女性マーケティングで「女性客を増やす」 戦略設計の基本(2/3)

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女性マーケティングの基本 ライフコース

女性マーケティング戦略で最も重要な考え方が「女性の人生において、過去・現在・未来に何が起きるか?=女性のライフコース」。女性のライフコース理解があいまいな状態で戦略設計を行うと、期待通りの成果につながらない、という結果になってしまいます。

ライフコースを活かした女性マーケティングを設計しよう

近年は女性のライフコースが多様化したことで、価値観の多様化が起きていますが、様々な企業様からご相談を頂くウーマンズとしては「従来のマスマーケティング施策を今もなお継続している」「ライフコースを反映させた戦略をとっていない」といったケースが今もなお多いように感じます。

「思うような結果が出なかった…」「他社との差別化ができない」「低価格戦略での勝負に陥っている」場合は、女性市場に対する理解不足が原因かもしれません。

女性のライフコースの多様化が、価値観の多様化をもたらした

今は資金が潤沢な大企業でも、広告出稿による以前のような反響獲得が難しくなっています。当社ウーマンズに寄せられる企業様からのご相談で多い内容の一つが「マス広告(テレビ、ラジオ、雑誌、新聞)を使わずに(あるいは頼らずに)女性客の獲得につながる戦略を一緒に開発してほしい」というものです。

マス広告による効果は今でも確かに大きいのですが(例えばライザップのテレビCMは成功事例の一つでしょう)、マス広告全盛期と比較すると広告効果が低下していることは周知の事実です。それは、消費者のマス離れも要因の一つですが、もう一つの要因は「女性の生き方が多様化したことによる、女性の価値観・消費行動が複雑化したこと」にあります。

以下図は、高度経済成長期の頃最も一般的だった女性のライフコースです。結婚・子供の誕生に伴い多くの女性は退職し専業主婦の道を選びました。当時は、女性の生き方(ライフコース)は男性同様にシンプルだったため、企業のマーケティングも極端に表現すると「未婚か既婚かの2パターンのみ」で十分に消費者の反応を得ることができた時代でもありました。男性と女性のライフコースの違い

しかし、今は女性の人生の選択肢(ライフコース)が増えています。例えば以下です。

  • 結婚、出産しても正社員として働き続ける
  • 結婚、出産したら専業主婦になる
  • 結婚するが子供を産まずに共働き
  • 結婚せずシングルとして生きていく
  • 結婚・出産で一度離職するが、その後期間を置いてパートとして復職
    など

近年の女性のライフコースの一部を図で表現すると以下の形態になります。上記図と比較すると女性の生き方が多様化していることが分かります。

 

女性市場を理解する、ライフコースマップ

ウーマンズで20分類しているクラスターのうち一部を掲載。実際は主たるライフコースとして20パターンに分類されます

女性の生き方(ライフコース)が多様化すると当然、女性のニーズや不満、価値観、価格に対する考え方も多様化します。以前のような、全国一律同一のマスマーケティングでは反応を得られなくなっているというのは、そういった「女性の多様化」が大きく影響しています。

ライフコースごとに異なる女性の価値観

「女性のライフコースの多様化による価値観の多様化」の事例として4人の女性(36歳共働き子有女性,36歳独身正社員女性,36歳専業主婦,73歳単身専業主婦)を事例に挙げます。どんなライフコースを歩んでいるか?によって、それぞれの価値観が異なること、そして響く商品・サービスが異なることがお分かりいただけます。

ライフコースごとの価値観の違い

ライフコースで異なる女性の消費行動の特徴

【例1】時短を求める女性、求めない女性

同じ30代女性でも上記3名の女性は全く異なる価値観を持っています。「36歳共働き子有」は毎日仕事・家事・育児に追われ、毎日大忙し。常に家でも会社でも誰かと繋がっているため、一人になって落ち着く時間もない彼女は、時短を実現する商品やサービスに惜しみなくお金を使います。例えば「宅配スーパー」「家事代行」「ベビーシッターサービス」などです。

そんな「共働き子有女性」に対し「73歳一人暮らし専業主婦」は、自宅で一人暮らしで就業していないめ、時間を持て余し、さらには一日誰とも会話をせずじまいのこともしばしば。そのため、人との交流(会話できる時間)や時間消費できるモノ・コトに価値を感じやすいのが特徴です。「人を介さずに買い物ができて且つ時短の宅配スーパー」に対するニーズは低い一方で(スーパーが遠方にある、体が不自由などの場合を除く)、他者との会話や交流ができるサービスや商品を好みやすい傾向にあります。

【例2】自分消費を優先する女性、しない女性

次に「36歳独身正社員」と「36歳専業主婦子有」を比べます。前者の女性はシングル(独身)のため稼いだお金全てを自分のために自由に使えるのに対し、後者の女性、つまり結婚して夫や子供がいる女性は自分消費の優先順位が下がり、子供や家のこと、夫関連の消費の優先順位が高くなります。ということは、例えば「美容商品」を販売している場合は、前者のライフコース女性をターゲットに策定する方が、購入してもらいやすくなります。

さまざまなライフコースを歩む女性のうち、上記でご紹介した4人の女性は一例にすぎませんが、このようにライフコースの違いによって、女性たちは異なる価値観を持ち、異なる消費行動をとることを前提に考えると、どういったマーケティング施策だと、施策の反応を上げることができるか?を検討しやすくなります。

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