世界に遅れる日本 緊急避妊薬の市販化に向けた試験販売、ようやく開始
緊急避妊薬(アフターピル)の市販化に向け、厚労省は先月26日、薬局で試験的に販売する調査研究を開始する方針を示した。
医師の処方箋無しに薬局で緊急避妊薬の適正な販売が可能かを検証する。試験的に販売を行うのは「研修を修了した薬剤師が販売する」「夜間や土日祝日の対応が可能」「個室があるなどプライバシーの確保が可能」「近くの産婦人科などと連携できる」の4つの要件を満たす、緊急避妊薬の調剤実績がある薬局。各都道府県に最低1カ所を設け、早ければ夏頃から2024年3月にかけて実施する。同時に、購入者への説明や指導が適切にできたかといった薬局への調査、避妊の結果やサービスへの満足度に関する購入者へのアンケート調査、薬局と連携する産婦人科などへのアンケート調査を行う。
緊急避妊薬は性交後72時間以内の内服が必要と言われているが、日本で現在使用するには、医師の処方箋が必要。夜間や休日に緊急避妊薬を求める人がすぐに受診できなかったり、受診を躊躇するうちに妊娠し中絶手術を余儀なくされる性被害者が少なくないとして、緊急避妊薬の市販化を求める声は以前から多かった。
昨年末から1月まで実施された緊急避妊薬のOTC化に関する意見公募(パブコメ)では、寄せられた約4.6万件のうち9割が賛成だった。今月上旬に公開された東洋経済オンラインの記事(「ついに薬局で買える『緊急避妊薬』どうなる? 性交渉後72時間以内の服用で『妊娠を回避』」2023.7.6,Yahoo!ニュース)にも200件近くのコメントが入り、「女性の権利を守るために薬局での販売は必要」「一刻も早く販売を開始してほしい」といった賛同の声が寄せられた。他、「緊急避妊薬と併用しない方がいい薬があるか知りたい」「緊急避妊薬の副作用を知りたい」など服用に関する情報を求める声や、「避妊薬の使い方を教えてほしい」といった性教育の充実化を期待する声、「低用量ピルも薬局で販売してほしい」「価格を安くしてほしい」といった避妊薬へのアクセス改善を要求する声も。
世界では約90の国や地域で、医師の処方箋無しに薬局などから緊急避妊薬を購入できる。価格は日本以外の7か国(イギリス、ドイツ、フィンランド、インド、アメリカ、シンガポール、韓国)では、処方箋薬もしくはOTCいずれかにおいて日本円でおよそ6000円以下だが、日本は高額で、処方箋薬で平均約15,000円かかる(厚労省「緊急避妊薬に関する海外実態調査 結果概要」,調査期間2021.9.28~2022.1.21)。
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