高齢者の「通いの場」、参加頻度が要介護リスクの低下や幸福感に関連
高齢化が進む中、介護予防の一環として、高齢者が参加する「通いの場」の普及が進められている。千葉大学の研究では、通いの場への参加頻度が高い高齢者ほど要介護リスクが低く、体操に交流を組み合わせたプログラムは幸福感の向上とも関連することが明らかになった。自治体の介護予防施策や、地域の健康づくりプログラムの設計・評価への活用が期待される。
通いの場への参加と要介護リスクの関係
千葉大学の井手一茂氏らの研究で、高齢者の「通いの場」への参加回数が多いほど、その後の要介護リスクが低くなることが明らかになった。研究成果は今年4月、国際学術誌『Discover Social Science and Health』に掲載された(SPRINGER NATURE Link「Community gathering places participation and later functional disability and happiness among older adults in Japan」2026)。
65歳以上1108人の参加状況を分析
高齢化が進む中、介護予防施策として地域の「通いの場」の整備が進められている。「通いの場」は厚生労働省が提唱しているもので、高齢者や地域住民が主体となり、介護予防やフレイル予防のために定期的に交流・活動する場。これまで、通いの場への参加は健康寿命の延伸と関連することが報告されていたが、参加頻度や活動内容、幸福感との関係については十分に検証されていなかった。そこで研究グループは、兵庫県西脇市に住む65歳以上の高齢者1108人を対象に約1年間追跡して取得したデータを解析。アンケート調査とチェックインシステムによる参加記録を用いて、通いの場への参加状況と、その後の要介護リスクや幸福感との関連を解析した。
参加頻度が高いほど要介護リスク低下、交流プログラムは幸福感向上
解析の結果、月1回以上通いの場に参加している高齢者は、参加していない人に比べて要介護リスクが有意に低く、幸福感も高いことが確認された。また、参加回数が多いほどその傾向は強くなり、特に月7回以上参加している高齢者では、将来の要介護リスクが低く、幸福感も高い傾向が認められた。 活動内容にも違いがみられた。体操中心のプログラムは主に身体機能の維持(要介護リスク低下)に寄与する一方、「体操にお茶・交流を組み合わせたプログラム」は、幸福感の向上と最も強く関連していた。
自治体の介護予防施策の評価にも活用できる可能性
研究グループは、「自治体が介護予防事業を進めるにあたり、チェックインシステムによる客観的な出席記録と、機能障害予測スコアや幸福度といった早期指標を組み合わせることで、効率的な高齢者支援が可能になる」とコメント。今後は、「より長期の追跡調査や、自治体が活用しやすい評価方法の整備を進めたい」としている。
【編集部おすすめ記事】
■フレイル予防のために何をしている?性別・年代で行動者率と認知率に差
■自分が要介護になったら誰に面倒見てほしい?最多は「介護施設の職員」6割
■高齢者ビジネスの事例・政策・注目市場と、シニア女性の意識や課題
■屋外より屋内のリスクが高い要介護者のケガ、原因は「つまずき・転倒・よろめき」
■女性ヘルスケア白書 市場動向予測2026 健康トレンド・業界動向・女性ニーズ

























