女性のセルフメンテナンス 心と身体編 (1/5)

ストレスケアへの関心が高まっている近年、自分で気軽に取り組める心と身体の「セルフメンテナンス」に意識的に取り組む女性が増えている。女性は男性と比較して感受性が強く、また、月経・更年期といった女性ホルモンの影響を受ける時期にいる時は心身のコントロールが難しく、女性は何かとストレスや疲れがたまりやすい。家ナカ消費の高まりも後押しし、自宅で取り組めるセルフメンテナンス関連の情報・商品・サービスは女性の心を掴みやすいが、具体的にはどのようなニーズがあるのか?

女性のセルフケアニーズ“セルフメンテナンス”とは

セルフメンテナンスとは

自分自身の心身の状態を点検・ケアし健康な状態を維持すること。「セルフメンテ」「セルフケア」ともいう。

高まるセルフメンテナンスのニーズ

セルフメンテナンスのニーズが高まっているのは主に以下3つの社会トレンドが関係している。

1.ストレス社会の到来

常にSNSで人とつながり、常に情報のシャワーを浴び、仕事や家事・育児・介護との両立で毎日が忙しいー。仕事の悩みや人間関係の悩みなど、ストレス社会の到来で心が疲弊しきっている女性は増えている。実際にストレス社会を反映するように、うつ病患者は増加している。厚生労働省の患者調査(平成29年)によると男性のうつ病患者数は49.5万人なのに対し女性は78.1万人で、男性よりも女性の方が多い。ストレス社会の到来で、女性たちは疲弊した心のメンテナンスに時間とお金をかけるようになっている。

2.疲労対策・疲労回復ニーズの高まり

働く女性の増加は、疲労対策・疲労回復ニーズを一気に高めた。“イクメン”が広がっているとはいえ、いまだに家事・育児・介護は女性が担うのが現状だ。

会社では「女性活躍推進!」とバリバリ働くことを求められ、家庭でも完璧な妻・母親を求められ、これでは休む暇が全くないのだから女性は疲弊する一方だ。そこで全年代の働く女性たちが求めるのは、単純な「癒し」や「ストレス緩和」ではなく、同時に「回復」までできること。癒された後に回復までできなければ、翌日・翌週から100%の力で頑張れないからだ。癒された後に回復までできる「身体メンテナンス」のニーズは大きい。

3.スポーツ女子の増加

スポーツをする女性が増えたことで、今後は運動後のリカバリーニーズが高まると考えられる。

女性の間では「#筋肉女子」や「たんぱく質」系商材が広く浸透し、男性と比較してスポーツ行動者率が低い女性にとっても運動は身近な存在となってきた。続く2019年は運動後のリカバリーに注目が集まりそう。2020年のオリンピック効果や健康志向の定着で運動を習慣化した女性が増えたことで、ニーズが「運動の習慣化」から「疲れを翌日に残さない」へ移行しているからだ。(引用:ウーマンズラボ「スポーツ関連市場、2019年は『リカバリー』に期待」)

女性が特にセルフメンテナンスをしたくなる時

セルフメンテナンスへの関心が特に高まるのは、生理前・生理中と、更年期症状が出ている時期。この時期は頭痛、腰痛、倦怠感、月経痛、吐き気、気分の落ち込み、肌荒れ、食欲増加など、心身に大きな負担がかかる一方で、日頃の過ごし方次第(=セルフメンテナンス次第)では軽減が可能だからだ。

例えば、1ヵ月の半分はしっかり運動をし半身浴も1ヵ月毎日続けた時は、しなかった月と比べて月経痛やPMSの症状がやわらぐことは多くの女性が実感している。クラシエが運営する情報サイト「Kampoful Life」が生理をラクにする子宮メンテナンス術として、「首、手首、足首、腰は冷やさない」「睡眠」「ストレスケア」を挙げている通り、日々の過ごし方(=セルフメンテナンス)の積み重ねが、生理や更年期症状に良くも悪くも影響を与える。

その他、加齢もセルフメンテナンスのニーズを押し上げる要素だ。加齢とともに疲労回復力が低下するためだ。

「加齢現象」という言葉があるように、我々人間は年齢を重ねていくと、いろいろな機能が変化し、多くは低下するようになっています。(略)疲労の場合は、本来「回復」という現象によって戻っていくわけですが、この回復という現象も、加齢とともに低下してしまうようになります。引用:「疲労を治す81のワザ+α(著:赤坂溜池クリニック院長 降矢英成, 読売新聞社大手小町編集部)」,p37

厚労省も推進、「心のメンテナンス」

厚労省は、ストレスを抱えた10〜20代向けに心のメンテを促すポータルサイト「こころもメンテしよう」を公開している。近年よく耳にするようになった「マスク依存症」は、メンタル疾患に起因しているケースもあり、中学生・高校生~20代前半の若い世代の割合が特に高い。心のメンテナンスは若い世代にも必要だ。

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