「患・学・産」連携で不妊治療を社会のインフラに 共創会議が始動
子どもを望む人を社会全体で支える仕組みをつくろうと、当事者団体・生殖医療専門家・企業が手を組んだ「社会で支える不妊治療共創会議」が今月16日に発足した。不妊治療を「個人の問題」から「社会が支える医療」へと変える試みが動き出した。

【出典】社会で支える不妊治療共創会議(左から:メルクバイオファーマ代表取締役社長 ジェレミー・グロサス氏、ヴィトロライフ コマーシャル部門 最高執行責任者 阿木宣親氏、蔵本ウイメンズクリニック理事長/院長 蔵本武志氏、英ウィメンズクリニッ 理事長 塩谷雅英氏、JISART 理事長/絹谷産婦人科院長 絹谷正之氏、NPO法人Fine理事長 野曽原誉枝氏)
会議は「患・学・産」の三者で構成。不妊経験者を支援するNPO法人Fineが患者側の立場で治療現場の課題を示し、全国の専門クリニックで組織する日本生殖補助医療標準化機関(JISART)理事長の絹谷正之氏ら生殖医療の専門家が医学的知見で議論を支える。不妊治療薬大手のメルクバイオファーマ、培養機器大手のヴィトロライフ、顕微鏡・光学機器のニコンソリューションズの産業界3社が制度提言と社会実装を推進する。代表にはFine理事長の野曽原誉枝氏が就いた。
主な活動は、①医学的・経済的データに基づく政策提言の実行、②先進企業の両立支援制度のモデル化と横展開、③妊娠・出産に向けた身体の力を指す「妊よう性」の知識普及や、将来の妊娠に備えて健康管理する「プレコンセプションケア」に関する啓発の3点。
国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、不妊の検査や治療を経験した夫婦は4.4組に1組に上る。日本産科婦人科学会のまとめでは、2023年に生殖補助医療で生まれた子どもは約8万5千人と過去最多を更新し、人口動態統計に基づく全出生児に占める割合は約8.6人に1人に達した。不妊治療は22年に保険適用が拡大されたが、回数や年齢の制限が新たな壁となり、治療計画を制約されるケースも少なくない。通院と仕事の両立の難しさや職場の理解不足など、社会環境の壁も立ちはだかる。
同会議はこうした壁の解消に向け、28年度の診療報酬改定を重要な転換点と位置づけ、保険適用の拡大を関係機関に働きかけるほか、先進企業の両立支援制度をモデル化し他企業への展開を目指していく。
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