女性ホルモンの知識が無い女性7割、健康行動者率は低い傾向に
PMSや更年期の諸症状など、女性特有の不調や病気を引き起こす女性ホルモン。女性たちの間でフェムテックやフェムケアへの関心が高まる中、女性ホルモンにまつわる情報が各所から積極的に発信されるようになったが、知識を身につけたり自身の健康管理に活用できている女性はまだまだ少数派のようだ。大塚製薬が実施した調査でわかった。女性ホルモンの知識の有無が健康行動者率と相関関係にあることも明らかに。
目次
調査概要
大塚製薬による啓発活動「女性の健康推進プロジェクト」が、35〜59歳の女性2,826人を対象に、「女性のヘルスリテラシー調査」を実施(2023年4月)。女性特有の健康課題や症状への対処の実態、女性ホルモンの知識の有無、健康行動などについて聞いた。
調査結果
女性特有の健康課題・症状に対処していない、6割
「女性特有の健康課題・症状に、どう対処しているか?」聞いたところ、セルフケアや医療機関の利用で対処をしている人は4割。6割が何もしていないことがわかった。
婦人科検診を定期受診していない、4割
続いて「定期的に婦人科検診を受診しているか?」聞いたところ、最多は「受診していない」で39%、次いで「定期的に受診している」が37%、「不定期だが受診している」は24%だった。婦人科検診の受診行動者率は5割弱にとどまることがわかった。受診していない人と受診している人、それぞれの理由は以下。
女性ホルモンの知識無し、7割
「PMSや更年期の諸症状など女性特有の不調や病気の根幹とも言える女性ホルモンについて知識があるか?」という質問には、7割が「知識がない」と回答。知識があるのはわずか3割だ。
女性ホルモンの知識がないと、健康行動が起きづらい
前問で、女性ホルモンの知識が「ある」と回答した女性と「なし」と回答した女性、それぞれに「女性ホルモンのための対処・対応として行っていること」を聞いたところ、次の結果に。女性ホルモンの知識がない人は、知識がある人と比べて健康行動が起きづらいことがわかった。特に情報収集の行動者率に差が見られ、知識がある人のうち58%が「自ら積極的に情報収集をする」と回答しているのに対し、知識がない人は28%だった。
女性ホルモンの知識がないと、なぜ健康行動が起きづらいのか?その理由について同社は、「女性ホルモンの知識がないと腑に落ちず、健康行動に移せない。そもそも、その必要性に気づけなかったり、選択肢があることも知らないからではないか」と見ている。
知識ない女性に向けた、行動変容施策は?
調査では、女性特有の健康課題を解決するための行動の有無は、女性ホルモンの知識の有無が関係していることがわかった。ということは、女性ホルモンの知識を身に付けることが健康行動者率を上げる近道となるが、そのためには、女性たちの知識習得のモチベーションを上げたり、健康への興味喚起などが必要になってくる。これについて、同社が考える「講じるべき具体的な施策」を聞いたところ、以下3つの視点が必要とのこと。健康行動促進を3つの視点に整理してアプローチする考え方が、参考になる。
①個人:自分のことを後回しにしない
女性は家事・育児・介護・仕事など様々な役割を担っているため、どうしても自分のことを後回しにしがち。まずは、家事や通勤中などにYouTubeに耳を傾けるなど、「ながら」で知識を習得したり、専門家からの正しい知識を得るところから始める。
②企業内:社内セミナーの後に、女性の健康制度を新設
女性たちが自身の健康問題に興味関心を持つ第一歩としては、社内セミナーの実施や制度の新設を。社内全体に向けて発信することになるため、女性だけでなく男性にも女性の健康課題を知ってもらう機会になる。大事なのは、「社内セミナー実施」の後に「女性の健康課題に配慮した制度を取り入れる」という順番。先にセミナーを実施することで、「いきなりなぜ新制度?なぜ必要?」といった疑問を減らすことができ、制度新設に対する社員の抵抗感を低減できる。こういった外部環境からの働きかけによって、自分自身のケアにも目を向けられる女性が増えてくる。
③家庭内:コミュニケーション
家族の健康問題を自分ゴト化し、理解し合う姿勢を持ったり話し合いを行うといった家庭内コミュニケーションも大切。パートナー間や親子間で互いに相手を思いやり心身の状態を理解することで、家事・育児・介護等、家庭内での役割分担が変わったり、ハイテク家電や外部リソースの活用といった別の解決策が出てくるかもしれない。こういったことが健康に寄与したり、健康行動につながる。
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