健康維持に必要な運動量は? ”運動不足”は死亡リスク(3/3)
健康維持に必要な運動とは?
健康維持・増進のために必要な運動量は「健康日本21(第2次)」や、その目標達成のためのツールとして発表された「健康づくりのための身体活動基準2013」が参考になる。
子ども〜高齢者、健康維持のための身体活動の基準
健康日本21が掲げる目標値
健康日本21は身体活動の重要性を訴えるだけでなく、その楽しさを周知するためにも社会環境を整備する必要性を指摘している。身体活動において健康日本21が定めた目標項目は以下の3点。
- ①日常生活における歩数の増加(1,200~1,500 歩の増加)
- ②運動習慣者の割合の増加(約10%増加)
- ③住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加
歩数の具体的な目標数値を年齢男女別に表すと以下の通り。成人の一日あたりの平均歩数は男性で6794歩、女性で5942歩にとどまるため、目標数値との差はかなり大きいことが分かる。
高齢者は介護や看護援助を必要としないことを目標に数値設定がなされているため、数値はやや小さめ。なお1日当たりの平均歩数を1000歩増加するためには、歩く時間にして10分、歩行距離で600~700m程度増やすことが求められる。
男性 | 女性 | |
20〜64歳 | 9,000歩 | 8,500歩 |
65歳以上 | 7,000歩 | 6,500歩 |
また健康日本21は、児童の身体活動不足も問題として指摘している。現代では外遊びのできる場所が減少しテレビやゲーム、インターネットが発達したことで、児童が非活動的に過ごす時間は増加傾向にある。テレビの視聴時間が長いほど体力が低くなるという報告もあり、児童の身体活動不足解消のためには視聴時間の制限といった対策を推奨している。
「健康づくりのための身体活動基準 2013」における目標値
「健康づくりのための身体活動基準 2013」は厚生労働省から発表された身体活動・運動に関するガイドライン。健康を維持するためのエクササイズや筋力トレーニングの目標値を具体的に示している。以下は、「健康づくりのための身体活動基準 2013」における目標の身体活動量と時間。
身体活動 | 運動 | |
18歳未満 | - | - |
18歳~65歳 | 3メッツ以上の強度の身体活動を毎分60分(=23メッツ・時/週) | 3メッツ以上の強度の運動を毎週60分(=4メッツ・時/週) |
65歳以上 | 強度を問わず、身体活動を毎日40分(=10メッツ・時/週) |
- |
メッツは、身体活動や運動の強度を表す単位。安静時を1として、そこから何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示している。メッツ・時は、メッツで表された活動強度に活動時間をかけたもので、運動・身体活動量の単位として国際的に使われている単位。軽い筋トレは3メッツ、ゴルフや洗車は4メッツというように、さまざまな活動の強度は「メッツ表」によって示されている。
健康維持には、食事方法・食べ物の選び方も大切
今回は身体活動不足について触れてきたが、健康維持のためには当然、食生活も重要。外出自粛で買い物が不自由になったり、家族が自宅にいる時間が長くなったことで食事作りを簡素化している家庭も見られるが、いくら運動を頑張っても、体を作っている元となっている食事がおろそかになっては本末転倒。適切な運動量の実施と合わせ、健康な食事も意識したい。
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