フェムテック市場どうなる?国内外の最新動向・課題・未来予測2021(3/4)

海外市場の動向

海外でも先進国を中心にフェムテックは一大ブーム。米国のビジネスメディアCB Insightsによると、メディアがフェムテックを取り上げた回数は2020年に過去最高を記録したとのこと。実際に各主要メディアが、様々なプロダクトや市場動向を解説している。

海外は国内よりもデジタル系フェムテックに強く、発想に富んだ多様なプロダクトが多い。また、中高年齢を対象にしたものや、医療的価値がより高いプロダクトが脚光を浴びている。いくつか海外事例を見てみよう。ローンチ前のプロダクトもあるが、ぜひ発想の参考に。

生理痛軽減ボディースーツ

ハンガリーのフェムテック企業「Alpha Femtech」が開発するのは、生理痛を軽減するボディスーツ。微振動や体への熱放射をすることで痛みを軽減するウェアラブルスマートウェアで、水着のようなデザイン。データはアプリに送信され、子宮内膜症の診断にも活用される。いつでもどこでも着用できるので、日常生活に支障をきたさない点も、ユーザー側の大きなベネフィット。

更年期以降の骨粗鬆症を予防

更年期・更年期以降は、女性は骨密度が低下し骨粗しょう症のリスクが上がる。その予防デバイスが登場している。米国航空宇宙局NASAで実証済みの技術を用いて開発したもので、振動による骨への刺激で骨量減少を抑える。効果は薬・運動に匹敵するという。

Marodyne LiV(独)が開発したのは体重計のような見た目のデバイスで、ユーザーは台の上に乗るだけ。Bone Health Technology(米)が開発したのは、腰に巻くベルトタイプ(以下動画)

 

更年期のホットフラッシュ、高速冷却

PRIDE CHILL(米)は、更年期に起きるホットフラッシュに着目した冷却装置を開発。冷たい空気を吸うことで体内が高速冷却され、ほてりを抑える。手の平サイズなので持ち運びも可能だ。米国の高齢者団体AARPが開催した、更年期特化のビジネスコンテストで受賞をした1社。(使い方は以下動画)

3Dプリンタで乳房再建

3Dプリンタを使った乳房再建術が、乳がん患者の3つ目の選択肢になる日が近い。海外の複数のベンチャーが取り組んでいる技術で、3Dプリントしたインプラントと自分の脂肪を乳房切除後の胸に埋めると、徐々に乳房が再建される。インプラントは1年で体内で消失する。

LATTICE MEDICAL(仏)もその技術を持つベンチャーで、2025年のローンチを目指している。

子宮頸がんを60秒で診断

Mobile ODT(イスラエル)が開発したのは、子宮頚がんを検出するためのAI医療機器EVA System。手の平に収まるスマホサイズで、診断までにかかる時間はなんとわずか60秒。検査したその場で結果がわかるのが、患者側のベネフィット。

患者のデータ管理、画像・ビデオのキャプチャ、電子医療記録への統合もでき、医療者側にもメリットがある。20カ国でサービスを提供中。

エイジ・フェムテック

こちらは女性専用のプロダクトではなく男性も使えるものだが、フェムテック領域にも関わる事例なので紹介しておきたい。

「Alcove(米)」は高齢者特有の健康問題に着目したVRで、ターゲットは高齢者。家族や社会とのつながりを維持・促進することで高齢者の社会的孤立や健康への悪影響を防ぐことを目的としている。海外ではエイジテックの領域で捉えられているが、男性よりも平均寿命が長い女性こそ必要とされるプロダクトであることを考えれば、その意味ではこちらもフェムテックと言えるだろう。

この事例のように、高齢者を対象にしたデジタルプロダクトは世界的に見ても例がまだ少ないが、ウーマンズラボ編集部では、高齢女性を対象にしたヘルスケアプロダクト、あるいは高齢女性特有の社会課題解決を図るプロダクトを「エイジ・フェムテック」と呼んでいる。

高齢女性をターゲットにする場合デジタルデバイド問題が最大の懸念事項となるが、Alcoveの事例を見ると、UI/UXの設計次第では可能性は十分にあるのでは?と感じさせる。

高齢化率が世界一の日本は、課題先進国。他国よりも高齢者に関する様々なデータや商品・サービス事例が豊富にあることを強みに今、国内でエイジ・フェムテックに成功すれば、その後の世界展開も夢ではない。エイジテックで女性に特化したプロダクトも、また、高齢者を対象にしたフェムテックも、今はまだ世界的にブルーオーシャン。ぜひ参入を検討してみては?エイジテックの一大ブームはもうすぐそこまでやってきている。

 

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