オンライン診療とは メリット・デメリット・今後の課題(3/3)

オンライン診療の現状と課題

患者の利便性を高めるためには、オンライン診療の保険適用が認められる対象疾患を増やすことや、限定的に初診からオンライン診療を認める方策が必要となる。ただし、対象拡大には安全性と効果のエビデンス構築が必須だ。一方で不適切なオンライン診療の事例も報告されている。中には医師以外の者がスマホ画面に登場するなど、患者の安全を揺るがすものもあり、どのように安全性を担保するかは大きな課題となっている。利便性と安全性の適切なバランスを求めて、今後も議論が進むとみられる。2018年3月の指針発出以降に指摘された課題を受けて、厚生労働省は2019年1月に新たに「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を立ち上げた。政府の規制改革実施計画でも技術の発展を鑑み、1年に1回以上はガイドラインを見直すことを求めており、今後もオンライン診療の要件は変化を遂げていく可能性が高い。すでに緊急避妊薬の処方では例外的に初回の診療も対面でなくてもよいこととなった。

オンライン診療が開くヘルスケアサービス

紆余曲折を経ながらも、スマホを使ったオンライン診療は今後急速に拡大していくだろう。オンライン診療の議論でも俎上に上っている通り、スマホを使った受診勧奨や健康相談はオンライン診療の範疇ではないことも整理されており、今後はこういった周辺サービスも拡大していくと考えられる。オプティム(東京・港)が展開する「ポケットドクター」では、スマホを活用した医師への相談を1回2,980円~で提供している。特に仕事と育児で忙しいワーキングママ層では、信頼性があり時間の節約になるこうした新サービスがいち早く浸透していくと考えられる。

 

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