オーラルフレイルは心身能力と関連、「閉じこもり」を介した影響も示唆
WHOが提唱する「内在的能力」は、心の健康や認知機能、移動能力など、健康寿命を支える心身の能力を指す概念。東北大学の研究によると、この内在的能力は口腔機能の低下(オーラルフレイル)と関連するという。また、口腔機能の低下は外出や社会参加の減少を招き、それによる「閉じこもり」を介して心身機能の低下につながる可能性も指摘している。健康寿命延伸において口腔機能の維持が果たす役割に、改めて注目が集まりそうだ。
オーラルフレイルと心身能力の関連を検証
東北大学の小宮山貴将氏らの研究で、オーラルフレイルが内在的能力の低下(心身能力の低下)と関連し、その一部に「閉じこもり」が関与している可能性が明らかになった。研究成果は今年、国際学術誌『The Journal of Nutrition, Health and Aging』に掲載された。
口腔機能の低下と内在的能力の関係を検証
オーラルフレイルは、口腔内の機能が健康な状態と機能低下との間にある “早期の衰え” の状態を指す概念として知られている。一方、WHOが提唱する「内在的能力」は、個人が有する身体的および精神的能力の総合指標であり、健康寿命の評価概念として注目されているが、両者の関連やその経路は十分に検証されていなかった。
そこで研究グループは、宮城県・秋田県の65歳以上の高齢者692人を対象に、オーラルフレイル、舌圧などの口腔保健指標と内在的能力の関連性を検討した。オーラルフレイルは、咀嚼能力や嚥下機能、口腔乾燥などを評価する2種類の指標を用いて判定。また、内在的能力は、活力、移動能力、認知機能、心の健康、感覚の5領域について、それぞれ機能低下の有無を評価。加えて、食事の質や閉じこもりが、オーラルフレイルと内在的能力の関連にどのように関わっているかについても検討を行った。
閉じこもりや心の健康が口腔機能低下に関与
その結果、咀嚼能力や嚥下機能などオーラルフレイルを構成する要素の低下が多いほど、内在的能力が低い傾向が確認された。また、心の健康は他の領域と比べてオーラルフレイルとの関連が最も強かった。研究グループは、口腔機能の低下が外出や社会参加の減少を招き、それによる「閉じこもり」が心身機能の低下につながる可能性があるとみている。
生活機能維持のために早期対応を
結果を踏まえ研究グループは、「早期の口腔機能評価と介入が、個人の心身能力の維持に重要であることが示唆された」とコメント。また、口腔機能の低下は食事や会話、外出機会の減少を招き、閉じこもりを介して心身機能の低下につながる可能性があることから、オーラルフレイルへの早期対応が生活機能全体の維持に寄与する可能性を指摘している。「歯磨きなどの日常的な口腔ケアに加え、口腔機能のトレーニングを根付かせることが重要。そのためには、自ら実施できる口腔機能トレーニング方法や周辺機器の開発が望まれる」と提言している。
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