【女性ヘルスケア市場観測】夜のコンディショニング商品は多彩に、時差ボケ対策から歯磨きまで 〜カンタス航空、スーパーホテル、マツキヨココカラなど〜
女性ヘルスケア市場を日々ウォッチしている編集部が、各社の新商品・サービスから、市場の新たな動きやマーケティングの最新潮流を探るコーナー「女性ヘルスケア市場観測」。
今月の注目は「夜のコンディショニング」。睡眠の質や翌日のパフォーマンスを高めたいというニーズに、就寝時間を美容ケアに活用する「ナイトケア」への関心も加わり、夜の時間を心身を整える機会と捉えた商品・サービスが相次いで登場している。航空機内での時差ボケ対策、日曜夜の心理を捉えたホテル宿泊、心身を眠りへと誘う歯磨きなど、近年のアプローチは実に多彩だ。共通するのは、夜の時間や日常の習慣に新たな価値を見いだしていること。5社の取り組みから、商品開発と需要創出の着眼点を探っていこう。
目次
長時間フライトに睡眠科学を、光と食事で時差ボケ対策(カンタス航空)
オーストラリアのカンタス航空が2027年10月に就航を予定するシドニーとロンドンを結ぶ超長距離直行便では、睡眠科学を取り入れた新たな機内設備・サービスが導入される。シドニー大学との約10年にわたる共同研究を基に、照明・食事・身体活動などを一体的に設計。約20時間に及ぶ超長距離フライトに伴う時差ボケの負担を軽減し、到着後も良好なコンディションで過ごせるようにすることを目指す。
特徴的なのは、目的地の時刻に合わせた機内照明だ。覚醒を促す時間帯には青色成分を多く含む寒色系の光を使い、睡眠への移行時や目覚める際には、日の入り・日の出を模した暖色系の光を取り入れる。ビジネスクラスでは、体内時計の研究に基づく時間帯に合わせて乗客が食事時間を選べるサービスも計画。さらに、機内にはストレッチや水分補給ができる専用のウェルビーイングゾーンを設け、座席モニターでは食事や減光の予定を確認できる。
睡眠・光・食事・身体活動を一体的に設計することで、機内の快適性だけでなく、到着後のコンディションまでを航空サービスの価値に組み込んでいる。移動時間を、到着後の活動に備える時間へと転換する発想だ。(QANTAS「Reimagining the long-haul travel onboard experience with Project Sunrise」,THE UNIVERCITY OF SYDNEY「Sydney researchers design optimised cabin for long haul flights」)
日曜夜の憂うつを新たな宿泊需要に、翌週に備える「リセット泊」(スーパーホテル)
心身のコンディショニングは、休息やリフレッシュを提供する宿泊業界と相性が良い。近年は、疲労回復や快眠、心身の調整をテーマにした宿泊プランが、旅館やホテルから相次いで登場している。中でも目を引くのが、曜日特有の生活者心理を新たな宿泊動機に変えようとするスーパーホテルの着眼点だ。
同社は10月20日、日曜の夜をホテルで過ごし、翌週に向けて心身を整える宿泊プラン「サンデー・リセット泊」を発表した。11月1日から順次販売を開始する。週明けの仕事や学校を前に気分が沈みがちになる「サザエさん症候群」に着目し、日曜夜を休息とリフレッシュの時間に変える宿泊体験を提案する。プランには、睡眠をサポートするドリンクや好みに合わせて選べる枕、健康朝食などを用意。翌日は正午まで滞在できるレイトチェックアウトも付け、ゆったりと過ごせるようにした。
週明けへの憂うつという生活者心理を捉え、心身のコンディショニングを新たな宿泊目的として提案。既存のホテルサービスを組み合わせることで、日曜夜の宿泊需要の掘り起こしを狙う。
睡眠中のインナーに着目、夜専用商品で新たな需要を開拓(テンシャル)
