今年流行し、世相を反映した食は?今年の一皿
ぐるなび総研(東京都・千代田区)は、今年の日本の世相を反映し象徴する食2017年「今年の一皿」を発表した。「今年の一皿」は、優れた日本の食文化を共通の遺産として記録に残し、保護・継承することを目的に2014年に開始し、今回で4回目となる。ネット上の検索数やアンケート結果をもとに、「今年流行または話題になった」「社会の動きと関係が深く世相を反映している」「食文化の記録として後世に受け継ぐ価値がある」の3項目を満たしていることを確認して、今年の一皿を決定している。
目次
今年の一皿「鶏むね肉料理」の理由
今年の一皿は「鶏むね肉料理」。選定理由は次の通り。
- 日本では一般的に「もも肉」が好まれる傾向にある中、高齢化や健康志向の高まりから、糖質や脂質の過剰摂取を控えてたんぱく質を適正に摂取しようとする人々が増え、「むね肉」の高たんぱく・低脂肪の特性に注目が集まった。同時に、抗疲労効果や抗酸化作用があるイミダゾールジペプチドが豊富に含まれる「むね肉」の機能性についても、消費者に広く認知されるようになった。
- 脂質が少ないことから加熱すると硬くなり、パサつくといわれる「むね肉」だが、ここ数年で塩麹に漬ける、真空低温調理するなどの技術により、柔らかくしっとり美味しく食べられるようになった。特に今年は、たっぷりの野菜・果物に肉類をあわせて主食とする新しいスタイルのサラダの需要も伸び、サラダの具材としても広く活用された。
準大賞 「強炭酸ドリンク」
通常の炭酸飲料より炭酸ガスの含有量が多い飲料。選定理由は次の通り。
- 炭酸飲料の生産量は2007年以降、右肩上がりに伸びており、特に炭酸水の生産量はこの10年で約7倍に増えている(※2)。外食産業においても、レモンサワーやハイボールブームの流れから、より炭酸の刺激を感じることのできる「強炭酸」をうたったアルコールメニューを導入する飲食店が増えた。
- その強い刺激による喉越しの良さと爽快感はソフトドリンクでも「新定番」となり、今後ますます外食産業から一般家庭まで幅広く浸透していくことが期待される。※2 全国清涼飲料連合会「清涼飲料関係統計資料」
急上昇ワード賞 「チーズタッカルビ」
鶏肉と野菜などを甘辛いコチュジャンベースの醤(ジャン)で炒めた韓国料理「タッカルビ」を、鉄板の上でチーズに絡めて食べる韓国発祥の料理。 選定理由は次の通り。
- 熱々のチーズがとろりと伸びる様子はSNSでも広く発信・拡散され、飲食店の前では連日長蛇の列ができるなど、韓国の食文化を楽しむ人々でにぎわった。
- チーズ料理の人気の高まりから、「ラクレットチーズ」や「チーズフォンデュ」など、とろけるチーズを楽しむ料理の、ユーザーによる検索数が上昇傾向にあり、特に「チーズタッカルビ」は検索数が前年比約1500倍と急上昇した(※3)。※3 飲食店情報サイト「ぐるなび」ユーザーによる検索数
ノミネート 「日本茶スイーツ」
「抹茶」や「ほうじ茶」など、日本茶と洋菓子の要素をあわせた和風スイーツ。 選定理由は次の通り。
- 春には「抹茶」、秋には「ほうじ茶」を使用した新商品が次々と発売され、チョコレート菓子やアイスクリーム、パフェ、ラテなどが注目を集めた。同時に、カフェインが少なく優しい味わいである「ほうじ茶」の魅力も広く発信された。
- スイーツを通じて幅広い年齢層の人々が自国の文化である日本茶に親しむことで、今後一層日本人の暮らしに日本茶が取り入れられ、その文化が振興することも期待される。
ノミネート 「フォトジェニックサンドイッチ」
断面が写真映えするように作られたサンドイッチ。選定理由は次の通り。
- SNSでの発信を目的に、写真映えする料理が人気となる中、「萌え断」といわれる断面が色鮮やかで美しく、人々の関心を引くサンドイッチが話題となった。
- 従来のハムやレタスだけではなく、彩りの良い野菜をふんだんにはさんだものや、厚焼き卵のサンドイッチ、旬の国産果実を使用した贅沢なフルーツサンドまで幅広く展開された。
ノミネート 「Neo 日本酒」
原料、製造方法からラベルまで巧みにブランディングされた「革新的な日本酒」。 選定理由は次の通り。
- 清酒輸出金額は2016年において前年比11%増の約156億円、輸出数量も7年連続で過去最高を記録し(※4)、和食の世界的ブームを背景に、海外でも日本酒の華やかな吟醸香や、ふくよかな味わいが広く認知されてきた。
- 各酒蔵の試みは、国内外で女性を中心とした新たなファンを増やし、バーで飲む、ワイングラスで味わうなど、その楽しみ方もスタイリッシュに変化を遂げている。※4 財務省貿易統計(統計品別推移表)
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