50代メイクは花盛り 充実化する情報・サービス(2/2)
50代女性対象のメイクレッスン 〜人気のメイク教室とアラフィーYouTuber〜
【スタジオgoメイクアートスクール】イキイキ過ごせるメイクレッスン(札幌)
メイクスクールの「スタジオgoメイクアートスクール」では、50代以上の女性を対象にしたメイクアップレッスンを開講(マンツーマンレッスンで、1回90分で3万5000円)。骨格分析、パーツバランス分析、印象分析など、理論に基づいた“自分に似合うメイク”をレクチャーする。
【メイクアンリミテッド】50代限定のメイクレッスン(東京/横浜/名古屋/他)
メイクアンリミテッドは、50代限定のメイクレッスンを開講。年齢・肌質に合った化粧品の選び方、シミ・シワ・たるみを補正するメイク方法をレクチャーする。
【You Tuber】アラフィー「YORIKO」さん
美容歴30年のYORIKOさんは、〝アラフィー〟のメイク術をYouTubeで紹介。チャンネル登録者数は2万8900人(2020年5月11日時点)で、再生回数が数十万のコンテンツも多数。
「マイナス10歳を作る朝の簡単メイク」は45万回、「目の下のクマ・たるみ・しわ隠せる?上手なメイク方法」は29万回の再生。低価格帯の〝プチプラ〟ブランドを特定してメイクする動画も人気。中には51歳の親友を実際にメイクアップするコンテンツも。
動画コンテンツなので、ウェブメディアや雑誌の記事で見るよりも、やはり格段に理解しやすく実践しやすい。
50代女性に愛されるメイクブランドに育てるには
50代女性の獲得は難しい
50代女性に自社のメイク化粧品を愛用してもらうには、この年齢特有の悩みを理解し、それをカバーできる商品づくりと訴求がもちろん必要だが、10代20代のように “トレンド!” と言うだけで飛びつく世代では無いので、50代の多くの女性に愛用されるブランドに成長させていくのはそう簡単ではない。例えば次のような理由が、50代女性の獲得を難しくしている要因。
- 長年愛用しているメイク化粧品があり、ブランドスイッチが起きづらい(メイクを変えたくても、何が合うのか?何の商品が良いかを考えるのが面倒)
- メイクに対するモチベーションが若い時よりも低下している(仕事、子育て、老後に向けた準備、親の介護、更年期障害などの健康問題など、メイクよりも考えるべきことが多いため、メイクを研究する優先度は低い)
- 30〜40年のメイク人生で蓄積された感覚と経験からくる、「自分に合う・合わないメイクを一番知っているのは自分」という思考から、新しいメイクやメイク化粧品への関心が薄い
- 若い時に習得したメイクから抜け出せず、古いメイクがルーティン化している
- エイジングに悩んでいる箇所もエイジングのスピードも個人差があるので、同世代の女性が「良い」と言っても、また「流行っている」と聞いても、自分ゴト化しづらい
- 新しいトレンドは若い女性から派生していくので、「トレンドを取り入れる=若作り、私には難しい」という印象があり、なかなか取り入れづらい
こういった理由から、50代女性の間でメイク化粧品のトレンドを起こすのはそう容易ではない。では、前述の背景を踏まえ、50代女性の好むメイクブランドはどういったものがあるのか。
50代女性の口コミから、人気コスメブランドをチェック
まず参考になるのが、化粧品の口コミ総合サイト「アットコスメ」の、年代別(1歳区切り)で口コミランキング商品をチェックできる機能。サイトのメインユーザーは20〜30代だが、40代以上の利用者も多く3割を超えている(@コスメサイトデータ資料,2019年6月より)。各メイク化粧品の口コミからは、「50代女性たちがチェックするポイント」が見えてくる。
情報収集行動に着目する
50代女性に愛されるメイクブランドに育てるには、商品そのものの開発に注力するだけでなく「情報収集行動」にも目を向けたい。
ポーラ文化研究所が行った「女性の化粧行動・意識に関する実態調査2017」では、15歳〜74歳の女性を対象に「メイク化粧品を買うときに参考にする情報」について聞いている。それによると、15〜49歳では「口コミサイト」と回答する割合が3〜4割だったのに対し、50代以上では全クラスターで2割を切る結果に。一方で、若い世代では割合が低く40代以上で高かったのが、「テレビ番組やテレビCM」「商品の新聞・雑誌広告」「メーカーサイト」。
3年前の調査のため、今実施したら多少違う結果になると思われるが、SNSや口コミサイトを参考にする若い世代とは異なり、マスメディアの影響が大きいことがわかる。ネット広告やSNS広告の台頭で、マス広告がもたらす消費行動への影響力やリーチ率は縮小しているものの、それでもやはり中高年齢の女性に向けて認知を図るならマス広告は今なお有力と考察できる。
以下図は令和元年版「情報通信白書(総務省)」による、年代別のテレビ視聴時間推移。50代、60代は他年代と比較してテレビ視聴時間が長いことが分かる。
ただ、マス広告施策を行えるのは資金力のある一部の大手企業や一部のブランドに限定されてしまう。マス広告が難しい企業の場合は前述の、ポーラ文化研究所の「女性の化粧行動・意識に関する実態調査2017」を参考にしてみては。50代女性への認知向上のヒントとなるデータが多数掲載されている。
ポイントは、50代女性をターゲットにするなら、機能性を打ち出すだけではなく、”50代女性特有の情報収集行動”にも着目すること。情報収集の行動については「【令和元年版】ICTサービスの利用動向(総務省)」が参考になる。
自分磨きに〝戻ってきた〟50代
今の50代は、若い頃に自分への投資を楽しんできた世代。その世代の子供が成人する時期を迎え再び自分磨きに時間とお金を割けるようになってきたことも、メイクへの情報ニーズが高まっている理由。
時間的制約や、メイクへのモチベーション低下などがマーケティングの障害になる年代ではあるが、「人生100年時代」ということは、50代女性の残りの人生は50年。今のところは、中高年のニーズは圧倒的に健康寿命延伸のニーズが高いが、残り約半世紀の人生を豊かな気持ちで楽しむために、中年期にいる女性の美容ニーズもこれから徐々に高まっていくはず。
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