シーン別の「商品提案」で不満を回避 ハンドクリームの事例から考察
「どうすれば、もっと多くの女性たちに商品を買ってもらえるのだろう?」「関心を持ってもらえるのだろう?」。マーケターにとっての永遠の課題の一つだ。商品提案の方法を考える際に参考になりそうな調査結果があったのでご紹介したい。本稿では「ハンドクリーム」を事例に解説。
「機能性」を重視
多くの女性がハンドケアに意識を持つも、思うような効果を感じられていないことがPacific Communications(東京・港区)が行った「ハンドクリームの意識調査」でわかった(対象:20代30代の女性226名)。多くの女性がすでに常用しているハンドクリームだが、ニーズを満たしている商品は少ないのかもしれない。女性たちに「ハンドクリームを選ぶ際に重視していること」を聞いたところ、「価格」を抑えて最も多かったのは「機能性」だった。
- 機能性(76.1%)
- 香り / 価格(73.0%)
- メーカーやブランド(34.5%)
- デザイン(33.2%)
- 口コミの評価(31.9%)
- 家族・友人のすすめ(16.8%)
- 有名人のすすめ(11.5%)
- その他(2.2%)
次に、「ハンドクリームの使用後に、効果が感じられなかったことがあるか?」と尋ねたところ、約8割の女性が「効果が感じられなかったことがある」と回答。機能性を期待して購入したにも関わらず、実際にハンドクリームの効果を感じていない人は多いようだ。
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シーン別の商品提案で不満を回避
ハンドクリームは香りを重視した商品が多く、実際に調査でも女性たちが「機能性」の次に「香り」を重視していることがわかる。確かに香りつきのハンドクリームやボディクリームは人気があり、店頭でも女性たちが手に取りやすいが、本来の目的である「保湿効果」が感じられなければリピート購入は期待できない(ただしハンドクリームの利用目的が「香りづけ」であれば、「香りは良いけど、保湿効果が弱い」商品であってもリピート購入される可能性は高い。購入者本人が何を目的に購入してるか?により、商品に対する満足度が変わってくる点は注意)。
例えばハンドクリームは日中のニーズと夜のニーズに分けて考えるのが良いかもしれない。日中用は、自分自身のテンションを上げたり人前でフワッと香りを広げたいニーズに応えて「香り重視」のハンドクリームを提案。クリームが手から物へ移ってしまわないようにベタベタしないタイプが良いだろう。夜は「機能性重視」で保湿効果の高いハンドクリームを。就寝前なら、多少ベタつきがあっても気にならないし、香りが弱くても保湿効果が高ければ満足できる。
シニアから若者まで広い世代に愛用されている「ユースキンA(ユースキン製薬)」は、「薬品っぽい」香りがするため香りに関しては決して良いとは言えないが、保湿効果の高さからリピート購入する女性は多い。ユースキンAに代表されるように、保湿力が高いハンドクリームほど、無香料あるいは香りが弱い商品が多くなる。不満を持たせないためには「すべてのシーンで、すべての女性に役立つ商品」と提案するよりも、「デートや仕事、女子会などお出かけ前に使いたいハンドクリーム」「就寝前の保湿重視派に」といったシーンに合わせた提案が良いかもしれない。
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