アンケート調査実施のコツ 基本の流れと調査票の注意点

アンケート調査は近年、多くの 企業に注目されているマーケティング手法のひとつで、市場や顧客のニーズを明確にするために行われる市場調査。企画開発、商品開発、販促方法設計、キャッチフレーズ開発などあらゆる場面でアンケート調査の結果が役立つ。最近は調査結果つきの情報は各種メディアに取り上げられやすいという理由から広報活動の一環としても頻繁にアンケート調査を実施する企業が増えている。

アンケート調査実施の流れ

アンケート調査を行う際は入念な事前準備が重要。事前にどこまで企画して準備できるかで、アンケート調査によって得られる回答の質、つまりマーケティング戦略に活かせる内容の回答を得られるかかどうか?が決まるためだ。

(1)アンケート調査の事前準備

  • 目的に応じて収集するデータの方向性を決める
    アンケート調査には定性調査と定量調査の2種類があるので、どちらを実施するか、目的にふさわしいアンケート調査の種類を決める
  • なお、本番のアンケート調査を行う前には、事前アンケートを行う
    事前アンケートとは、本調査の前に対象者を抽出する目的で行うアンケート調査のことで、条件に合致した対象者を絞り込み、目的に即した情報を集めやすくするために実施する

(2)調査票の作成

  • 調査票の作成
    調査票とは、アンケートの設問や回答項目を記載したものでアンケート用紙とも呼ぶ。調査票を作成するときのポイントは、求める回答が的確に得られるよう、“理解しやすく、回答しやすい設問”を作成すること。曖昧な質問だったり、選択肢が適切でないと、欲しい回答が得にくくなるので注意しよう。また、回答の選択肢が多いと、迷わせてしまったり面倒を感じさせてしまうため、適当に回答される恐れもある。選択肢は増やしすぎないようにしたい。質問数が多いのも離脱率が高くなる可能性があるので質問数にも配慮を。

(3)アンケートの実施と集計

  • 実施と集計
    調査票が完成したら、対象者を集めてアンケートを実施。アンケートが終わったら、 調査結果を集計してレポートを作成する

定性調査と定量調査の違い

アンケート調査には、定性調査と定量調査の2つの調査手法があり、それぞれ実施方法やメリットが異なる。

定性調査と定量調査の違い

【定性調査とは】

定性調査の意味

定性調査とは、対象者の個人的な意見を知るために行われる調査方法のこと。商品やサービスなどに対する意見や感想などを、より深く知りたいときに選択される手法であり、自由回答できるタイプのものが多い。

メリット

数量では表せない対象者の具体的な意見を知ることができる。たとえば対象者から対面で意見を聞けば、表情や声色まで含めたリアルな声が得られる。特に改善点を聞き出すのに向いている。

デメリット

デメリットは多数の対象者からの意見を集めるのが難しいこと。定性調査を行うには、対象者に会場へ足を運んでもらったり行動を観察する必要があるため、一度に調査できる人数が限られるからだ。具体的な改善策などをユーザーから引き出したいときには有効な手法だが、対象者が多い方が適している調査(例:大人数を対象に、ある事柄に対して“傾向”を知りたい場合など)には向いていない。

定性調査の種類

インタビュー調査

  • 対象者を会場に集めて直接意見を聞く方法
  • マンツーマンで行う「パーソナルインタビュー」、数人の座談会形式で行う「グループインタビュー」が代表的
  • グループインタビューでは、モデレーターと呼ばれる司会者が場を進行するのが一般的
  • 参加者同士が話をすることができるので、活発な意見交換を期待することができるし、企業側が全く意図していなかった声を拾うことができる

行動観察調査

  • 対象者の行動を実際に観察する方法
  • 日常生活を観察する「生活行動観察」、消費行動を観察する「購買行動観察」などがある
  • 一人の対象者にフォーカスして、どのように購入しているか、どのように使用しているかを実際に確かめる方法。時間も労力もかかるが、“個の生活者”に焦点を当てるため詳細なデータを得られる

【定量調査とは】

定量調査の意味

多数の対象者を集めて全体的な意見を知るために行われる調査方法のこと。対象者全体の傾向を掴みたい場合に選択される。回答する際は、あらかじめ記載されている選択肢の中から、一つまたは複数を選択するパターンが多い。

メリット

膨大なデータを集めることができることと、アンケート調査の結果を数値化して分析できることがメリット。対象者の全体的な動向や、共通する傾向を把握しやすい。たとえば、ある価格が妥当かどうかをリサーチする場合は、できるだけ多くの対象者にアンケートを行い、高い・安い・適切と感じる人の割合を出すことが必要だ。そのようなケースで定量調査を活用できる。あるターゲット層の全体的なニーズがどこにあるのかを調べるときにも有効で、ランキング形式でグラフ化すれば、ユーザーがどんなものを求めているのかをひと目で把握することができる。また、毎年同じアンケート内容で実施すれば、ある年とある年の間の変化・推移を読み取るデータにもなる。

