フードファディズムとは?過去の事例と消費者の意識変化(2/3)

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フードファディズムの事例

食材によるフードファディズム

<事例1.寒天>

たくさん食べても低カロリーであることや満足感を得られやすい点が、痩せたい女性の間で評判となり2005年に流行。しかし実際は摂取カロリーが極端に減ってしまう上、栄養バランスが悪くなりがち。また食物繊維が豊富な寒天は便秘解消に良いといわれているが、一度にまとめて摂取すると食物繊維が腸内で水分を吸収して膨らみ、逆に便秘を悪化させてしまうケースもある。Q&Aサイトのyahoo知恵袋やOKWAVEでは、寒天ダイエットによる便秘の悪化を訴える声が多く見受けられる。

テレビ番組で「寒天」で健康にダイエットを見て、早速、粉寒天を食前、お湯に溶かして飲んだり、味噌汁に入れて飲んでいるのですが。お腹が張るようになり、ちょっと便秘気味になっているのですが。粉寒天は規定量の1~2gです。体はどのようになっているのでしょうか? 粉寒天ダイエットとともに毎日2~3キロのマラソンをしています。体重は減っていません。引用:OKWAVE「粉寒天で腹が張るのですが」

<事例2.納豆>

納豆に含まれるイソフラボンがダイエット効果を促すとして、2007年に流行。きっかけは当時人気のあった有名な生活情報番組による放送。番組内で紹介されるやいなや、手軽なダイエット食材として納豆需要が急上昇した。全国各地で在庫がなくなるほどの反響を見せたが、のちにテレビ番組の捏造であったことが発覚。さらには過去にも同じような過剰演出やデータの改ざんを行っていたことがわかり社会問題にまで発展した(その後、番組終了に)。ここまで流行した理由には、納豆が身近な食材であったことや、人気番組のお墨付きという信頼性の高さがあった。

<事例3.バナナ>

2008年には「朝バナナダイエット」が流行。ダイエット特別番組がきっかけで広く知られるようになった。方法はシンプルで、朝食をバナナと水にするだけ。挑戦したタレントの森公美子さんが一ヵ月半で7kgもの減量に成功し話題となった。朝にバナナを食べるだけという手軽さと、著名なタレントが実際に成功したことが流行った理由と考えられる。しかし糖質が比較的多く含まれるバナナは、食べ過ぎると糖代謝の悪化や中性脂肪の増加につながる恐れがある。朝バナナダイエットを始めてから、かえって太ってしまったという声も多い。

1ヶ月は続けてたのですが、私には向かなかったみたい。便通も逆効果、体重も増加で良いことは一つもなかったダイエットでした。引用:FIT Search「朝バナナダイエットをやってみた!」

<事例4.牛乳>

2010年頃からは「牛乳が体に悪い」とする書籍や記事が登場。牛乳に含まれる乳糖を分解することができない「乳糖不耐症」が原因で、下痢を引き起こすといった主張や、牛乳の飲み過ぎは骨粗鬆症を招くといった噂などその内容はさまざま(しかし骨粗鬆症財団によると、牛乳や乳製品が骨粗鬆症の原因になるという報告はないとのこと)。

食事法によるフードファディズム

<事例1.糖質制限>

2015年頃から登場し注目を集め続けているダイエット食事法。主に食事から炭水化物を抜く方法で、主食以外は比較的自由に食事ができるため、手軽に始められるダイエットとして人気に火が付いた。しかし過度な糖質制限を実施するとエネルギーとなるはずの糖質の必要量を確保できないため、不足分を補おうとタンパク質や脂質の摂取量がどうしても増えてしまう。タンパク質の過剰摂取は、特に腎臓病患者や予備軍にとって病状を悪化させる原因となり、また脂質の過剰摂取は脂質異常症を招き、脳梗塞などのリスクを上げる可能性もある。

クローズアップ現代(NHK)「糖質制限ブーム! ~あなたの“自己流”が危険を招く~」は、“いき過ぎた”糖質制限の事例を紹介。3食ごはんを抜き、おかずだけを食べる生活を送っていた女性が一カ月でふらつきとめまいを覚え、病院に駆け込んだという例が挙げられた。

<事例2.プロテインダイエット>

2010年頃からは、一食を特定の食品に置き換える“置き換えダイエット”のジャンルで「プロテインダイエット」が登場。DHCは「DHCプロテインダイエット」シリーズを販売しており、栄養豊富で日によって味を選ぶことができて且つ続けやすいのが人気のポイント。しかしタンパク質にあたるプロテインの過剰摂取は腎臓病のリスクを上げる危険性がある。「医者が教える食事術 最強の教科書―20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68」の著者で AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師が担当した症例では、尿アルブミン(腎臓病の初期症状として尿中に検出される)の数値が突然悪化した患者が、プロテインを飲んでいたことが判明した。

DHCプロティンダイエット

<事例3.ベジタリアン>

菜食主義の「ベジタリアン」もフードファディズムの一例だ。野菜中心のヘルシーなイメージと、ベジタリアンを公表する芸能人の存在が流行を後押しし、ベジタリアン対応レストランも増えた。しかし肉や魚を摂取しないベジタリアンは必須アミノ酸のバランスが悪く、細い人が多い。海外では8年間ベジタリアンを続けた女性がニキビの悪化に悩み、意を決してベジタリアンを脱したところきれいに改善したという例も。健康に不可欠な必須アミノ酸が不足すると栄養が行き届かず、健康も美容も損なってしまう恐れがある。

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