乳酸菌の種類と市場動向を解説|女性の新日常フードを理解する

女性誌やテレビ番組、ヘルスケア系webメディアで頻繁に取り上げられるようになった「腸活」。便秘解消、肌ケア、ダイエット、免疫力向上のために腸活に取り組む女性が増える中、注目度が高まっているのが、腸内環境を整え守ってくれる乳酸菌。乳酸菌にはさまざまな体の悩みを解決する万能パワーがあることが多くの研究により明らかになってきており、今やヨーグルト、チョコ、サプリなどの乳酸菌関連商品が次々に登場。ここ数年は乳酸菌ブームが続いている。乳酸菌は女性の新たな日常フードへと進化している。

乳酸菌を理解する

乳酸菌とは?

乳酸菌は微生物に属する細菌の一種で、糖類を分解して乳酸を生成する。植物、動物の体内、土の中など自然界に広く生息していて、チーズ、ヨーグルト、キムチ、漬物、味噌、塩麴、日本酒などの身近な食べ物(発酵食品)を通して、人は乳酸菌を摂取している。乳酸菌の摂取により腸内環境が整い、さまざまな美容効果・健康効果が得られるため、医学界では「プロバイオティクス(体に良い影響ををもたらす微生物)」として注目されている。なお、体内の乳酸菌は年齢を重ねるにつれ減少する。

乳児期に100億個以上いた菌たちは、残念ながら歳を重ねるにつれ減少していく運命です。乳児期には100憶個以上いた菌たちは、放っておくと、50代を迎えるころには1億個、つまり100分の1にまで減ってしまうのです。(引用:「乳酸菌がすべてを解決する(アスコム)」p.6/医師 後藤利夫)

乳酸菌の種類一覧と効果効能

乳酸菌は現在わかっているだけで350種類ほどと言われている。主な乳酸菌の種類と効果効能は以下。

  • 【期待できる作用・効果】血中コレステロールの上昇抑制
    【菌種】N-1株乳酸菌、ガセリ菌SP株(SBT2055株)、植物乳酸菌
  • 【期待できる作用・効果】潰瘍性大腸炎の予防
    【菌種】ビフィズス菌BB536株、B・ブレーべ・ヤクルト株
  • 【期待できる作用・効果】ピロリ菌を減らす
    【菌種】LG21菌、BF-1株、SN13T株
  • 【期待できる作用・効果】リラックス、ストレスの緩和
    【菌種】プレミアガセリ菌CP2305、ビフィズス菌BE80株、SBL88乳酸菌
  • 【期待できる作用・効果】内臓脂肪の蓄積抑制
    【菌種】ガセリ菌SP株(SBT2055株)、植物乳酸菌LP28株、LGG乳酸菌、ビフィズス菌B-3
  • 【期待できる作用・効果】アレルギー症状の抑制・緩和
    【菌種】L-92乳酸菌、LGG乳酸菌、L-55乳酸菌
  • 【期待できる作用・効果】歯周病・虫歯・口臭の予防、改善
    【菌種】乳酸菌LS-1
  • 【期待できる作用・効果】便通改善
    【菌種】ビフィズス菌BE80株、ビフィズス菌GCL2505株、EC-12株、サーモフィラス菌1131株、ビフィズス菌BB536株、乳酸菌シロタ株
  • 【期待できる作用・効果】便通改善、肌あれの改善
    【菌種】LB81乳酸菌(ブルガリア菌2038株+サーモフィラス菌1131株)、JBL05株、B・ブレーベ・ヤクルト株
  • 【期待できる作用・効果】血糖値の上昇抑制
    【菌種】クレモリス菌FC株
  • 【期待できる作用・効果】血圧の上昇抑制
    【菌種】ラクトトリペプチド(LTP 乳酸菌生成物)、GABA(乳酸菌生成物 アミノ酸)
  • 【期待できる作用・効果】免疫力向上
    【菌種】R-1乳酸菌、乳酸菌シロタ株、ラクトフェリン(乳清)
  • 【期待できる作用・効果】プリン体の吸収抑制
    【菌種】PA-3乳酸菌
    (引用:「乳酸菌がすべてを解決する(アスコム)」p.78~79/著者:医師 後藤利夫)

