シニアマーケティング 事例・プロモーション・トレンド(2/5)

シニア女性の特徴

シニア市場の全体像がつかめたところで、次にシニア女性についての理解を深めよう。

「シニア女性のライフスタイル」の考え方

女性シニアマーケティングを考えるとき、「ライフスタイル」を想定すると戦略設計をしやすい。その際以下の3点について配慮しよう。

  • シニアを一括りにしない
  • 年齢を重ねるほど、ライフコースが多様化することを理解する
  • 年齢を重ねるほど、生活状態が多様化することを理解する

シニア女性といっても、60代前半と100歳代女性ではおよそ40年の開きがある。まずはじめに戦後生まれ/戦前生まれという違いがあり、これだけでも価値観の違いは大きい。高齢で40年もの年齢差があれば当然元気の度合いも異なる。シニア女性は一括りで考えないようにしたい。また女性のライフコースは年齢を重ねるほどに多様化していくことも忘れてはいけない。

10代・20代の若い頃は皆が一律同じようなライフコースを歩んでいても、30代でライフコースは一気に多様化し、その後も女性たちはライフイベントを迎えるごとに(例:離婚、夫との死別、介護の開始、子の独立など)ライフコースが多様化していく。そのため、生活行動・消費傾向・価値観・時間の使い方・趣味嗜好・資産などあらゆることが年齢の上昇とともに多様化する。

  • <例:10~20代前半>
    ライフコースの多様化がまだ見られず、ほぼ同じライフコースを歩む。
    ⇒10代後半は多くの女性が学生
    ⇒20代前半は多くの女性が就職
  • <例:30代>
    20代後半頃~30代は一気にライフコースが多様化。
    ⇒結婚する女性
    ⇒独身の女性
    ⇒専業主婦として子育て中の女性
    ⇒継続就業しながら子育てをする女性
    ⇒子育てが一段落つき、パート復職する女性
    など

さらに、女性シニアのライフスタイルを考えるときに考慮すべきは「生活状態」。貯蓄額(経済的余裕の有無)、世帯収入、家族構成、体の状態、住まいなどは個々で大きな違いがある。

  • <体の状態例>
    ・特に不調はない女性(自立している)
    ・持病があり通院している女性(自立している)
    ・要介護者
  • <住まい例>
    ・自宅(一人暮らし)
    ・自宅(夫婦二人暮らし)
    ・2~3世帯住宅
    ・介護付有料老人ホーム
    ・住宅型有料老人ホーム
    ・サービス付き高齢者向け住宅
    ・ケアハウス
    ・特別養護老人ホーム
    ・グループホーム

「シニア女性のライフスタイル」を考える際は、上記のように多様化していることを前提とし、「ターゲット女性がどのタイプか?」をまずは策定した上で、「ターゲットシニア女性のライフスタイルの策定」を行うのが望ましい。

シニア女性の情報収集の方法

「シニア層のデジタル利用率やスマートフォン所有率は上がっている」との調査結果が多く出ているため、あたかもシニア女性(特に60~70代)の多くがすでにパソコンやスマホなどのデバイス操作に慣れデジタルからの情報を使いこなしているように錯覚してしまう。いわゆる“東京型マーケティング”で考えるのではなく、日本全体・地域全体をならして俯瞰してシニア女性のデジタル市場を見てみると、必ずしも「デジタルがシニア女性たちに浸透している」と捉えることもできない。シニア女性のデジタル利用について見てみよう。

【デジタル利用意向】

中高年層の「健康情報の測定・管理方法」を見ると、デジタルよりも測定機の利用率が高い。

「安心して買い物するために信頼している情報源」に関しては、若い世代とシニア世代を比較すると、シニア世代に関しては「インターネット」が著しく低くなる。

デジタル利用者は確かにシニア層でも増えているが、「デジタル浸透度」については“まだまだ”だ。

【スマホ所有率】

NTTドコモモバイル社会研究所の調査によると、スマホの所有率は以下の通り。女性シニアのスマホ所有に関しては、娘の存在が大きい。娘が親に「孫の写真を送りたいから」「ラインしたいから」と言って、スマホへの買い替えを促し、スマホの選び方や使い方を娘が教えるケースが多いからだ。娘の有無、娘が近居かどうか、はシニア世代のスマホ所有率に影響力を持っていそうだ。

  • 60代:56%
  • 70代:31%

合わせて読みたい記事

【SNS利用率】

60代女性の主なSNS利用率は次の通り(平成29年版 情報通信白書 「主なSNSの利用率」)

  • LINE(23.9%)
  • Facebook(7.1%)
  • Twitter(5.2%)
  • mixi(0.6%)
  • Instagram(2.6%)

SNSを利用したい派、しない派の声(マイボイスコム調べ)

  • 【利用したい派】
    年をとって来たので社会とのつながりのため。(女性66歳)
  • 【利用しない派】
    時代と共に企業の宣伝などが多く、個人的につまらなくなってきた。(女性65歳)

最近は、60代以上で積極的にSNSを活用する女性が少しずつ増えている。以下二人の女性は、人気のシニア女性インスタグラマー。

 

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