女性ヘルスケアトレンド
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認知症ケアの「うまくいった関わり方」を可視化、行動リストで質の底上げへ 大阪公立大学

大阪公立大学の田中寛之氏らの研究グループは、医療・介護職員が現場で有効と感じている認知症の人への関わり方を収集・分析し、「うまくいった関わり方(Good Practice)リスト」として整理した。研究成果は今年1月、国際学術誌『BMC Geriatrics』に掲載された。

認知症のケアでは、本人の尊厳や自律性を守りながら日常生活を支援することが重要。しかし、介護・医療の現場では忙しさや人員の入れ替わりにより、経験豊富な職員の「うまくいった関わり方」が共有されにくく、ケアの質にばらつきが生じるという課題があった。

そこで研究グループは、医療・介護職724人を対象にオンライン調査を実施。「認知症の人の状態が良くなった」または「落ち着いた」と感じた関わり方を、6つの生活場面(食事、起居・移乗、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーション)ごとに収集・分析し、79項目を抽出。専門家16人の評価を経て、最終的に72項目をリストとして確定した。確定した項目には、「目線を合わせる」「相手のペースに合わせる」「移乗前に痛みを確認する」など、日常のケア場面で実践可能な具体的行動を「うまくいった関わり方」など、日常的なケア場面で実践できる項目もあり、経験に依存しがちだったケアを、観察可能な具体的行動として可視化することに成功した。

研究グループは、「医療・介護職の経験知を、誰でも使える行動リストとして転換した点に意義がある」とコメント。「新人教育や研修プログラムなどに組み込んで活用することで、認知症ケアの質の底上げや標準化につながることを期待したい」としており、すでに社会実装に向けた取り組みも始めている。介護サプリ(兵庫・神戸)と連携し、ケア記録アプリに行動リストを組み込む開発を進行中で、利用者の状態に応じて最適な関わり方を即座に抽出・提示するAI機能の実装を目指している。

大阪公立大学 図:Good Practiceリストの活用例

【出典】大阪公立大学 図:Good Practiceリストの活用例

 

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