乳酸菌とビフィズス菌の違い

乳酸菌とあわせてよく話題にあがるのがビフィズス菌。乳酸菌とビフィズス菌はどちらも乳酸を産生する共通点があるが、違いがいくつかあり厳密には区別されている。違いは「日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会」から確認。

腸内フローラには、乳酸菌とビフィズス菌が大切

腸活という言葉が広がっているが、腸活とはつまり腸内フローラを整えること。腸内フローラを整えることで、腸内の免疫細胞を活性化し病原菌から身体を守ってくれる働きが強化されるため、健康な心身づくりには腸内フローラを良くすることは欠かせない。

ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続けています。これらは腸内細菌と呼ばれ、個々の菌が集まって複雑な微生物生態系を構築しています。この微生物群集を「腸内フローラ」または「腸内細菌叢」と呼んでいます。引用:ヤクルト中央研究所

腸内フローラを良好に保つには、悪玉菌より善玉菌が多い状態に整えることが大切で、その役割を担っているのが、乳酸菌とビフィズス菌。

腸内フローラの主な舞台である大腸で、炎症を起こす原因となっている悪玉菌をやっつけるのが善玉菌。実は大腸の善玉菌である、ビフィズス菌と乳酸菌の割合は、なんと99.9%がビフィズス菌で、0.1%が乳酸菌。あまり知られていないことですが、大腸の善玉菌のほとんどがビフィズス菌であり、悪玉菌をやっつけ、腸内フローラのバランスを良好に保つ大切な役割を果たしています。引用:ビヒダス

今、話題のプラズマ乳酸菌とは?

さまざまな乳酸菌の中でも、免疫の司令塔に直接働きかける唯一の乳酸菌として今注目されているのが「プラズマ乳酸菌」。キリン・小岩井乳業・協和発酵バイオが共同研究を行っている。KIRINの「プラズマ乳酸菌研究レポート」によると、プラズマ乳酸菌を摂取することで次のことを期待できるという。

  • 風邪、インフルエンザ様症状の発症リスクを低減
  • 労働パフォーマンスの指標を改善
  • 激しい運動による体調不良を抑制、疲労感を軽減
  • 肌フローラ(肌に棲む細菌の集団)のバランスを維持

乳酸菌を含む食品と製品事例

乳酸菌の多い食品例

乳酸菌は、生息場所の違いから「動物性乳酸菌(動物由来の中で生きている乳酸菌)」と「植物性乳酸菌(植物質の中で生きている乳酸菌)」に分類される。

動物性乳酸菌を含む食品例

  • チーズ
  • ヨーグルト
  • 乳酸菌飲料

植物性乳酸菌を含む食品例

  • ぬか漬け
  • 味噌
  • キムチ
  • 醤油
  • 日本酒
  • 塩麴

各社の乳酸菌製品事例

「ヨーグルトファースト」を多くのメディアが取り上げたことなどから消費者ニーズが高まり、ヨーグルト市場は近年好調に拡大していた。しかし、各社から次々にヨーグルト商品の投入が相次ぎ競争が激化したこと、またヨーグルト消費に頭打ちが見えてきたことで、ヨーグルト市場の拡大は鈍化し始め、「踊り場」にきている。一方で順調に拡大しているのが乳酸菌を配合した一般食品だ。乳酸菌製品事例は以下。

ヨーグルト

  • ナチュレ恵(雪印メグミルク)
  • 豆乳で作ったヨーグルト(ポッカサッポロ)
  • たっぷり生乳ヨーグルト(オハヨー乳業)
  • プロビオヨーグルトLG21(明治)

菓子

  • たべるシールド乳酸菌(森永)
  • スイーツデイズ乳酸菌ショコラ(ロッテ)、
  • プラズマ乳酸菌入りぽいっと!ナッツソルト味(カルビー)

グラノーラ

  • 腸まで届く乳酸菌グラノーラ(幸福米穀)

サプリメント

  • 善玉菌のチカラ(フジッコ)

飲料、ゼリー

  • 飲む、植物乳酸菌(野村乳業)
  • ミルミル(ヤクルト)
  • 1日不足分の鉄分入りプルーンゼリー(ポッカサッポロ)

