子宮頸がんの状況 〜罹患率・死亡率・生存率〜

【子宮頸がん予防啓発月間】
11月は子宮頸がん予防啓発月間。11月17日は、WHOの呼びかけによる「子宮頸がん撲滅世界一斉イルミネーション」が国内でも行われ、大坂城やあべのハルカスなどが、子宮頸がんをなくす活動のテーマカラーである「ティールブルー」にライトアップされた。

子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種の是非は、ちょうど今、社会的関心を集めているトピック。ワクチンによる健康被害を背景に2013年に積極的勧奨が中止されたものの、今月になり厚労省の専門部会が再開を了承。世論が再び二分される形で各メディアの報道が続いている。子宮頸がん予防啓発月間を機会に、子宮頸がんについて学ぼう。

子宮頸がんとは?

子宮にできるがんのうち、子宮頚部にできるがんが「子宮頸がん」で、子宮体部にできるがんは「子宮体がん」。子宮頸がんは子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、また、発見されやすい。早期に発見すれば比較的治療しやすく予後は良いが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が重要とされている。

進行すると血管やリンパ管を通って、肺など子宮から遠い臓器に転移することもある。参考:がん情報サービス

 

子宮頸がんの要因

子宮頸がんの多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関連している。HPVは性交渉で感染するが、多くの場合は感染しても免疫によって排除される。HPVが排除されないと、子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると考えられている。喫煙も、子宮頸がん発生のリスクを高める。

 

子宮頸がんの状況

子宮頸がんの罹患数は年間で約10,000人、死亡数は約3,000人。最新のデータをもとに、子宮頸がんの状況について見ていこう。

罹患数、罹患率(年齢別)

最新のデータによると、2018年の子宮頸がん罹患数は10,978(グラフ上段の赤棒)。女性のがん罹患数1位である乳がんの9分の1ほど。年齢階級別の罹患率は、20代以降で増加しピークは40代(グラフ下段)

 

死亡数、死亡率(年齢別)

2019年の死亡数は2,921で(グラフ上段の赤棒)、死亡率は年齢とともに高くなる(グラフ下段)

 

 

生存率

子宮頸がんの生存率は全がんの中でも高く、がんと診断されてから5年後の生存率を表す「部位別がん5年相対生存率」は、76.5%。ちなみにトップ3は、1位:甲状腺がん(95.8%)、2位:皮膚がん(94.6%)、3位:乳がん(92.3%)。生存率が最も低いのは膵臓がん(8.1%)

がん検診受診率

子宮頸がんの検診受診率は徐々に高まっており、2019年は43.7%。とは言え乳がん同様に未だ半数にも達しておらず、受診率が60〜80%の欧米と比べると日本はまだまだ低い状況だ。以下は国内の男女別がん検診受診率の推移。

 

 

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