ジビエビジネスの実態・動向・事例(1/4)
ジビエ利用・ジビエビジネスが、国の推進が後押しとなり、広がっている。実際に外食や小売をはじめ、農泊・観光や学校給食、ペットフードなど国内での活用事例が増えている。女性たちの間では「低カロリー・高タンパク」という点がダイエットに良いと好評価で、ジビエ女子という言葉も登場。また、新型コロナの影響による外出自粛もあり、ネット通販でジビエを注文する人は増加傾向にある。近年国内でジビエが注目されている背景やジビエ利用の実態と合わせ、レストランの提供メニューや商品などジビエの活用事例を調査した。
目次
ジビエ利用、加速の背景と利用実態
ジビエとは?
ジビエ(gibier)とは、フランス語で「食材となる野生鳥獣」のことで日本語では「狩猟肉」と訳される。「今日はジビエ料理を食べよう」とか「ジビエを食べに行こう」といった使い方がされる。ジビエ料理に用いられる主な野生動物はシカ、イノシシ、野ウサギ、山鳩、真鴨、小鴨、尾長鴨、カルガモ、キジ、コジュケイ、カラスなどで、国内で特に食されているのはイノシシとシカ。イノシシとシカが特に食される理由は、野生鳥獣の被害のうち全体の約6割がイノシシとシカによるもので、この2種の捕獲頭数が大幅に増加しているからだ。
さらにここ数年で国内におけるジビエの認知が広がり、ジビエ料理を提供するレストランが増加。レストランのシェフが狩猟免許を持ち、自ら狩猟したジビエを提供するというスタイルの店もある。

Googleトレンド「ジビエ」
ジビエが注目されている背景
国内でジビエが注目されている背景には農林水産省の推進がある。農林水産省は農作物被害防止のために鳥獣の捕獲を進めるだけでなく、捕獲した鳥獣をジビエに変え、食材・外食・小売・観光・ペットフードなど、農山村の所得向上につながる地域資源として活用することを期待している。以下は農林水産省が公開している動画。
ジビエ利用の実態
国内のジビエ利用実態について。平成29年度の野生鳥獣のジビエ利用量は1,629トン。食肉として利用されている割合が75.5%、ペットフードとして利用されている割合が22.9%、その他が1.6%。食用として利用されている75.5%の中で、70.3%が食肉として流通販売されていて、そのうちの50%がシカ肉、19.9%がイノシシ肉となっている。