日本の女性管理職比率 国際比較・都道府県別・産業別(3/3)
管理職昇進に対する女性の意識と課題
管理職に就く女性の数が少ない理由には、女性自身の意識も関係している。女性活躍推進を望まない女性たちも実は多く存在しており、「女性活躍推進を推し進めようとする国や企業」と「実際の女性のたちの意識」には乖離がある。
管理職昇進に消極的な女性たち
ソニー生命保険が、20〜69歳の女性を対象に行った「女性の活躍に関する調査2017」では、「バリバリとキャリアを積んでいきたい」と考える女性は約4割いるのに対し、「管理職に就いてみたい」と回答したのは2割未満と、仕事に対する意欲はあるものの、昇進には消極的な女性が多いことがわかった。
実際に、管理職に昇進した女性を対象にした2019年のアデコによる調査「女性管理職の意識調査」では、「自信の希望で管理職になった」女性は1割未満で、最多は「自身の希望ではなかったが、上司から打診があり快諾した」が6割、次に多かったのは「上司から打診があり、仕方なく引き受けた」が2.5割で、自ら積極的に管理職を希望していたわけではない女性たちの存在が浮き彫りとなった。
女性管理職を増やすために必要だと思う制度
同調査で、女性管理職の増加・促進に必要だと思う制度を聞いたところ次の結果となった。ライフステージに応じた柔軟な働き方を求める女性が多いことがわかる。
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女性管理職の比率向上における課題
日本の女性が管理職への昇進に消極的なのは、国や民間調査による各種調査で明らかになっており、その際たる要因として挙げられているのが「仕事と家庭の両立が困難になる」こと。女性の育児休暇や男性の育児休暇、介護休暇の取得が以前よりも容易になったとは言え、根強く残る性別役割分業意識から、女性側が家事・育児の家ゴトを主導するのが今なお一般的だ。
ベストなのは男性も家庭ゴトに女性と同等の責任を持つことだが、現実問題、女性(妻)が「今日(今すぐ)」望んでいるのは、男性(夫)が変わってくれることよりも、「仕事と家庭」を両立できること。女性管理職の比率を上げるのであれば、まずはワークライフバランスを重視した働き方や働き方の多様性を認める環境を社内で整備することが先決だ。
市町村・企業の女性管理職比率を確認できるサイト
ここでは、市町村や企業ごとの女性管理職比率がわかるサイトを紹介。定期的に実施される政府の統計調査や、企業と連携したデータベースから女性の社会参画の現状が確認できる。
市町村女性参画状況見える化マップ(内閣府)
内閣府男女共同参画局の主な政策の一つである「女性の活躍状況の見える化」では、全国の市町村別の女性の参画状況を確認できる。地図上から都道府県、市区町村までを選択すると公務員の管理職や自治会長に占める女性割合などが表示される。ほかにも「男性公務員の育児休業取得率」や「市町村議会における出産に伴う欠席規定の有無」といった女性の働きやすさを基準としたさまざまなデータがまとめられている。
女性の活躍推進企業データベース(厚生労働省)
厚生労働省は学生・求職中の人に向けた企業研究のサイトとして、企業が公表している女性管理職の割合や平均勤続年数、育児休業取得率といった女性の活躍状況に関するデータをまとめている。厚生労働省が推進する「えるぼし認定」や「くるみん認定」、「イクメン企業アワード」の認定状況や表彰実績も確認できるため、内側の取り組みだけでなく外側からの評価も含めた総合的な企業研究を行うことができる。
女性管理職比率に関する情報
政府目標にも掲げられる女性管理職比率の増加実現に向けて、各分野において現状の確認と課題の洗い出しが行われている。
働く女性の実情(厚生労働省)
厚生労働省は毎年「働く女性の実情」を公表している。労働市場における就業者や短時間労働者、家内労働者に至るまでの女性比率や、女性活躍推進法に基づく取組状況、働く女性に関する対策の概況までの三章構成。現状から取り組み、今後の課題までを流れで確認できる。
男女共同参画白書(内閣府)
内閣府が毎年6月に男女共同参画基本法に基づき作成している年次報告書。その年の時代背景をもとにメインテーマが決められる。令和元年となる今年は、人生100年時代を見据えて多様化するライフスタイルに着目した「多様な選択を可能にする学びの充実」。内容は男女共同参画社会の形成促進を主軸に、現状から施行済みのものと今後予定されるものまでの施策がまとめられ、女性特有の問題も細分化して掲載されている。
労働政策研究報告書(労働政策研究・研修機構)
労働政策研究報告書の第Ⅰ部「男女のキャリアと管理職昇進」の中で、女性の管理職の状況や意識調査についてまとめられている。女性の家族形成や初期職業キャリアの変化に着目し、男性との比較を行うことによって、女性の就業継続や管理職昇進といった社会進出をめぐる諸課題について言及している。
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