野菜の日(8月31日) 各社実施のキャンペーン・イベント事例

野菜の積極的な摂取を目指して、厚生労働省は現在292gとされる成人一人当たりの野菜摂取量を350gに増やすよう呼び掛けている。今回紹介する「野菜の日」は1983年に全国青果物商業協同組合連合会などによって制定された。現在は、食関連の企業が野菜の魅力や効果を紹介したり、野菜摂取を呼びかけるキャンペーンやイベントを行う記念日となっている。

「野菜の日」の由来

1983年に制定された「野菜の日」のほかに2016年に新たに制定された記念日として「菜の日」がある。毎月末の31日に野菜と健康について考える「菜の日」ができたことで、野菜摂取を考えるきっかけはより身近になった。

「野菜の日」とは?

  •  [由来]
    1983年全国青果物商業協同組合連合会など9団体によって8月31日が「野菜の日」として定められた。記念日の由来は「8(や)」「3(さ)」「1(い)」で「やさい」となる語呂合わせからきている
  • [活動内容]
    キューピーやカゴメなど野菜に携わる企業が「野菜の日」にちなんだ野菜レシピの公開や野菜を摂ることの魅力について情報発信。多くの企業が「野菜の日」を、野菜のPRを行う日として活用している
  • [目的]
    ・野菜の栄養価値の再認識
    ・野菜摂取の促進

「菜の日(さいのひ)」とは?

  •  [由来]
    2016年ファイブ・ア・デイ協会によって制定された。同協会は一日350g以上の野菜と200gの果物の摂取を目指した食育活動や健康増進運動を行っている。月末となる31日を「菜の日」と定めることで“カラダの決算日”としている。野菜を中心とした食生活への意識改革を目指す
  • [活動内容]
    食品や食材を取り扱う企業や生産者などと連携し、生活者たちが野菜を積極的に取り入れるよう促す。参画する会員企業にはカゴメやキユーピーなど大手食品企業の他に、イオントップバリュなど流通企業のプライベートブランドを支える開発会社も名を連ねている。制定後初となる記念日には、提携するスーパーマーケットで野菜に関するイベントや野菜の特別セールなどが行われた
  • [目的]
    ・野菜や果物の摂取を通じた健康的食生活の提案
    ・一日350g以上の野菜摂取の促進

 

野菜の日、各社のキャンペーン・イベント事例

カゴメ:トマトの会社から、野菜の会社に

カゴメはトマトの会社から野菜の会社になることを長期ビジョンとして掲げ、野菜に関する商品開発やプロモーションを積極的に行っている。

生鮮ビジネスの拡大

専門店員の配置による高リコピントマトの販売促進や、近年需要の高まっているパックサラダを中心とした野菜加工品販売の拡大に力を入れる。また高機能野菜であるベビーリーフの供給体制の整備を図り販売強化を目指す。

農業振興・地方創生

地域の農産物の魅力を再発見し商品化することで、地域の農産物を地域で消費する「地産地消」活動を応援。代表例に「野菜生活100季節限定シリーズ」などがある。また色鮮やかな野菜や果物の写真とともに「ニッポンの野菜不足を0にする」をコピーとしたカゴメの広告は、第9回中日新聞社広告大賞(2018年)の「読者が選ぶ東京新聞広告賞部門賞 食・健康」を受賞。カゴメが目指したビジョンの通り、今や消費者の間でカゴメ=野菜の会社、というイメージは浸透しつつある。

野菜に関する全国調査

2018年の野菜の日には、野菜不足に関する全国規模での意識調査を行いその結果を発表。調査内容では野菜摂取量のトップ3県とワースト3県の平均値を比較し、その要因について言及している。報告された五大要因は以下の通り。

  • ①平日朝食の品目数
    トップ3の平均値=2.39品目。ワースト3の平均値=2.31品目
  • ②栄養バランス意識
    「栄養バランスを意識している」に対し「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値は、トップ3の平均値=53.1%。ワースト3の平均値=52.0%
  • ③高価格からの野菜回避
    「野菜は高いので買わない 買い控えている」に対し「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値は、トップ3の平均値=12.2%。ワースト3の平均値=14.1%
  • ④野菜調理の手間
    「野菜調理は手間なので嫌だと思う」に対し「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値は、トップ3の平均値=18.0%。ワースト3の平均値=20.3%
  • ⑤野菜好き嫌い
    「好きな商品に野菜があてはまるか」に対し「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値は、トップ3の平均値=48.6%。ワースト3の平均値=38.9%

野菜レシピコンテストの開催

「菜の日」には、野菜が嫌いな大人・子ども100名が選ぶ「おいしい野菜レシピ」コンテストを開催。事前調査で設定された7つの野菜(さやまめ、ちんげんさい、トマト、なす、生しいたけ、にら、ピーマン)のうち嫌いな野菜があると答えた大人と子どもを対象にレシピコンテストを実施。嫌いな野菜でも食べやすいレシピをホームページに掲載した。

