60代女性の消費行動 健康&美容のために何を買って何を買わない?

(2024年3月更新)
60代女性の消費行動とはー?ライフコースの細分化がまだ見られない若年層ほどトレンド・ニーズ・価値観・消費行動が似通っていますが、ライフコースの細分化が進み価値観・資産状況・身体状態・家族状況(例:親の介護中、夫と死別・離婚して現在一人暮らし、子どもと孫の3世帯で暮らしてるetc)などが多様化・複雑化したシニア女性層に対しては「大量生産・大量流通・大量販売」といったマスマーケティングよりも「個々の多様性にきめ細やかに対応した生産・流通・販売」がマーケティングの基本になります。個の女性の「生活行動」「情報収集のリアル」「定期的に購入するヘルスケア商品・サービス」「購入をやめたヘルスケア商品・サービス」「ヘルスケア企業に対する不満」などに焦点を当てることで、デジタルリサーチやビッグデータではなかなか掴めない消費者インサイトを探ることが可能です。60代女性向けに健康美容事業を展開しているが「成果につながるマーケティング戦略が分からない」「60代女性の心理・価値観・消費行動が掴めない」「60代女性向けにこれから新規開発をするが、どんな商品やサービスを求めているのかが分からない」企業様におすすめの記事、イベントを本稿ではご紹介します。

60代女性を取り巻く市場環境

まずは国内の市場環境を確認してみましょう。

  • 2012年以降、消費者の半分はシニア層へ
  • 今後更に上昇する高齢化率(2015年の高齢化率は26.6%、2065年には38.4%に上昇)
  • 平均寿命の延伸で長生きする女性が増加(100歳以上の高齢者数は、昭和38年153人→昭和56年1000人突破→平成10年1万人突破→平成24年5万人突破→平成29年67,824人)

上記の事実を多くの企業が理解・把握し、シニア向けビジネスは商機と捉えているにも関わらず、国内市場全体を見渡すと、いまだにモノ・コト・情報・企業のマーケティングは現役世代中心です。女性ヘルスケア領域専門のシンクタンクとして活動する弊社ウーマンズには日々、多くの企業様からご相談をいただきますが、その多くはいまだに「シニア女性以外の女性層」です。その理由は、多くの企業にとって「現役世代向けマーケティングは(長年取り組んできているため)得意だが、シニア女性向けマーケティングは業界内でも成功例が少なく、難しい・分からない」ことが大きな要因になっているようです。

シニア女性向けマーケティングが難しい3つの理由

ではなぜ、若い世代と比較してシニア女性対象(60代~100歳以上)のマーケティングが難しいのか?その理由は主に3つあります。

1.デジタル利用率は高くなったようで実は期待するほどではない

SNS利用が活発な若い世代にはデジタルプロモーションをリーチさせやすく、ネット上に溢れる口コミ分析も比較的容易に行うことができます。また「若者至上主義」で経済が発展してきた国内市場ではマーケティング情報も豊富で、企業の成功事例も数多くあります。ところがシニア世代は、SNS利用率やスマホ所持率が以前より向上したとはいえ、実際はまだまだデジタルプロモーションのリーチが難しく、ネット上に書き込まれる口コミの少なさから口コミ分析も難しくなります。各社・各機関がシニア世代を対象にデジタル利用率を調査すると、「以前よりも利用率は向上している」という結果になりますが、ここには「ネット上でリサーチを行っているため、ネット利用に強いシニアたちが回答をしていることが前提になっている」というバイアスがあります。「スマホを持っているが、実際は電話とメール、たまに検索で使う程度で、現役世代ほどスマホを使いこなしているわけではない」という点も、見落とされがちです。また都市部以外の地方含めた日本全体で見ると、企業が思うほどシニア世代のネット利用率は上昇していないという事実もあります。60代のネット利用率は数年前と比較すると上昇はしていますが、まだまだ「アナログ派」のシニア層が多くいることを見逃してはなりません。今までの国内市場は「シニア対象」ではなかったため成功事例も少なく、マーケティング情報も不足している現状があります。数年前と比較すれば徐々に成功事例も増え、マーケティング情報も増えてきていますが、それでも圧倒的にシニア女性に関する情報が不足しています。そのため、「どのような価値観を持っているのか?」「どのようなモノ・コト・情報を好むのか?」といった消費傾向や生活行動を掴むことは容易ではなく、シニア女性を対象とした商品・サービスの開発・販売に苦戦する企業は今なお多く存在します。

