健康スコアリングとは?健康経営を目指す企業が知っておきたい概要(4/4)
企業・健保組合が従業員の健康作りに活用できるツール・制度
企業や健保組合が従業員の健康づくりの取り組みを効果的に行うために、さまざまな支援ツールや制度が整備されている。「健康スコアリング活用ガイドライン」では、企業・健保組合が従業員の健康作りに活用できるツール・制度を紹介している。
データヘルス・健康経営を推進 コラボヘルスガイドライン(厚生労働省)
健保組合のデータヘルスと健康経営を推進してくための、コラボヘルスの考え方や推進方法、実践事例等をまとめている。
健康経営アドバイザー制度(東京商工会議所)
東京商工会議所では、健康経営を普及・啓発するとともに実践的な支援と、企業が取り組む上で中心的な役割を担う人材を育成する「健康経営アドバイザー(初級)研修」を実施。2017年8月からeラーニングで受講できるようになり、視聴後の効果測定で7割以上正答した受講者を「健康経営アドバイザー(初級)」として認定している。
データポータル データマッピング(日本健康会議)
日本健康会議は「予防・健康づくりの企画・実施を提供する事業者の質・量の向上のため、認証・評価の仕組みの構築も視野に、保険者からの推薦等一定の基準を満たすヘルスケア事業者を100社以上とする」という目標を掲げている。日本健康会議のWebサイトにおいて、各都道府県で基準を満たしているヘルスケア事業者を紹介している。
データヘルス・ポータルサイト
データヘルス・ポータルサイトは、「データヘルス計画のPDCAサイクルの標準化により、保険者相互の比較や保健事業運営のノウハウの体系化を実現し、日本のデータヘルスの推進を支援する」ことを目的とした総合サイト。データヘルス計画の運営を3つの視点から支援している。
健康経営銘柄、健康経営優良法人
経済産業省は、従業員の健康保持・増進の取組が企業の収益性を高めるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え実践する「健康経営」を推進。平成26年度から「健康経営銘柄」、平成28年度から「健康経営優良法人認定制度」を開始している。
後期高齢者支援金の減算制度
健保組合の保険者インセンティブである「後期高齢者支援金の減算制度」は、予防・健康づくりなど医療費適正化に資する多様な取り組みをバランス良く評価するもの。2018年度から特定健診・特定保健指導をはじめとする予防・健康づくりなどに取り組む保険者に対するインセンティブをより重視する仕組みに見直された。評価指標は、特定健診・特定保健指導の実施率に加え、がん検診、歯科健診の実施状況やICTなどを活用して本人にわかりやすく健診結果の情報提供を行うことなどを追加した。
健康寿命延伸に欠かせない「健康スコアリング」
「未来投資戦略 2017」は、「保険者には個人のレセプト・健診データが集まっているが、運動や食生活などの生活習慣の改善や、糖尿病等の重症化予防に向けた具体的取り組みに十分つながっていない」と指摘している。また、保険者が個人へ働きかけを促すインセンティブや、経営者が主体となり従業員の健康維持・増進を図る取り組みも不十分であると分析している。
そこで、予防・健康づくり等に向けた加入者の行動変容を促す保険者の取り組みを推進するため、保険者に対するインセンティブを強化している。健保組合・共済組合については、後期高齢者支援金の加算・減算制度の加算率・減算率ともに、段階的に引き上げて2020年度には最大で法定上限の10%まで引き上げる計画だ。また、協会けんぽについては2018年度からインセンティブ制度を本格実施し、2020年度から都道府県単位保険料率に反映する計画。
国は、健康管理と病気・介護予防、自立支援に軸足を置いた「新しい健康・医療・介護システム」を構築することで健康寿命をさらに延伸し、世界に先駆けたモデルケースとして一人ひとりが自信を持った“生涯現役社会”を実現させることを目指している。その実現にあたって、健康スコアリングは今後重要な役割を担うことは間違いないだろう。
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