B型・C型肝炎キャリア数、20年で大幅減 広島大が2050年予測を提示

広島大学の秋田智之講師らの研究グループは、日本のB型・C型肝炎の持続感染者数が大幅に減少し、WHOが掲げる2030年の肝炎排除目標(診断率90%、治療率80%)を概ね達成していることを明らかにした。研究成果は今年3月、国際学術誌『Hepatology Research』に掲載された。

B型・C型肝炎は、肝硬変や肝がんの主な原因となる感染症で、世界的に重要な公衆衛生課題。WHOは2030年までにウイルス性肝炎を公衆衛生上の脅威として排除する目標を掲げているが、多くの国ではその達成は困難とされている。日本では、B型肝炎母子感染対策、輸血用血液・血液製剤の安全性向上、さらに抗ウイルス治療の進歩により、長年にわたり肝炎対策が推進されてきたことで、診断や治療の体制は世界的に見ても高い水準へと向上し、感染者数は減少傾向にある。一方、日本における全国規模の最新データを用いた感染状況や将来予測の検証は限られていた。

そこで研究グループは、全国のレセプトデータや疫学データ、公的統計などをもとに、B型・C型肝炎の感染者数の現状や今後の推移を解析した。その結果、日本では、診断率と治療率が国際的にも高水準で、WHOが掲げる「肝炎排除」の目標水準に概ね達していることが明らかになった。2020年時点の推定では、B型肝炎ウイルスの持続感染者は約92〜94万人、C型肝炎ウイルスは約18〜48万人で、いずれも2000年の300〜366万人から大幅に減少。特に、自身が感染に気づいていない人はB型肝炎ウイルスで約5万人、C型肝炎ウイルスで約3万人まで減少していると推定。また将来予測では、感染者数は今後も減少が続く見込みで、特にC型肝炎では治療法の進歩により、2050年までに2万人以下となる可能性も示された。

研究グループは、「日本の肝炎対策が世界的にも高い水準にあることを、全国規模データによって示すことができた」とコメント。今後については、「注射薬物使用者や男性間性交渉者などハイリスク集団への対策強化に加え、今回の解析手法を各国の肝炎対策評価や政策立案へ活用していきたい」としている。

 

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