話題沸騰の「フェムテック」実際のところ そもそも女性のニーズはある?
女性特有の問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」。ベンチャー界隈で盛り上がってきたが、昨年から今年にかけて状況は大きく変わり、大手企業の参入も始まった。
テレビや女性誌でも頻繁に見かけるようになり、百貨店や大手ドラッグストア内でポップアップストアがオープンするなど、女性たちが店頭で手軽にフェムテックに触れる機会も増えてきた。今やフェムテックは、トレンドセッターも業界も注目するホットなトレンドだ。
だが、女性全体で見ると実態はどうなのだろう。そもそもニーズはある?購入するつもりはある?それとも、見て楽しむだけー?SOMPOひまわり生命保険が実施した調査を参考に、フェムテック市場の可能性を探っていこう。
目次
フェムテックの認知率
「フェムテック」の言葉・意味の認知率、1.9%
20〜60代の女性1,000人に「フェムテックという言葉を知っていますか?」と聞いたところ、認知率はわずか1.9%だった。フェムテック関連の話題は盛り上がっているものの、生活者への認知は全く進んでいないのが現状だ。
- 聞いたことがあり、意味も知っている(1.9%)
- 聞いたことはあるが、意味はよく知らない(6.5%)
- 聞いたこともなく、意味も知らない(91.6%)
フェムテックサービスの利用率、26.4%
認知は全く進んでいないが、月経管理アプリなど女性特有の健康問題をケアするテクノロジーサービスの利用有無について聞いたところ、「使っている」と回答した女性は全体の26.4%だった。
「フェムテック」という言葉を知らないだけで、アプリを始め、実際に何かしらのテクノロジーサービスを使っているフェムテックユーザーはすでに約3割はいる、ということだ。以下は、各サービスの利用率。
- 1位:月経・生理にまつわる身体的な悩み(9.8%)
- 2位:精神的ストレス(7.0%)
- 3位:運動・食事・睡眠などの生活習慣管理に関する悩み(6.5%)
- 4位:月経・生理にまつわる精神的な悩み(6.2%)
- 5位:ダイエットなどの体型管理に関する悩み(5.5%)
- 6位:更年期、年齢を重ねて生じる女性ホルモンの揺らぎによる悩み(4.6%)
- 7位:乳がんを始めとする女性特有の疾患の予防、早期診断(3.3%)
- 8位:乳がんを始めとする女性特有の疾患の治療(3.1%)
- 9位:育児のうち子どもに関する悩み (3.0%)
- 10位:将来、妊娠を望んだタイミングで妊娠できるかという悩み(2.9%)
- 11位:妊活(今、またはごく近い将来に妊娠を希望している)にまつわる悩み(2.7%)
- 12位:出産、産後、母乳にまつわる悩み(2.4%)
- 13位:育児のうち自分に関する悩み (1.8%)
- 14位:避妊にまつわる悩み(1.2%)
- 15位:不妊治療にまつわる悩み(1.0%)
- 16位:その他(0.4%)
- 利用していない(73.6%)
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フェムテックのニーズ、有る?無い?
