繊細で複雑な40代女性、美容マーケティングで心得るべきこと

3大美容雑誌の一つ「美的(小学館)」のお姉さん版「美的グラン」が先月発売され、良くも悪くも話題を集めている。ポジティブコメントとネガティブコメントを比較して見えてきたのは、40代の”繊細で複雑な女心”。40代女性に向けた美容マーケティングは、この年代ならではの心情の理解が必要だ。

美的グランは「世代に合った美容を提案」

美的グランは40代以上をターゲットに、「若返り」ではなく「年齢を否定しない、楽しむエイジングケア」を提唱する美容誌。年4回の刊行予定で毎号テーマを設定する。1号目のテーマは「目元comeback(付録付き税込900円)」。編集長には美的創刊時より17年間エディトリアルディレクターとして活躍してきた現在61歳の天野佳代子さんが就任、「世代にあった美容を楽しみながら、今を勝負できる美しさを提案していきます」と意気込む。

美的GRAND

出典:小学館

美容誌と言えば20〜30代をターゲットにしたものばかりで、中高年層に特化しているものは少ない。また人気美容誌のお姉さん版ということもあり、「美的の40代版、待ってました!」「自分の年齢に合った美容誌が欲しかった!」と、創刊に胸躍らせる声が聞かれた。

だが実際は創刊号に冷ややかなコメントも寄せられている。美的グランを購入した人の中にはネット上に次のような投稿をしており、コンテンツに共感できない女性たちの存在が見えてきた。

  • 「40代以降のおばさんにはこんなもんでいいや、という(編集者の)姿勢を感じる」
  • 「40代〜50代女性へのリスペクトが感じられない」
  • 「誌面に”目力不足”、”目元老化”などの言葉ばかりが飛び交い気持ちが暗くなる」
  • 「内容がイマイチ」
  • 「子ども向けの雑誌じゃないんだから付録は不要」
  • 「付録がひどい。付録はいらないから中身を充実させて」

40代向けの美容誌、評価は両極端

今の40代以上の女性は、若い頃から美容・コスメを雑誌から学び楽しんできた世代だ。だが加齢とともに自分の年齢に適した美容誌がなくなり、情報不足に不満を感じながらコスメジプジーに陥っている女性が少なくない。中年層に特化した美容情報ニーズはあるのに実際は情報が少ない、というこの需給の不均衡を考えると、40代以上をターゲットにした美的グランの登場は確実に喜ばれるのでは?という印象がある。さらに、情報量・質ともに高い美的のお姉さん版とくれば、さぞかし高評価が並びそうだが実際はポジティブなコメントもあればネガティブなコメントも並び両極端だ。

2009年創刊の美STも…

中年層の女性をターゲットにした美容誌では2009年に創刊された美ST(光文社)が先行している。40代をターゲットにした新しさと美魔女コンテストの開催で瞬く間に話題を集め、”美しい40代女性” をブームにした雑誌だ。その美STが創刊された当時も、40代向けの美容誌の登場に喜ぶアラフォー女性がいた一方で、「若づくりしすぎて、見ていてイタい」「無理に若づくりしている女性ではなく、もっと自然体で美しい女性を取り上げてほしい」「美魔女、怖い」「シミ・シワ・たるみなどのエイジングサインを、(誌面で)自虐的に取り上げているのが、返って自分に年齢を感じさせる」「品がない」「年齢的には合っている雑誌だけど、気持ち的に手に取りづらい」などネガティブな意見を持つ女性もいた。中には、エイジングサインを自虐的に取り上げている誌面作りに「傷ついた」という声も。

40代女性向けの美容マーケティング、必要なスキルは?

40代女性に受け入れられる美容コンテンツ作りは、簡単なようで難しい。シミ・シワ・たるみなどエイジングサインが顕著に現れる年齢なので情報ニーズは明らかに高いが、コンテンツの切り口として「老化」「老け見え」「老けた」「おばさん」など加齢を感じさせる言葉を多用すると、情報の受け手を暗い気持ちにさせてしまい嫌われるからだ。

若い頃とは異なる、40代女性の情報の受け止め方

若い頃は、美容誌を見ると「このメイク・コスメで私もキレイになれるかな!」と明るい気持ちになったのに、年齢を重ねると途端に加齢を感じさせる言葉がずらっと並び、「私はもうおばさんなのか…」「私って、”老けた”と言われる年齢なのね…」と暗い気持ちになる。かと言って年齢を感じさせない女性ばかりが誌面に登場していれば、「(美容医療を受けられるような)お金がある人向けの雑誌で庶民向けではない」とそっぽを向き、エイジングサインを表現する言葉やコンテンツを避けていれば、「年齢に合ったエイジングケアを教えてほしいのに、役立つ情報が少ない」と離れていく。コンテンツを制作する側としては、はっきりモノ申すのは憚られるし不自然に避けることもできない。頭を抱えるところだ。

40代は、明らかなエイジングサインの出現と変化に自分自身ではっきりと認識しつつも、それをまだ受け入れたくない(あるいは受け入れられない)気持ちも強い。だから自分の年齢を「老化」「老けた」「おばさん」とはっきり表現されると傷つくし暗い気持ちになる。

自信と勇気も持たせる、バランス感覚が必要

実際に美的グランを購入した人のコメント「誌面に”目力不足”、”目元老化”などの言葉ばかりが飛び交い気持ちが暗くなる」に共感する同世代の女性は多いはずだ。だが、誌面で同世代の女性がキレイになる努力をしている姿に刺激されて「元気になった!」「勇気をもらえた!」「私ももっとキレイになりたいと思った!」とポジティブに捉える女性たちがいるのも事実。40代は美容コンテンツの受け止め方が両極端に分かれる難しい年頃だ。加齢を感じさせる言葉を使い過ぎることなく、でも40代ならではの美容悩みに真摯に向き合いながら彼女たちの「キレイになれる可能性」を引き出して自信と勇気を持たせる。その絶妙なバランス感覚が、40代向けの美容マーケティングに必要とされるスキルだ。

 

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