データヘルス改革とは?2020年に実現する8つのサービスと工程表(4/4)

8つのサービスの各工程表

前述した8つのサービスは時間軸ではどのように進むのか。各工程表は「データヘルス改革で実現するサービスと工程表について(厚生労働省)」に掲載。

データヘルス改革に関する予算

データヘルス改革のために、2019年度予算案(データヘルス改革に関する平成31年度予算案)では721億円が計上された。これは前年度の 171億円に比べ、550億円の増額要求となる。2019年度に大きく環境整備が進むことが想定される。内訳は基盤制度開発で620億円のほか、医療・介護現場での全国的なネットワーク10億円、健康・医療・介護のビッグデータ活用で6億円、乳幼児期・学童期の健康情報で12億円、科学的介護の実現で5億円、がんゲノムやAIなど最先端技術で65億円。

データヘルス改革の課題と展望

関係者たちはデータヘルス改革の課題や、その先の展望についてどのように受け止めているのか。その参考になるシンポジウムを医療科学研究所が開催している。「産官学シンポジウム2018」でデータヘルス改革をテーマに取り上げている。

この中で、京都大学大学院教授の中山健夫氏は「使用可能なデータが研究のクエスチョンに応えられるかについて、データの価値は保証されていない」と、研究者の立場から課題を指摘。「データと研究の関係を再構築する創造性が求められている」と指摘している。

また厚生労働省の伊原和人氏は、レセプトデータについて、健康保険組合によるジェネリック医薬品軽減額通知サービスなどにより効果を生んでいると現状を説明。その上で「どのようにデータの分析を実際の健康の増進や医療費適正化などにつなげていくかがデータヘルス改革の大きな目標だ」と語っている。

慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏は「30年先の日本のあるべき姿を考えた上で、システムのデザインを変革する必要がある」と指摘。専門医制度と連動した臨床データベースNCD(National Clinical Database)を紹介し、「今後は予測されるリスクや必要な治療プロセスが医師にリアルタイムにフィードバックされることがICTによって可能になる」と展望している。

内閣官房の岡本利久氏は、データヘルス改革の中でも、特に次世代医療基盤法について、医療情報の提供は国の認定を受けた事業者に限定されることを説明。高度なセキュリティ確保体制をしいているほか、匿名加工されるため、利活用の際は個人が特定されることはないことが大前提だとした。さらに、それでも提供を望まない人は拒否することができる仕組みとしている。一方、製薬企業やアカデミアに対しては、積極的に参画し、希少疾患を含め、幅広い医療分野の研究開発を促進してほしいと要望した。一例として、AIを活用して医師の診断から治療までを包括的にサポートするソフト開発も可能性があるのではないかとした。

 

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