2.年齢を重ねると、価値観は多様化していく

年齢を重ねるにつれ「自分の価値基準」が固定化され、価値観の多様化=消費傾向の多様化が進むことも要因です。例えば、子どもは同じようなライフコースをたどるため(保育園・幼稚園→小学校→中学校…)、全体でみると、およそ似たような価値観を持っていますが、仕事や生き方の選択、居住地などによって所属コミュニティ・収入状況・身体の状態が変化していく大人の場合は、それぞれがそれぞれの価値観を持っています。

3.ビジネスパーソンは、「シニア世代」を経験していない

ビジネスパーソンが「シニア世代」を経験していないため、「シニアのことが分からない」という点もシニアビジネスへの参入障壁となっています。

以上3つが、シニア女性のマーケティングを難しくしている主要因です。しかし、シニア世代がボリュームゾーンとなる今・今後の国内市場においては積極的にねらっていきたい層です。実際にウーマンズには「シニア女性のリアルな声を聞きたい」というご要望が多く寄せられています。100年時代元年を迎えた2017年からは特にその声が強まっています。シニア女性を理解するのにまず必要なことは、彼女たちの価値観を知ることです。弊社ウーマンズが実施する公開座談会や、調査報告、日々取り上げる記事では、ビッグデータ、デジタルリサーチ、ネットアンケート各種では見えてこない「個の生活像・考え方・消費行動」などに焦点を当てることで、企業の皆様に新たな発見や気づきを得ていただければと思っています。

 

60代女性の消費行動・意識を深堀りする

既述の通り、少子化の一途をたどる一方で総人口に占める中高年層の割合は男女ともに年々上昇しています。女性について言えば、α世代は女性人口のうちわずか6%(448万人)、Z世代は17%(1,143万人)で、50歳以上は51%(3,296万人)を占めていることから(2022年)、今や国内の圧倒的な消費パワーを握るのは中高年層です。そこで「60代女性向けのビジネス・マーケティングのコツ」が分かる記事をまとめました。定性情報、定量情報をまとめています。各社様の事業戦略にお役立ていただければと思います。

 

60代女性向け事業のうち、注目領域は?

続いては60代女性向け事業を検討するにあたり、事業化しやすい・マネタイズが早い・ターゲット女性たちの関心を惹きやすい事業領域について見ていきます。60代女性含めたシニア世代向け事業において、健康・医療・福祉は注目領域の一つでしょう。一般的に10~20代は「美容>健康」意識が強いですが、30~40代になると「美容と健康が並列」あるいは「やや美容より健康重視」の意識へ。50代になると「美容<健康」となり、60代以降になると「健康重視」となります(ただし健康と美容に対する意識は所得により変動)。下記グラフは、20~80代女性の健康行動者率を比較したもので、いずれの項目も年齢を重ねるごとに行動者率が高くなることが明らかになっています。

【画像】厚労省「2022年 国民生活基礎調査」を元にウーマンズラボ作成

健康・医療・福祉領域といえども、そもそも0次~3次予防領域のうちどの領域の事業にするのか、どのテーマを扱うか、対象不調・対象疾患は多岐にわたるため、一概に「この領域がおすすめです」と本稿で言及するのは難しいですが、その判断材料として下記2つのレポートとイベントをお役立ていただければと思います。
 

<レポート①>女性ヘルスケア白書2024 市場動向予測

弊社ウーマンズでは、毎年「女性ヘルスケア市場動向予測」を業界向けに発表しています。2024年度もウーマンズが市場トレンドを徹底分析し、キーワードを選定しました。今年度の女性ヘルスケアビジネスの指南書としてご活用ください。「女性ヘルスケア白書2024年度」のレポート詳細はこちら。

<レポート②>売れるフェムテックの「開発」と「販売戦略」

女性ヘルスケア市場の中でも2020年頃から一大トレンドとなっているのが「フェムテック」です。企業のみならず、国、自治体、医療機関、アカデミア、マスメディアも本領域へ続々と参入し、数少ない成長市場の一つとして今後も堅調な拡大が見込まれている市場です。現状、国内のフェムテック市場は10~40代女性を対象にしているケースが散見されますが、本来はボリュームゾーンであり、且つ健康問題が顕著にあらわれる50代、60代、70代向けの製品の方がビジネス性は高いと言えます。フェムテックの切り口から60代女性へアプローチしたい企業様におすすめなのが本レポート「売れるフェムテックの開発と販売戦略 17の障壁と対策」です。ぜひお役立ていただければと思います宇。「売れるフェムテックの開発と販売戦略 17の障壁と対策」の詳細はこちら。

 

<イベント>公開座談会プログラム(終了)