デメリット

対象者一人ひとりの具体的な意見を知ることが難しいのがデメリット。定量調査は対象者の人数が膨大であるため、一人一人の詳細までは確認することができない。たとえば、ある商品を「好き」と答えた人が「嫌い」「どちらでもない」と答えた人よりも多いとしても、なぜ好きなのか、どこが好きなのかまではアンケートからは判断できない。定量調査は、あくまでざっくりと全体の傾向を把握するのに向いている。

定量調査の種類

会場調査

多数の対象者を会場に集めて同一条件で調査する方法。会場に集まった参加者に対して一斉に調査を実施する「ギャング・サーベイ」のほか、参加者に対して個別に調査を行う「CLT(Central Location Test、会場テスト)」という方法もある。対面調査よりも手間をかけずに多くのデータを集めることができ、かつ対象者の反応をリアルに見ることができる。

電話調査

対象者に電話をして調査する方法。

インターネット調査(Web調査)

Webサイトやメールでアンケート調査を行う方法。インターネット調査では、ネット上でアンケートを完結させることもできるが、PDF資料をダウンロード可能なかたちでホームページなどに用意・提供し、回答後、郵送やeメールで返送してもらうという方法を取ることもある。

ホームユーステスト(HUT)

対象者の自宅に商品の無料のサンプルを郵送し、実際に使用してもらった後にアンケート調査を行う方法で、化粧品などでよく使われている手法。自宅(home)で使う(use)テストという意味。改善点のあぶり出し、消費者からの評価ポイントの発見、評価されている理由の把握が可能。

訪問面接調査

調査員が対象者の自宅に訪問し面接形式で調査する方法。一人ひとりに聞いて回るので詳細なデータが得られるが、調査員のコストがかかることや、対象者側としては自宅まで来られることへの抵抗感も少なくない。一般的には、対象者に対する謝礼支払い金額が最も高くなるのは訪問面接調査。

調査票を作成するときのポイントと注意点

(1)簡潔でわかりやすい質問文を作成する

調査票は、対象者の属性に合わせて言葉遣いを調整する。

  • 若い世代や高齢者へのアンケートで難しい漢字を多用すると回答するのが面倒になってしまうので、読みにくい漢字はひらがなに置き換える
  • 専門用語は、一般の人でも理解できる言葉に置き換える。できるだけ平易な言葉に変えたほうが、対象者の誤解が少なくなり、より正確な調査結果を得ることができる
  • 1文をできるだけ短くして読みやすい文章にする
  • あいまいな質問はしない。具体的な質問をする

(2)レイアウトは見やすい画面構成にする

アンケート画面の見やすさも、重要なポイント。

  • 回答時のストレスが多いと、回答数が減少する可能性がある
  • 見やすさを重視して、文字や画像の表示サイズを調整する。たとえば小さな文字がびっしり並んでいると、見ただけで回答する気持ちが失われてしまう可能性がある
  • 画面設計では、アンケート調査票全体のページ数と現在のページ数を表示する。どこまで続くかわからないアンケートは、「あとどれくらい時間がかかるのだろう」と対象者を不安にさせるからだ。回答完了の目安を明白にすることで、アンケートからの離脱を防ぐ

(3)設問の量はできるだけ少なくする

  • 設問の量はできるだけ少なくする。設問が少ないほど、回答数の増加が期待できるため
  • 設問が多くて回答に時間がかかると回答者のストレス増加につながってしまい、回答率を下げかねない
  • 空いた時間に回答する人が多いため、なるべく短時間で済ませられるアンケートがベスト
  • 多くの設問が必要な場合は、アンケート調査を2回に分けて行うことで、回答のストレスを減らす

(4)設問は時系列に並べる

  • 設問の流れは過去・現在・未来の順番にするのが一般的。時系列の順に記憶を思い出したほうが、人は回答しやすいからだ。(例)商品購入のきっかけは?→商品購入後の感想は?→今後の購買意欲は?

女性をターゲットにしたアンケート調査のポイント

特に女性をターゲットにしたアンケート調査を実施する場合、女性たちのライフスタイルやライフコースについて配慮したい。今現在のライフスタイルやライフコースによって考え方や価値観、消費行動パターンが大きく異なるからだ。例えばグループインタビューを行う場合「既婚未婚、子どもの有無、専業主婦か有業主婦か、介護の有無、親の有無など」の項目でグループを予め分けることで、ライフスタイルやライフコースごとに明確な違いや傾向を導き出すことができる。

仮にライフスタイルやライフコースの分類をせずにグループインタビューを実施してしまうと、全く異なる意見が飛び交うため、傾向を把握することが難しくなる。「食に最も求める価値は何か?」というインタビューをした場合、専業主婦は「1円でも安いこと!」と答えるが、働く忙しいママは「時短食品であること」と回答するし、親の介護を担う女性なら「柔らかくて且つ栄養バランスに優れていること」と答えるだろう。このように、女性は歩むライフコースや今のライフスタイルによって「求める価値」が異なってくる。女性をターゲットにしたアンケート調査ではライフスタイルやライフコースまで配慮するようにしよう。

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