新型肺炎で続くマスク騒動、だが国内のマスク対策派は4割未満

これほどまでに国内外で人々がマスクに着目したことはあっただろうか?日本でマスクの着用が一般に広まり出したのは、感染症やSARSの流行により空気感染の予防意識が高まった2000年代以降と言われているが、新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染が各国で広がっている今回はマスクへの関心は世界規模にまで及んでいる。アジアを中心に深刻なマスク不足やマスクパニックが起き、マスクの代替としてオムツやペットボトルを頭からかぶる中国人の姿が連日報道されている。ネット通販ではマスクが高騰し、普段は数百円程度の50枚入りのマスクが7,000〜10,000円という高値で販売される事態に(アマゾン,編集部調べ)。ついには政府は今月3日、業界団体に向け家庭用マスクの増産を要請した。

だが一方で、訪日外国人が多い東京や観光地であってもマスクを着用していない日本人は多数おり、普段の冬とさほど変わらないような印象さえ受ける。これだけ連日ニュースになっているにもかかわらずマスクを着用しない人々がいるのは、マスク着用派からしたら不思議に見えて仕方ないと感じるだろうが、”マスク不足” や ”マスク効果” に関する記事へのコメントやSNS上の声を観察していると、着用しない理由は「自身が感染した時に周囲へうつさないためにマスクをするのは大事だが、(自身の感染予防策としての)他人からの感染を防ぐための対策としては意味がない」との考えからきているようだ。

実際に厚労省のサイトでも、新型肺炎の感染予防対策としては「手洗い・うがい・アルコール消毒」を推奨し、マスク着用については触れていない。自身が感染した可能性がある場合はマスク着用を、としている。米国ウォール・ストリート・ジャーナルでもマスク着用を疑問視する記事を出しており、「WHOなどの専門機関の報告によると、社会環境下のマスクの効果については結論が出ていない」と述べている。咳やくしゃみによる大きな粒の飛まつは防げても、小さな飛まつはマスクの横から入り込む場合があるからだ。また、飛まつが付着したマスクをつけたり外したりしているうちに口元や鼻、目からウイルスが体内に侵入する可能性もある。つまりは、マスクである程度の感染は防げても完全に防げるわけではない、というのが現時点での答えのようだ。

とはいえ、ある程度の防護ができるのであればマスクを着用するに越したことはない。顔をよく触る癖がある人や体が弱い人は特にマスク着用による予防効果は見込めるし、危機意識が低くあちこちの物を触ったり口に入れてしまう小さい子どもにマスクをさせるのは意味がある。マスク一つで「感染を予防できる」と過信するのは危険だが、予防対策の一つとして徹底するのがベターだ。

最後にマスク着用による対策意識がうかがえる調査結果をご紹介。医療機関が行った新型肺炎への対応に関する調査で男女200人(20〜60代)に「新型肺炎の予防のためにマスクを購入したか?」と聞いたところ、購入したのは4割を切っており、6割の人は購入していないことがわかった。マスコミによる新型肺炎の連日の報道により深刻さを増している割には少ない印象のある結果だが、「マスク着用意味なし」を唱えあえて着用しない人がそれなりの数いることを考えると、納得といえば納得の結果でもある。

 医療法人社団SEC

出典:医療法人社団SEC

 

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