  • タイトル
    「60代女性、美容・健康のために何を買ってる?何を買わない?60代女性のヘルスケアの実態」
  • 概要
    ファシリテーター1名+60代女性モニター5名が登場。女性モニター5名が以下の内容についてディスカッションします。その様子をご参加者皆様がリスニングする形式です
  • 参加対象
    ・60代女性向けのヘルスケア商品・サービスの企画・開発・宣伝・販売のご担当者様
    ・上記企業様をクライアントに抱えるB to B企業のご担当者様
    ・60代女性の価値観や生活行動を知り、新しい気づきや発想を得たい方など

<プログラム内容>

【1】講座(ウーマンズ担当)…30分

60代女性のヘルスケア消費傾向とマーケティング戦略立案のヒント
自身や家族の健康管理意識が高い60代女性はヘルスケア消費が活発で、多少値段が高くても、一度気に入ってくれれば長く継続利用してくれる特徴があります。しかし同時に、消費経験が豊富な彼女たちの商品・サービスに対する“チェック”は非常にシビアで、若年世代のように、「流行ってるからとりあえず買ってみた!」「新商品をいち早く使ってみたい!」「SNSで話題になってて興味を持った!」という飛びつき消費やお試し消費はなかなか起きません。また、デジタル世代である若年世代と比べると、情報接触量が圧倒的に少ない上に新しい情報への感度は低く、さらに、60年以上の人生を歩んできたことで価値観は固定化しています。そんな60代女性たちの「新しいモノ・コトへの興味関心」を一様に引き出すのは簡単ではありません。この年齢になるとそれぞれがそれぞれの不調や病気を抱えており商品を見るときの角度が異なる点も、シニアマーケティングをひとくくりにできない理由です。彼女たちの“消費のツボ”は何なのか?マーケティングのポイントをお伝えします。

 

【2】公開座談会(60代女性モニター5名登場)
  • 価値観を探る
    60代女性世代の特徴って何?どんな思考を持っているの?
  • 所属コミュニティー
    オフライン・オンライン、それぞれ所属しているのはどんなコミュニティー?
  • 60代女性のトレンドを探る
    今ハマっていること、同世代の友達の間で流行っていることを教えて!
  • 情報収集のリアル
    信頼している情報源と信頼しない情報源を教えて!
  • 消費の本音
    “我が家の収入源・支出”を教えて!
    日々の暮らしの中で分類している”節約カテゴリー”と”贅沢カテゴリー”を教えて!
    出費を惜しまずに定期購入しているヘルスケア商品・サービスは?
    買わないorリピートしなくなったヘルスケア商品・サービスは?
  • 60代特有のヘルスケアの悩み・不便を探る
    「美容編」「健康編」「生活全般編」
  • 日々の暮らしのヘルスケアニーズを探る
    なくて困っているモノ・コトや、こんなモノ・コトがあれば嬉しい!を教えて!
    ヘルスケア企業にどんなことを求めている?改善してほしいことは何?
  • 消費者目線で企業へ“勝手に”アドバイス
    商品・サービスがたくさん売れるようになるために、企業はどんな工夫が必要だと思う?
【3】モニターに質問してみよう!企業からモニターへ質問タイム
【4】ディスカッション

開催概要・お申込み

<価格>お1人様¥49,800(税抜き)
<開催日時>2018年6月7日(木)13:00~16:15
<場所>東京都江東区青海2-5-10テレコムセンタービル20F 会議室
<お申込み>お申込みはこちら終了しました。開催報告はコチラ

 

主催・運営

■ウーマンズ(企画・PR担当)
女性ヘルスケア市場専門のシンクタンクとして「性差に基づいた女性特有のヘルスケア行動・消費・ニーズ」と「産学官動向」の調査分析を基礎業務としている会社です。女性ヘルスケア市場に特化して企業支援を行ってきた豊富な実績と、10年以上にわたり継続的に行っている調査・研究・分析により蓄積した知見・ノウハウを活かして、女性ヘルスケア事業を行う産学官の共通課題である「どうすれば、製品・サービスをもっと社会に流通させられるか?」のソリューションをご提供しております。事業内容は「コンサルティング事業/ビジネスメディア事業/MICE事業/企業向け研修事業/BtoB広告事業」。


 
■ラビッツ・コーコ(モニター管理担当)
人と人とのつながりと声を大切に、消費者と企業をつなぐことを専門に行うモニター管理会社。女性のモニターが7割。長きに渡り、マーケティングリサーチ・音声認識分野において、モニターを提供し、良いモニターとの評価多数。また、モニターが集まって行う、“ラビッツ会”を通してモニターとの交流を深め、「顔の見えるモニター」の保有に努めている。

 

補足:60代女性を理解できるおすすめ記事まとめ

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