キユーピー:サラダウィークにサラダコンテンツを発信

キユーピーは8月24日の「ドレッシングの日」から8月31日の「野菜の日」までの期間を「サラダウィーク」とし、野菜に関するコンテンツを発信している。五感それぞれを楽しませる野菜選びのポイントや野菜と卵の組み合わせ方などを解説し、栄養バランスと美味しさの揃ったサラダレシピを紹介している。

サラダクラブ:商品プレゼント

1999年設立のサラダクラブは、パッケージサラダやサラダソースを販売。2018年には「野菜の日」に合わせたキャンペーンとして、サラダ用の皿セットやサラダに合わせるトッピングセットのプレゼント抽選を行った。

JAグループ:農産物を楽しむイベント開催

食と農を基軸とした協同組合のJAグループでは国産農産物のPRを目的に「野菜の日」に合わせた特別イベントを開催。女性に向けたベジスムージーの販売や親子で参加する夏野菜の収穫体験など、野菜の新しい魅力発見や野菜への意識喚起を目的にしている。2019年のイベント予定はホームページで確認可。

日本野菜ソムリエ協会:果物と野菜のイベント開催

野菜の知識を深める資格を提供する日本野菜ソムリエ協会では「野菜の日」にちなんだイベント「野菜の日 Special Event」を開催。野菜ジュースの試飲販売や、みそ玉づくりのワークショップ、レシピコンテストや野菜川柳コンテストなど参加型イベントを中心に野菜の可能性を広く伝えた。

リンガーハット:スペシャルメニュー提供

国産野菜のみを取り扱うリンガーハットは6月1日~2日、16日、23日、28日~30日を独自に決めた野菜の日としている。記念日には野菜をふんだんに使ったスペシャルメニューを提供し、野菜摂取の促進を図る。

 

野菜・野菜メニューに関する調査

野菜の摂取量、性別・年齢階級別(国民健康栄養調査)

厚生労働省が報告した国民健康栄養調査を見ると、男女別で年代毎の野菜摂取量の平均値を確認することができる。男性よりも女性のほうが野菜の摂取量が少なく、女性が上回るのは60代のみ。しかしながら男女ともに全年齢階級で野菜の目標摂取量350gには達しておらず、20代から50代までは摂取量が300gにも満たない。

野菜にまつわる調査(カゴメ)

カゴメが食育活動の一環として行うカゴメ野菜調査隊は、子どもの野菜に対する意識調査や食育の実態など子供を軸とした調査を行っている。さらに野菜好きになる要因や、子供のころの食体験から現在の食生活への影響を調査し、食育の重要性についても説いている。

  • カゴメ「カゴメ野菜調査隊」

サラダ白書2018(サラダクラブ)

サラダクラブが野菜の日に毎年発表する、サラダの食文化についての年次調査「サラダ白書」。2018年の調査結果では約7割の女性がカット野菜などの時短支援商品を使用しており20代・30代の約6割以上はパッケージサラダを利用していることが判明した。同データ内の意識調査では多くの人が生活の中で最も短くしたい作業時間に「調理をする時間」を挙げている。また全体の約7割が野菜不足の意識を感じていたが、その最大要因としては野菜の価格高騰が挙げられた。

  • サラダクラブ「サラダ白書2018」

好きな野菜、野菜を食べる目的(らでぃっしゅぼーや)

有機・低農薬野菜の宅配事業を行うらでぃっしゅぼーやは2017年「野菜の日キャンペーン」の一環として野菜に関するアンケート調査を行った。調査結果によると野菜好きと答えた回答は全体の91%を占め、野菜を摂取するメリットに対してはすべての年代が「健康的な食生活の確保」と回答。「野菜を食べられないときのマイナス点は?」にはすべての年代が「健康に支障が出ること」と回答しており、野菜は健康に直結するという意識の高さがうかがえる。

  • 野菜に関するアンケート結果

野菜に関する情報

ヘルスケアトレンドキーワードで行動変容を促す

一般的に女性には野菜好きが多いが、一日の目標摂取量350g達成には、野菜をもっと積極的に摂取する必要がある。では野菜摂取量を増やすためにはどうすれば良いのか?その一つの解決策が「ダイエット」「美肌」「糖化対策」など女性が関心を示しやすいキーワードをコンセプトにしたメニュー提案。単純に「たくさん食べましょう!」と啓発するよりも、ヘルスケアトレンドキーワードを前面に打ち出したメニュー提案の方が、女性の興味関心を惹きやすく、行動変容を促しやすい。例えば女性から長い間支持されている人気のスープダイエット「脂肪燃焼スープ」は、野菜を豊富に使用するのが特徴で、意識せずとも野菜摂取量を増やすことができる。野菜の日のイベントやキャンペーンにまだ取り組んだことがない企業は、まずはヘルスケアトレンドキーワードを打ち出したメニュー提案をしてみてはどうだろうか。

 

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