フェムテックへの高い期待値
フェムテックの認知率・利用率はまだ決して高くはないが、女性たちの期待値は大きいようだ。「スマホを活用した健康管理や妊娠予測などを含め、『女性のからだ・健康の悩み』をサポートするフェムテックについて、どの程度期待しているか?」と聞いたところ、約6割が「期待できる」と回答した。
フェムテックに求める健康悩み(ランキング)
では具体的に、女性たちはどのような健康悩みの解決をフェムテックに求めているのか?トップは生活習慣管理だった。フェムテックというと今のところ、月経・妊娠・セクシャルウェルネス関連が脚光を浴びているが、実際のニーズは、食事・運動・睡眠・ストレスといった生活習慣や老化領域の方が強い。
- 1位:運動・食事・睡眠等の生活習慣管理に関する悩み(41.2%)
- 2位:精神的ストレス(40.8%)
- 3位:更年期・年齢を重ねて生じる女性ホルモンのゆらぎによる悩み(40.3%)
- 4位:ダイエット等の体型管理に関する悩み(37.0%)
- 5位:乳がんをはじめとする女性特有の疾病の予防・早期診断(34.0%)
- 6位:月経・生理にまつわる身体的な悩み(32.7%)
- 7位:月経・生理にまつわる精神的な悩み(27.0%)
- 8位:乳がんをはじめとする女性特有の疾病の治療(25.4%)
- 9位:将来、妊娠を望んだタイミングで妊娠できるかという悩み(19.4%)
- 10位:育児のうち子どもに関する悩み(13.8%)
- 11位:妊活(いま、またはごく近い将来に妊娠を希望している)にまつわる悩み(12.7%)
- 12位:育児のうち自分に関する悩み(11.5%)
- 13位:出産・産後・母乳にまつわる悩み(10.5%)
- 14位:不妊治療にまつわる悩み(8.6%)
- 15位;避妊にまつわる悩み(6.7%)
- 16位:その他(4.9%)
フェムテックに求める健康悩み(年代別)
次に、フェムテックに求める健康悩みを年代別に見てみよう。年齢によってニーズが異なることがわかる。
フェムテックサービスに、お金を払う?
フェムテックへの期待値は大きいことがわかった。では、そのフェムテックサービスが有料だった場合、利用するつもりはあるのか?調査によると、有料サービスの利用意向率は分野によって差が見られた。避妊、不妊、妊活、育児、出産、生理関連の分野は利用意向率は低く、疾患予防・早期診断・治療、生活習慣、ストレス、更年期・加齢による悩みの分野で利用意向率が高いことがわかった。
- 1位:乳がんを始めとする女性特有の疾患の予防、早期診断(29.7%)
- 2位:更年期、年齢を重ねて生じる女性ホルモンの揺らぎによる悩み(29.5%)
- 3位:乳がんを始めとする女性特有の疾患の治療(28.3%)
- 4位:運動・食事・睡眠などの生活習慣管理に関する悩み(27.7%)
- 4位:精神的ストレス(27.7%)
- 5位:ダイエットなどの体型管理に関する悩み(24.6%)
- 6位:月経・生理にまつわる身体的な悩み(18.0%)
- 7位:月経・生理にまつわる精神的な悩み(15.6%)
- 8位:将来、妊娠を望んだタイミングで妊娠できるかという悩み(14.4%)
- 9位:不妊治療にまつわる悩み(14.1%)
- 10位:妊活(今、またはごく近い将来に妊娠を希望している)にまつわる悩み(13.7%)
- 11位:育児のうち子どもに関する悩み (13.0%)
- 12位:出産、産後、母乳にまつわる悩み(12.5%)
- 13位:育児のうち自分に関する悩み (12.4%)
- 14位:避妊にまつわる悩み(11.6%)
- 15位:その他(10.1%)
フェムテック、女性の4大ニーズ
現状、「フェムテック」の言葉が”通じる”女性は、健康・美容・ファッショントレンドに敏感なトレンドセッターに限定されているが、アプリやwebサービスを活用したヘルスケアに取り組む女性ユーザーは、考えてみれば何年も前からいる。つまりフェムテック需要はすでに昔からあり、言ってみれば、言葉が後から取ってつけられただけの話だ。
ヘルスケア企業の人たちと話していると、フェムテックを未知の新トレンドと捉えて情報収集や商品開発を検討している印象があるが、フェムテックという言葉そのものにこだわることなく、シンプルに性差ヘルスケアに基づいたデジタルデバイスやサービスの開発に取り組む、で良いのではないだろうか。
現状、フェムテックは月経・妊娠・出産・セクシャルウェルネス関連に集中しているが、本稿で見てきたように、女性が求めているのはもっとシンプルなことでもあり、生活習慣、疾患、老化、ストレス領域でのニーズが強い。この4領域で今後どのようなフェムテックが登場するか、動向に注目していきたい。
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