“職場のヘルスケア市場” はブルーオーシャン 商品・サービス続々登場
消費者向けのヘルスケア市場は完全にレッドオーシャン化したが、“職場の中のヘルスケア市場”はまだブルーオーシャンだ。いわゆる健康経営市場にあたるが、市場を観察していると今のところ参入が集中しているのは、健康経営支援のシステム系サービスやコンサルティングサービス。健康経営の導入・推進を目的に、ストレスチェックデータや健診データなどの管理・分析・効果検証・課題解決のプラン策定などができるシステムやコンサルティングを提供するもので、富士経済によると、健康経営支援システムの市場規模は65億円(2019年見込み)から2029年には88億円にまで拡大するとのこと。
健康経営市場というととかく目立つのはこの支援システムだが、今回の記事でスポットを当てたいのは、職場内でワーカーが仕事中に使用できるヘルスケアアイテム。健康経営に注目が集まり始めた2010年以降、ストレスチェック義務化や健康経営銘柄の選定を通じ、経営層や人事部でまず「健康経営」が広がったが、ワーカーレベルにまで浸透してきた今、これから需要が急速に高まるのは、仕事中に健康ケア・美容ケアが手軽にできる商品・サービスだ。消費者の自宅の中はすでに様々な企業のヘルスケア商品が入り込んでいるが、各企業の職場の中は隙間だらけ。まだまだヘルスケア商品・サービスが入り込んでいないブルーオーシャンだ。
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このチャンスを掴もうと早々に参入したのは、職場内の昼寝スペースを設計するオフィスの設計・デザインを行う企業や、健康セミナーやヨガプログラムを開催する福利厚生代行企業や派遣企業、健康弁当の宅配事業を行う企業などだが、最近は、消費者向けに販売している既存商品を企業向けの仕様で販売したり新発想で企業に提案するなど、市場の充実化が見られる。最近登場した各社の事例を見てみよう。
目次
オフィスでオーラルケア習慣を提案(サンスター&日本カルミック)
サンスターと日本カルミック株式会社の共同事業で企業に提案するのは、サンスターの液体ハミガキ(ガム・デンタルリンス)を利用した「オフィスの洗面所でオーラルケアの習慣」。電動サーバーを導入企業に無償で貸し出し、消耗品である液体ハミガキは購入させる仕組み。消費者向けに販売している商品を企業に設置できる仕様にしてサービス化した事例。
オフィスにスムージーと健康セミナーをお届け(キリンビバレッジ)
キリンビバレッジは、法人向けの福利厚生サービス「KIRIN naturals」を提供。野菜と果物のスムージと、導入企業の要望に沿った健康セミナーのセットを月額定額制で提供する。2017年から首都圏限定でテスト展開したところ、導入企業のワーカーのヘルスリテラシー向上に寄与できたことから、昨年より全国展開を始めた。
瞑想ポッドでパフォーマンス向上を(凸版印刷)
凸版印刷が今月から企業向けに提供するのは、瞑想ポッドと呼ばれるドームの中に入り、リラックスや集中など目的に応じたコンテンツに連動した音や照明の中でマインドフルネスができる空間。米国発の製品で、センシングに夜心拍測定との連携で効果を可視化することもできる。ワーカーの生産性を高め、企業の働き方改革の実現に貢献する。近未来的というか宇宙的というか、見た目のインパクトだけでも十分にワーカーの関心を集められそうだ。
座りすぎるとデスクが動いてお知らせ(イトーキ)
仕事中の長時間の座りすぎを防止するための上下昇降デスクを発売する企業が近年増えているが、イトーキはさらにその一歩先を行く「行動変容促進」までをサポートするサービスを提案。昇降デスクと、同社が提供するスマホアプリを連動させ、長時間座りすぎるとテーブルが自動で昇降しお知らせしてくれる(業界初の機能)。仕事に没頭し、ついつい座りすぎてしまう人に「あ!そんなに座っていたのか。そろそろ立つか」と行動を促せる。
タバコに代わる新しいリフレッシュ方法を提案(イコア)
ハーブとアロマを活用した商品開発や空間設計を行う株式会社イコアは、「オフィス森林浴」をコンセンプトに掲げ、企業に「タバコの代わりとなるリフレッシュ法」として、仕事中にアロマの香りをかぐことを提案。集中力を上げたい時、疲れてヘトヘトな時、不安を感じた時など、その時の体の状態や気持ちに合わせた香りを選べる。月額制での提供。
仕事中のストレス発散や息抜きの一方法として、昭和・平成ではタバコがワーカーの間で定着していたものだが、受動喫煙対策や禁煙ムードの高まりで、タバコでのリフレッシュができない時代に。そんな喫煙ワーカーのイライラなどをサポートするとともに、禁煙の後押しを図れるアイテム。
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