シニアの食トレンドと、企業が重視すべきこと

シニア向けのレシピ本が近年続々と出版されている。高齢者人口の増加、シニア層の健康維持・予防・改善のための食ニーズ、被介護者の増加、被介護者向けの自宅での健康食ニーズの高まりを考慮すると、シニア向けに特化したレシピはさらに活況となる予感。本稿では、シニア向けレシピ本から「シニアが求める食ニーズ」を分析・ご紹介。シニアの食トレンドに応えるには「多様性」が鍵であることが見えてくる。

シニア世代こそ「価値観の多様化」

多様性の時代とはいえ、20代までは女性の価値観・消費行動の多様性はさほど見られない。多くが「学生→社会人へ」という同一のルートをたどり、同一の価値観を持っているためだ。しかし40代、50代、60代、70代と年齢を重ねるにつれ、女性は様々なライフイベント(結婚、出産、夫の転勤、復職、家族の介護など)を通じてそれぞれが異なるライフコースをたどる。価値観・消費行動が多様化・複雑化してくる要因だ。以下の2人を例に見てみよう。現在45歳のAさんとBさん。年齢を重ねることでライフコースに違いが起きていることが理解出来る。

  • Aさん
    社会人デビュー→28歳で結婚→30歳で妊娠・退職・出産→専業主婦→数年後、自宅近くでパート職に就く
  • Bさん
    社会人デビュー→36歳で管理職へ昇進→未婚のままキャリアを積む

彼女たちは45歳になるまでに歩んできたライフコースが異なるため、全く異なる消費行動が起きることは容易に想像できるだろう。時間の使い方、休日の過ごし方、購入する物(自分用?子供用?夫用?趣味仲間用?同僚用?)、自由に使える金額などー。あらゆる場面で違いが生じる。女性は様々な選択ができるようになったことで、生き方が多様化した。同時に価値観や消費行動も多様化・複雑化したため、女性マーケティングでは「年齢が上がるにつれて価値観が多様化・複雑化する」ことを念頭に置く必要がある。

となるとー。さらに年齢を重ね、健康状態の多様性も顕著になる60代、70代、80代になると価値観やニーズはさらに多様化するため、シニア向けの食トレンドを考えるときは「多様性」を重視することが求められる。10人のシニア女性がいれば、10通りのトレンドやニーズがある(これがシニアマーケティングの難しいところ)。シニアのトレンド・ニーズの多様性を念頭に、早速シニアの食トレンドを、書籍から学んでみよう。

 

シニアの食トレンドが分かるレシピ本

寿命の延伸や単身者が増えている状況などから、シニアの食トレンドも変化している。キーワードは「楽ちんシンプル」「一人用食事でも簡単」「健康寿命」だ。

肉を避けがちなシニア あえて「シニアの簡単肉おかず」

肉は体力維持や筋肉量維持のために必要なタンパク質を豊富に含んでいるが、肉は不健康、魚は健康」というイメージが強いためシニア世代は肉料理を避けがち。その点に着目し、あえて「肉」レシピのみを集めたのがコチラの書籍。「本当は肉を食べたいけど我慢している」シニアに嬉しい一冊だ。


シニアの簡単肉おかず (別冊NHKきょうの料理)

一汁三菜ではなく、一汁一菜!「楽シニアごはん」

「健康のためにきちんと食事作りに時間をかけたいけど、毎日頑張るのが面倒…」という葛藤に着目。パートナーとの死別や離別から一人暮らしをするシニアが増えている中、自分一人のためにご飯を作ることを億劫に感じる人も多い。一般的に推奨される一汁二菜もしくは一汁三菜ではなく、おかず一品でしっかりボリュームも栄養素も摂取できるレシピを集めている。


楽シニアごはん 一汁一菜でいい! (講談社のお料理BOOK)

単純な長生きは求めてない!「長生きご飯—健康寿命を延ばす」

単純に長生きすることではなく、延ばしたいのは「健康寿命」。そのニーズに応えるレシピ集がこちら。実際にパワフルに生活をしている90代以上の女性の食生活を紹介している点も、読者の興味を引く。説得力も十分!


長生きごはん

単身だから楽に!「シニアのための健康ひとり鍋」

鍋一品で十分にバランスの良い栄養素を摂取できる、という手軽さは単身者の「ひとり分しか作らないから簡単に料理を済ませたい、でも栄養バランスも考えたい」というニーズに応えている。


シニアのための健康ひとり鍋

 

シニア世代の食ニーズは十人十色

シニアの食に関する悩みは、若年層よりも多い。美味しいことはもちろん、栄養バランスが良いこと、健康に良いこと、個々の不調や病気の発症予防・重症化予防・改善に良いこと、家族の不調や病気の予防・改善に良いこと、限られた食費の中で節約しながら美味しく健康なものを作れること、食べやすさ(量、硬さ、嗜好、味付け、保存期間など)、お手軽であることなど。シニアの食ニーズに応えるには、単純に「健康」に重視するのではなく、食べ方、暮らし方、金銭事情、同居人構成などを考慮した多様性を重視したい。

 

 

 

 

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