健康スコアリングとは?健康経営を目指す企業が知っておきたい概要(1/4)

健康経営に積極的に取り組む企業が増える中、新たに注目されているのが従業員の健康状態など「現状の見える化」を実現する「健康スコアリング」だ。

健康スコアリングの意味

健康スコアリングとは?

健康スコアリングとは、厚生労働省、経済産業省、日本健康会議(※1)が連携して、健康保険組合などの加入者の健康状態や健康への投資状況をスコアリングして、経営者に通知する取り組みのこと。企業と健保組合が従業員の健康に関する課題を共有することで、コラボヘルス(※2)促進し、従業員の病気予防・健康づくりの取り組みを活性化させることが目的。従業員の健康維持・増進により、企業の生産性向上や将来的な医療費の適正化に寄与することが期待される。
(※1)国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、民間組織が連携して行政の全面的な支援のもと、実効的な活動を行うために組織されたもの
(※2)加入者の病気予防・健康づくりを効果的に実施するために、企業と保険者が連携し一体となって取り組みを進めること

政府は「未来投資戦略 2017」(2017年6月閣議決定)において、以下のような方針を示した。

保険者のデータヘルスを強化し、企業の健康経営との連携(コラボヘルス)を推進するため、厚生労働省と日本健康会議が連携して、各保険者の加入者の健康状態や健康への投資状況等をスコアリングし経営者に通知する取り組みを、来年度から開始する引用:日本健康会議「健康スコアリング活用ガイドライン」

上記の方針に基づき、日本健康会議は健康スコアリングの詳細設計を検討し、2018年度から「健康スコアリングレポート」を各健保組合に通知している。

健康スコアリングレポートとは?

健康スコアリングレポートは、各健保組合の加入者の健康状態や医療費、病気予防・健康づくりに向けた健康教育への取り組み状況等について、全健保組合平均(全組合平均)や業態平均と比較したデータを見える化したもの。企業と健保組合が従業員の予防・健康づくりに向けた連携を深めるためのコミュニケーションツールとしての役割を担っている。

健康スコアリングレポートは、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」から抽出したレセプト(診療報酬明細書)、特定健康診査(特定健診)などのデータに基づき作成されていて、「レポート本紙」と「参考資料」に分かれている。

<レポート本紙>

レポート本紙は「特定健診・特定保健指導の実施率」「健康状況」「生活習慣」「医療費」について、健保組合の加入者全体のデータを全組合平均・業態平均との比較で示している。おおまかな傾向や健康課題の所在を把握できる。

  1. 特定健診・特定保健指導の実施率
    特定健診・特定保健指導の実施率について、厚生労働省は平成29年度実施分より全保険者の特定健診・特定保健指導の実施率を公表
  2. 健康状況
    特定健診の結果から「肥満」「血圧」「肝機能」「脂質」「血糖」の5項目について、リスク保有者(保健指導判定基準に該当する者)の割合を全組合平均や業態平均と比較
  3. 生活習慣
    特定健診の問診票の回答結果から「喫煙」「運動」「食事」「飲酒」「睡眠」の生活習慣5項目について、適正な生活習慣を有している者の割合を全組合平均や業態平均と比較
  4. 医療費
    健保組合の一人当たりの年間医療費、性・年齢補正後標準医療費の推移を掲載

<参考資料>

参考資料は、レポート本紙の各指標について、被保険者・被扶養者別、男女別、年代別のデータを参考データとして示している。レポート本紙で把握した傾向・課題について、企業や健保組合の実務担当者が、より詳細な分析・議論する際に必要なデータが記載されている。

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