リカバリーウェア「BAKUNE」を展開するテンシャルは10月21日、睡眠時の着用に特化した「BAKUNE ナイトインナー」を発表した。11月2日から発売する。従来のパジャマやルームウェアに加え、素肌に直接触れるインナーへと商品領域を拡大し、睡眠中の快適性と疲労回復を訴求する。
開発の背景にあるのは、就寝時のインナーに対する潜在需要だ。同社が全国の20〜60代男女5000人を対象に実施した調査では、パジャマや部屋着で寝る人の67.6%が、ブラットップや肌着などのインナーを着用しているものの、そのうち夜専用のインナーを使用している人は13.8%にとどまった。日中用のインナーを兼用する人が多く、寝返り時の突っ張りやごわつき、ずれなどに不快感を抱いている実態も明らかになった。
新商品は、就寝時の姿勢や寝返りに配慮した設計を採用。縫い目を外側に配置して肌への摩擦を抑え、吸放湿性の高い素材で蒸れを軽減する。特殊機能繊維による血行促進と疲労回復も訴求する。
枕やマットレス、パジャマなどに比べ、睡眠との関係で注目される機会が少なかったインナー。睡眠中の快適性という視点で捉え直すことで、快眠のためのインナー選びという新たな需要が生まれそうだ。
歯磨きを睡眠準備の時間に、刺激を抑えた夜専用ジェル(buyLab)
睡眠ライフスタイルブランド「shhn Dream Care Laboratory」を展開するbuyLab(東京・渋谷)が発売したのは、就寝前の使用に特化した「ノンミント歯磨きジェル」。開発のきっかけは、「寝る前に歯を磨くとミントの刺激で目が覚めてしまう」という生活者の声だという。歯磨きを、口腔内を清潔に保つ行為としてだけでなく、心地よい眠りに向けて気持ちを切り替える時間と捉え直した。
商品は、強いミントの刺激や泡立ちを抑えたジェルタイプで、ラベンダー、ゼラニウム、カモミールの3種類の香りを展開。虫歯予防やホワイトニングなどの機能性が重視される歯磨き用品市場で、「就寝前のリラックス」という新たな価値を打ち出した。化粧品を思わせるボトルデザインも特徴で、就寝前のリラックスタイムを演出する。
同社は今後、オーラルケアにとどまらず、睡眠に入る前の時間に着目したさまざまな商品を展開する方針。毎晩の歯磨きに「睡眠準備」という新たな意味を持たせ、既存の生活習慣を商品価値に結びつけた事例だ。
夜間美容に特化したサプリ、就寝前の手軽さを追求(マツキヨココカラ&カンパニー)
マツキヨココカラ&カンパニーは10月、プライベートブランド「matsukiyo LAB」から、夜間美容に特化したサプリメントシリーズ「BEAUSTER Sleeping+」を発売した。睡眠の質や日中のパフォーマンス向上への関心に加え、就寝時間を美容習慣に取り入れる「夜間美容」の需要に着目した商品だ。
全4商品にGABAを配合し、レチノール、プラセンタ、グルコシルセラミド、コラーゲンなどの美容成分を組み合わせた。成分の特性に合わせて、リキッド・ソフトカプセル・錠剤の3種類の剤型を採用。コラーゲンは飲みやすいリキッドタイプ、レチノールやグルコシルセラミドは必要な成分量を効率よく配合できる錠剤タイプとし、飲みやすさと配合設計を両立させた。さらに、1日の摂取目安量や粒数を可能な限り抑え、就寝前の水分摂取量にも配慮。美容成分の配合だけでなく、夜の生活シーンに合わせて飲みやすさや手軽さまで追求した商品開発だ。
女性ヘルスケア白書2026 市場動向予測レポート
2026年度の女性ヘルスケア市場を予測する「女性ヘルスケア白書2026年度版 市場動向予測 ~健康トレンド・業界動向・女性ニーズ~」を発行しました。これまでにBtoC企業、BtoB企業、自治体、医療機関、マスメディア、教育機関など、さまざまな業種の方に広くご活用いただいている、恒例の人気レポートです。新規事業の企画・開発、マーケティング設計、販売戦略における意思決定にご活用ください
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