80代のネット・SNS利用率50%時代へ 急激に浸透した理由は?

80代以上のネット利用率・SNS利用率が今、大きく上昇している。ネット利用率は57.5%と半数を超え、SNS利用率についても42.8%と半数近くに迫る勢いだ(2019年)。特に2018年〜2019年にかけての上昇が著しく、さらに2020年はコロナ禍の影響もありさらに上がる見込み。どうやら、企業が思う以上に80代のデジタル利用は増えているようだ。

ネット利用率、80代以上で大きく上昇

最新版の「情報通信白書(令和2年版,総務省)」によると、2019年のネット利用率は全年代において2018年比増。特に70代と80代以上の上昇率が著しい。70代は1年で23.2ポイント上昇、80代以上は36ポイント上昇した。

  • 【70代】
    51.0%(2018年)→ 74.2%(2019年)
  • 【80代以上】
    21.5%(2018年)→ 57.5%(2019年)

80代以上のSNS利用率、42%

SNS利用率についても70代と80代以上の上昇率が大きく、やはりこちらも80代が著しい。2019年は半数近くが利用している。なお本調査におけるSNSとは、Facebook、Twitter、LINE、mixi、Instagram、Skypeなど。

  • 【70代】
    23.6%(2018年)→ 40.7%(2019年)
  • 【80代以上】
    16.9%(2018年)→ 42.8%(2019年)

80代以上のネット・SNS利用率、なぜ急上昇?

これまでは、ネット・SNSの浸透が特に緩やかだった80代以上。その下の世代にあたる、トレンドに敏感で新しいものを積極的に消費してきた団塊世代と比べると、焼け跡世代・昭和一桁世代・大正生まれにあたる今の80代以上の人たちは、派手な消費は好まず堅実的。年齢的なものもあるが、倹約意識が強く新しいものへの関心も薄い。

パソコンを使わずに仕事や生活をしてきた世代でもあるため、この世代のネット利用率・スマホ利用率の上昇を期待する声は薄かった。

だが前述の通り2019年の利用率は急に跳ね上がっている。これについて総務省に聞いたところ、「情報通信白書は動向調査を目的としており、分析までは行なっていないため明確な理由まではわからないが」とした上で以下の要素を挙げた。

  • SNSの利用者数が全体的に増えている
  • 家族や地域のコミュニティの影響

やはり家族や所属コミュニティの影響は大きいだろう。特に子や親戚が遠方に住んでいる場合、普段の安否確認として高齢の親にスマホを持たせ、LINEを連絡手段にさせるケースは増えている。孫とのコミュニケーションを目的に、ビデオ通話機能のあるLINEやスカイプの利用を始める祖父母もいる。

地域や趣味のコミュニティでも、スマホを前提にした連絡網を用意するところは増えている。イベントなどの開催日時の報告、情報の共有、仲間とのコミュニケーション、クーポン配信など、スマホがある生活の方が何かと便利でお得。その利便性の高さや情報へのアクセシビリティをきっかけに、あるいは所属コミュニティやその仲間のすすめで始める人は多い。

だがこれだけの理由では、2019年に利用率が大きく跳ね上がった理由としては乏しい。ここからはウーマンズ編集部の推察ではあるが、自然災害の発生による防災意識の向上が関係していそうだ。

2019年は大規模な河川氾濫・土砂災害、集中豪雨が頻発し、多くの犠牲者を出した。また近年は記録的な猛暑により、特に高齢者の死亡者数増加が問題視されている。1993年以前の熱中症による死亡数は平均67人であったが、1994年以降は平均492人、2010年は1,745人と激増している。さらに男女別・年齢別に見ると、死亡数最多は女性の80代前半。次に多いのが女性の80代後半と、高齢者の被害が目立つ参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル2018。特に80代以上になると、要介護・要支援ではなくても、若者のように機敏に動きづらくなる上に、高齢の配偶者の介護を担っているケースもある。

以前より増えた自然災害の犠牲になりやすい高齢の親や祖父母を心配し、家族がスマホを半ば強制的に持たせ、SNSの利用を始めさせた可能性は否定できない。

華やかなインスタ画像、80代女性の世界観

80代以上のSNS利用率が上がっていると言っても、既述の背景を踏まえると、連絡手段として使いやすいLINEが内訳としては圧倒的に多いと思われる。が、中にはインスタで華やかなファッションやメイクを披露する80代女性もいる。驚くなかれ、これがオシャレ最先端の80代女性だ。インスタ画像はこちら。彼女は人気インスタグラマーの木村木村眞由美さん。

80代女性向けに、ぼちぼちデジタルマーケも

80代女性というと「介護されている」「足腰が悪く非活動的」「美容・ファッションは卒業している」というイメージを持たれがちだが、平均寿命・健康寿命の延伸で、自立した生活を送る元気な後期高齢女性は増えている。

ぜひインスタで検索して見てほしいのだが、「#80代」「#80代ファッション」「#80代ヘアスタイル」「#80代ネイル」のハッシュタグで投稿されている画像は今や珍しくはない。これらは本人が自身のアカウントで投稿しているとは限らず、中にはネイルサロンやファッション系の法人がインスタマーケを目的に、または孫が自分の祖母を撮影・投稿しているものもあるが、いずれであっても、80代女性の元気な姿には驚かされる。

80代だからと言ってデジタルからかけ離れたクラスターとはもはや言えない。そろそろ80代向けに本格的にデジタルマーケを取り入れても良さそうだ。ただしデジタルデバイド問題は置き去りにしないように。

 

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