ったり、悩みを抱えたり、忙しくなる女性たちをこれまでにたくさん見てきているからだ。十分な経済力があれば、人生を充実させるモノ・コトの選択肢が多いわけで、「自分一人の自由時間を大事にしたい」「好きなように生きていきたい」と“自分優先”で考えるのは当然かもしれない。

クローズアップ現代(NHK)は「恋人はいらないけど結婚はしたい」という「いきなり結婚族」について取り上げており、その中でタレントの春香クリスティーンさんは、恋愛を「無駄が多い」とコメントしている。

無駄が嫌なんですよね。結婚までのプロセスの間に無駄がいっぱいあるなというか。時間的にも、大人とかでも、何年もつきあって結局駄目だったっていう話を聞くと、やっぱり時間の無駄って嫌だなとか。あと、お金もかかりますし、恋愛って。お金の無駄も嫌だなと思いますし、私の場合、感情の無駄というか感情の起伏、いちいち喜んだり、落ち込んだりする、そういう問題が省けるという意味では(いきなり結婚というのは)利点もあるのかなと思いますね。(引用:クローズアップ現代「恋人いらないってホント?出現!“いきなり結婚族”」)

恋愛よりも、趣味やキャリアアップ、友達との時間など「自分らしく生きたい・自由な生き方を大事にしたい」願望が強い女性たちの恋愛離れは継続しそうだ。

恋愛離れの原因と恋愛離れ回復の理由

2000年以降、急激に進んだ恋愛離れのそもそもの理由は何なのか。バブルが崩壊し日本経済が不安定ななか生まれた現代の若者たちは、雇用不安や低成長、少子化の加速といった社会環境下で恋愛をしてきた。加えて、ソーシャルメディアが発達し情報がいつでもスマホから簡単に手に入る時代において、”コストパフォーマンス”という考え方も浸透。恋愛や結婚もコスパが重視され、金銭や時間のコストがかかる恋愛に若者は熱中しなくなっていった。現実的でドライな思考を持つ若者が「恋愛離れ」する原因は、社会の変化を追うことで見えてくる。

恋愛離れの原因

1.将来への低い希望が、恋愛・結婚意欲を低下?

内閣府が行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によれば、将来への希望についてのアンケート結果で「希望がある」と回答した日本の若者は61.6%と、海外と比較すると際立って低い。トップのアメリカ(91.1%)とは約30%の差が出ている。将来への希望を見出せないことが、恋愛・結婚に対する消極的な姿勢を生み出しているのかもしれない。

2.異性間の社会問題化(DV、ストーカーなど恋愛による女性側のリスク)

DVやストーカーといった社会問題の悪化もあげられる。近年のストーカー事案の相談等件数は高水準で推移しており、平成30年の暴力事案の相談等件数は過去最多(警視庁)。ストーカー事案における加害者と被害者の関係では「交際相手および配偶者」が約半数となり、恋愛のリスクが浮き彫りに。

3.働く女性の増加で、女性側の恋愛への価値観が変化

女性の社会進出が進み、女性は自身の収入を持ち自立できるようになった。それに伴い男性に依存する必要性がなくなり、趣味や自分の興味関心へ投資できるお金を持てるように。女性たちのオタク消費はその象徴といえる。恋愛より夢中になれることが増え、忙しくて恋愛の時間を捻出できないのに無理してデートの時間をつくろうとしたり、相手に無理して都合を合わせるよりも、自分らしく生きたいという願望が優先されるようになった。厚生労働省が行った「今まで結婚していない理由」を20~30代女性に聞いた調査によると、第3位にランクインしたのは「必要性を感じないから(31.6%)」だった。働く女性が増えたことで恋愛や結婚は必須ではなくなってきているようだ。恋愛離れとともに、結婚離れも進んでいる。

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4.コスパ重視世代

さとり世代以下は、あらゆることに対してコスパ重視の世代。恋愛は時間的にもお金的にもコストがかかり、必ずしも結婚まで結びつくとも限らないためコスパが悪い。

5.SNSの浸透で、人間関係に変化

SNSで常につながっている監視社会に生きるため、現代の若者たちは常に気をつかっている。異性よりも同性や同じ興味がある人と一緒にいる方が楽しいと感じ、わざわざ恋愛で余計に気を使いたくないというのが本音。恋愛に対し面倒だと感じている。

6.バーチャル恋愛の充実

アニメ、アイドル、ロボットなど、バーチャル恋愛にはまる女性が増えている。最近ではAR技術の進化によって、デジタルキャラクターが歌や踊り、トークまでこなすライブイベントも開催されている。

恋愛離れ回復の理由

しかし一方では、新成人の恋愛離れが回復している現状もある。その理由にはSNS疲れによる癒しを彼氏に求めたり、バーチャル時代だからこそリアルな人との関係に価値を見出したりと、情報化社会が加速した結果、仮想ではない現実空間に安らぎを感じ始めたことがうかがえる。

またSNSでの出会いが広がったことで、より趣味や好みの合う異性を見つけやすくなっていることも理由の一つ。SNSでは共通の趣味をもった人々で集まるネットワークが確立され、希望すればオフ会という形で実際に会うこともできる。出会う前から相手の趣味や嗜好を知ることができ、会社や周りの友人関係とは切り離されたライトな関係性であることも手伝って、“コスパ良く”恋人関係に発展しやすい。近年、多くの女性が安心して使うようになった恋愛アプリは、ネット上でコスパ良く、自分好みの恋人候補を“さっさと”見つけ出して、アプローチできる点が人気の理由となっている。

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