歯科用タブレット

  • デントオーラルヘルスタブレット(ライオン)

「特定保健用食品」「機能性表示食品」の最新情報は以下から確認できる。

女性の乳酸菌トレンド事情

乳酸菌の市場規模

富士経済の「乳酸菌類を主成分とし、乳酸菌を配合した商品(2018年6月発表)」を対象とした市場調査によると、市場規模はわずかではあるが拡大基調にある。

  • 2017年見込み:3,944億円(前年比105.8%)
  • 2018年予測:4,112憶円(前年比104.3%)

メーカー別市場構成比

「ヨーグルトと乳酸菌飲料」のカテゴリーに絞ると、メーカー別市場構成比はトップが「明治」、第2位が「ヤクルト本社」、第3位が「森永乳業」。機能別売り上げ高構成比を見ると「整腸」が減少傾向にあるのに対し、「免疫力向上」の割合が増加している(参考:「2017年ヨーグルト・乳酸菌飲料の市場分析調査」TPCマーケティングリサーチ)

ヨーグルトF乳酸菌飲料のメーカー別シェア構成

出典:TPCマーケティングリサーチ

乳酸菌市場は当初はヨーグルトが主戦場だったが、ここ最近はヨーグルト以外でも乳酸菌を訴求する商品が次々に登場。また、大手の参入が相次いでいることも後押しし、乳酸菌トレンドはまだまだ続きそうだ。

乳酸菌サプライヤーの提案合戦は年々激化しており、菌が持つストーリー性やブランド、機能性エビデンスの充実、ハンドリング面や価格など、あらゆる要素で各社が差別化を図っている状態だ。特に最近では、新たな訴求点を売りにしている原料が数多く上市されている。なかでも近年注目を集めるのが胃へのアプローチや肌へのアプローチだ。ほかにもオーラルケア、メンタルケア、免疫領域など、乳酸菌が持つ幅広い機能性に注目が集まっており、バリエーションに富んだ商品開発が期待される。また国内のみならず海外からの引き合いも出てきており、海外市場への進出も、今後の重要なカギとなりそうだ。引用:健康産業新聞

乳酸菌は女性の日常フードへ

乳酸菌のさまざまな効果がメディアを通しクローズアップされたことで、乳酸菌に対する女性たちの興味関心は高まっている。女性が注目・期待している効果は主に「便秘、整腸作用、美肌、免疫アップ」で、ヘルスリテラシ―が高い女性は、自分自身の不調にあわせて摂取すべき乳酸菌商品を選定する。最近は花粉症対策やアトピー性皮膚炎改善としても注目されているヤクルト「乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善。冬は、風邪予防・免疫力向上を目的に、特にママたちの乳酸菌ニーズは高まる。子どもがいる世帯はインフルエンザなどのウイルス感染症の罹患率が高くなるからだ。乳酸菌は、女性の美容・健康、家族の健康管理のために必要不可欠なヘルスケアフードとして定着しつつある。

都市別の乳酸菌飲料の支出額

都市別に乳酸菌飲料の一世帯あたりの支出額を見ると、トップの「鹿児島 ¥6,985」と最下位の「大分 ¥1,704」で¥5,281もの開きがある。都市別で支出額が異なるのは興味深い。乳酸菌飲料の全国平均は¥3,400。詳細は「一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会『平成28年1月~10月の発酵乳・乳酸菌飲料の生産量及び都市別1世帯当たり支出金額』」。

乳酸菌の摂取実態把握調査

バイオフローラ研究所が実施した「乳酸菌の摂取実態把握調査」によると、以下のことが明らかになった(調査対象:18歳以上の男女20,000人)

