働き方改革の目的と主な取り組み内容(2/3)

働き方改革の実現に向けた取り組みと企業が意識すべきポイント

働き方改革を実現するためには、多方面からの取り組みが必要であり、且つ取り組むべき内容は企業ごとに異なるが、おさえておきたい基本項目は以下の5つ。

働き方改革の実現に向けた主な取り組み

1.長時間労働の削減

これまで日本の企業は、労働時間の長さが大きな課題であった。そこで仕事を効率化して生産性を上げ、短時間でも成果を上げられるようにして、労働時間短縮を図ることが課題となる。 時間外労働を制限することで、従業員の健康が確保され、仕事と家庭を両立しやすくなるので、女性の活躍推進につながる。

「働き方改革関連法」では、時間外労働(残業時間) の上限規制が整備された。これにより、月45時間(年360時間)を超える残業は原則としてできない。特別な事情がある場合でも、年720時間、月100時間未満、複数月の平均で80時間までという制限が設けられた。大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行される。

2.正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の賃金格差の解消

「同一労働・同一賃金」の原則により、同じ仕事を同じ生産性を持って行っている場合は、基本給や賞与などの不合理な待遇差は認められない。人件費削減のために非正規雇用者を増やす企業が増えるなか、不当な差別から労働者を守る仕組み。非正規雇用労働者は、正社員との待遇差を感じた場合には雇用主に説明を求めることができ、雇用主は説明しなければならない。

3.働き方の多様性

出社勤務のほかにテレワークやモバイルワークを社内普及させるなど、多様な働き方を認めることにより、 働きやすい労働環境を整備する。これにより労働市場における女性活用が図られる。「働き方改革関連法」では、フレックスタイム制をより柔軟に取り入れやすくなった。フレックスタイム制は、1日何時間という枠ではなく清算期間の総労働時間内で労働時間を自由に調整できる制度(詳細は以下記事で解説)。清算期間も1カ月から3カ月に延長され、より柔軟な働き方が期待される。

4.ダイバーシティの推進

これまで働き手は主に男性で占められいた。しかし労働市場は近年急速に変化。結婚・出産しても仕事を続ける女性が増え、高齢社会に伴い労働人口における高齢者割合も増加、同時に人生100年時代に備えて就業を自ら希望する高齢者も増加。これまで「労働力」として企業が重視してこなかった「女性」と「高齢者」の労働力は、人材不足時代の今や、貴重な戦力となっており、彼ら・彼女たちの労働力を最大限に活かすためには、社内のダイバーシティ化を推進する必要がある。今後は外国人材の受け入れや障害者の就労を推進することも求められるだろう。

5.再就職の支援

出産、介護、家族や自身の治療、夫の一時的転勤など、家庭の事情で一度離職した人が、再就職して働く体制を整えることも必要だ。再就職には「再度同じ会社に就職する」「一度会社を辞め、他の会社に再就職する」の2パターンがある。前者の場合。従来のような終身雇用制では一度離職した人が再び会社に戻ることはほぼなかった。しかし現在は離職者も重要な労働力であり、同じ会社に再就職するケースも少なくない。離職者のコミュニティを社内に作って、離職後もコミュニケーションを継続し、会社の最新情報や再就職情報を提供している会社もある。

後者の場合。女性はいったん会社を辞めて専業主婦になると再就職は非常に難しくなる。離職した専業主婦の再就職希望者の積極的な採用が企業には求められる。

「いったん仕事を辞めてしまうと、なかなか希望の仕事がみつからない。子育てに時間を取られて、できる仕事は事務か接客の短時間パートになってしまう(お茶の水女子大卒、40歳)」引用:「働く女性 ほんとの格差」p.171,  著:石塚由紀夫

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