  • 乳酸菌を意識的に摂取する食品としては、サプリメント、乳酸菌飲料、ヨーグルトが多い。
  • 乳酸菌が含まれる食品摂取頻度として、週1-2回以上摂取されているのは「味噌」「ヨーグルト」が6〜7割。
  • 乳酸菌を意識的に摂取するための食品として「サプリメント」「乳酸菌飲料」が5~6割、「ヨーグルト」は4割強。
  • 乳酸菌には腸内環境を整えることを期待しているが、実際に効果を感じているのは1~2割程度にとどまる。
  • 乳酸菌を摂取することで期待する効果については、乳酸菌全体では「胃・腸内環境を整える」が8割。
  • 乳酸菌に対して、どの程度効果を感じているかについては、乳酸菌全体では「効果を感じている」は1割。
  • 意識的に摂取している「サプリメント」「乳酸菌飲料」「ヨーグルト」においても「効果を感じている」は2割前後。

女性の乳酸菌ニーズ

上記の摂取実態把握調査からもわかる通り、乳酸菌で効果を感じているのはわずか1割で、乳酸菌商品が多いにも関わらず、消費者はその健康効果を十分に享受できていない可能性がある。以下のようなニーズが考えられる。

  • 乳酸菌を摂取しても、メディアが騒いでるほど、私は健康効果を感じていない…
  • 乳酸菌商品の種類が多くて、自分に合った乳酸菌がわからない
  • 不調に合わせて手軽に乳酸菌・商品を選べるようになりたい

例えばヨーグルトを例に考えたい。「ヨーグルトを食べる最適なタイミング」「一日の適切なヨーグルト摂取量」「ヨーグルトをしばらく食べないと菌の数は減るのか?」など、ヨーグルト摂取一つとっても意外にも分からないことは多い。乳酸菌が健康・美容に良いことは広く知られているが、実は曖昧にしか理解できていない女性は多いのでは?自社の乳酸菌商品に関する基本的なQ&Aを公開したり、乳酸菌別ではなく、消費者目線で不調対策別にシリーズ化・プロモーションを行うなどすると注目を集めやすそうだ。

時短派は商品購入

女性の「タイプ」によって、乳酸菌の摂取方法が異なることも確認しておきたい。働く女性など手軽に乳酸菌を摂取したい時短派女性は、ヨーグルトやサプリ、飲料が好まれる。

ナチュラル派、時間に余裕がある女性は手作り

ナチュラル派・時間に余裕がある専業主婦・食への安心安全を求めるママ、シニア女性などはヨーグルトメーカーを使うなど手作りを好む傾向にある。女性たちの手作りレシピはクックパッドに投稿されている。

女性の疾患予防にも

女性のがん部位別死亡率の1位は大腸がん。腸内環境の悪化が大腸がんや免疫力低下を招くことから、腸内環境改善の重要性は広く認知されている。「包括的な健康のために」乳酸菌を摂取するだけでなく、「大腸がん予防のために」乳酸菌摂取を継続する女性は今後さらに増えていくだろう。

日本において、植物性乳酸菌の摂取量が、ヨーグルトなどの動物性乳酸菌の増加に反比例して、近年大きく減少していることから考えて、植物性乳酸菌が大腸の病気の予防に関与する何らかの因子となっていることが考えられます。(引用:「腸がよろこぶ植物性乳酸菌のチカラ(双葉社)」p.23/松生クリニック院長 松生恒夫,カゴメ株式会社 イノベーション本部自然健康研究部部長 菅沼大行)

ほとんどの人が、がんにならずにいられるのは、人間に備わっている免疫システムが、がん細胞を除去してくれるからです。乳酸菌は、この免疫システムを強化します。(引用:「乳酸菌がすべてを解決する(アスコム)」p.18/著者:医師 後藤利夫)

発酵・乳酸菌のテーマパーク

漬物製造大手のピックルスコーポレーションは、健康・発酵・乳酸菌のテーマパーク「OH!!!健康・発酵・in飯能」を埼玉県・飯能市に2020年3月開業する。ショッピング棟では発酵・熟成・国産・無添加にこだわった漬物の他、全国から厳選した発酵食品を販売し、レストラン棟では地元食材を使用した、発酵・熟成・国際・無添加にこだわった料理を提供する予定。

OH!!!健康・発酵・in飯能

出典:ピックルスコーポレーション

乳酸菌に関する情報

学会・団体

各企業の乳酸菌に関するオウンドメディア

書籍


乳酸菌がすべてを解決する


現代乳酸菌科学: 未病・予防医学への挑戦

 

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