ミレニアル世代・Z世代の女性たち 〜意識・価値観・心を捉える世界観〜
地球環境やジェンダーなど社会問題への意識が高く、多様性や独自のスタイルを重視し、完璧は求めず保守的、大切にするのは共感や体験ー。このような言葉で表現されることが多いミレニアル世代とZ世代の女性たち。最近の意識・価値観はどんな感じ?ヘルスケアマーケティングの参考になる調査結果と書籍をピックアップした。
2021年 ミレニアル・Z世代年次調査
デロイトトーマツコンサルティングが「2021年ミレニアル・Z世代年次調査」を公表した。世界各国のミレニアル・Z世代(45カ国の22,928名)を対象に世界観・価値観などを探った調査で、今年で10回目となる。今回の調査ではCOVID-19のパンデミックによる影響を踏まえ、「健康」「雇用」「メンタルヘルス」「ストレス」「企業の社会的影響」「富・所得」「制度的人種差別」をテーマに取り上げ、各項目において以下のファインディングスを得た(本調査での定義:ミレニアル世代は1983年~1994年生まれ、Z世代は1995年~2003年生まれ)。
- 健康や雇用が懸念事項の上位にランクインしたが、ミレニアル・Z世代は依然として気候変動や環境問題に深い関心を寄せている
- メンタルヘルスに関わる問題に対する悪いイメージは、特に職場で残っている
- ストレスレベルはパンデミック前の水準に戻った
- 「企業が社会にポジティブな影響を及ぼしている」と考えているのは、ミレニアル・Z世代の半数弱に過ぎない
- 富・所得の平等について、著しい疑念や懸念を抱いている
- Z世代の10人に6人およびミレニアル世代の56%が、制度的人種差別が一般社会に蔓延していると考えている
調査全体の考察としては、同社は次のようにまとめた。この世代の特徴を端的に表した内容だ。
この1 年、ミレニアル・Z世代は様々な出来事(自宅滞在中の孤立感・自分や近親者の感染への恐怖・世界各国の壊滅的な状況等)によって消耗・疲弊し、楽観主義的な考え方は一掃されてしまいました。
しかし、今年の調査ではまた、ミレニアル・Z世代が高いレジリエンスを持っていることだけでなく、自分たち自身や周りの人にアカウンタビリティ(改善が必要な状況を踏まえ、対策を示し実行すること)を促すことに力を注いでいることが明らかになりました。
この世代は、人種差別や性差別を否定し、これらの価値観に反する行動をとる企業や雇用主を避ける傾向が強いのです。もちろんそれは一般論であり、すべてのグループで均質なわけではありません。しかし、ミレニアル・Z世代は、概して、上の世代よりも粘り強く、現状に声を上げて疑問を投げかけたり覆していく傾向が大きいのです。この世代は、個人の力が変革をもたらすと信じています。彼らは、組織に変革と行動を求め、組織で解決できない部分は政府の介入を求めますが、個人の責任も受け入れています。このような考え方はパンデミックから社会正義まであらゆる面に表れており、雇用主や小売業者等の組織・機関に影響を与えようとしています。(引用:デロイトトーマツコンサルティング「2021年 ミレニアル・Z世代年次調査」)
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Z世代のお金の使いみち
若者マーケティングのSHIBUYA109エンタテイメント(東京・渋谷)が、Z世代のお金の使い方がわかる調査「若者のお金に対する意識・実態調査」を実施した(対象:15〜24歳の男女200名ずつ,2021.3)。その中で「お金の使いみちとして最も多いもの」を聞いており、女性は以下の結果となった。年齢的に美容悩みがまだ少ないからだろう、「スキンケア・ヘアケア」「美容院」「コスメ」「ダイエット・健康管理」といったヘルスケア関連の消費は優先度として低いことが明らかになった(以下ランキングは女性のみの集計結果)。
- 1位:交際費(外食・飲み会・デートなど友人知人との交流)…20.5%
- 2位:ファッション・アクセサリー…18.5%
- 3位:ヲタ活(ライブチケット・CD・グッズ等)…14.5%
- 4位:貯金…13.0%
- 5位:コスメ…6.5%
- 6位:スキンケア・ヘアケア…5.5%
- 7位:旅行、レジャー…5.0%
- 8位:書籍・漫画・TVゲーム・スマホゲーム…3.5%
- 9位:スキルアップ(勉強・習い事)…2.5%
- 9位:美容院…2.5%
- 10位:ダイエット・健康管理…1.5%
- 11位:家具・雑貨・インテリア…0.5%
- その他…2.0%
- お金は使わない…4.0%
他、調査では「収入源」「カテゴリー別の1ヶ月あたりの支出」「コロナ禍で増えた・減ったお金の使いみち」「お金を有意義につかうために行なっていること」「貯金額」「貯金している理由」「お金に関する不安」について聞いている。
Z世代のジェンダー意識
続いてこちらも、SHIBUYA109エンタテイメントによる調査。「Z世代のジェンダーに対する意識調査」で「日常でジェンダーやLGBTQ+関連で違和感を持つシーンや言葉」を聞いたところ、「女子力高いね」 「恋人の有無を聞くときに、彼氏いる?と聞かれること」など、ジェンダーの固定概念に捉われる発言に違和感を持つという意見が上がった。以下図は、シーン別にまとめた違和感を感じる表現の事例。
上記のような表現に違和感を持つ彼ら自身は、他者を性別や固定観念で一括りにせず、その人個人に目を向けた言葉を選ぶように心がけているという。例えば、こんな声が上がった。
- 相手を褒める時は「女子力高い」などではなく、「お菓子作りが得意で器用だね」とか、 「髪型変えたね」とか、その子が工夫しているところを伝える
- ゲイの友達が、「ゲイの友達が欲しいと言われるのが、自分という個性ではなくゲイというカテゴリーとして見られているようで嫌だ」と言っていた。悪気があって言っているのではないと思うが、知らないがゆえに傷つけていることがある。その人のパーソナリティに重きを置きたい
続いて、ジェンダーに関して「今後世の中のスタンダードになって欲しいと思うこと」を聞いたところ、次の結果に。性別や見た目などにとらわれず、「個人」を認め合うことを望む意見が多く上がった(以下ランキングは男女計の集計結果)。
- 1位:男らしさ・女らしさではなく、自分らしさを認めてくれる社会…52.3%
- 2位:決めつけや固定観念や偏見で判断されない社会…45.9%
- 3位:性別関係なくファッションを楽しめる…44.1%
- 4位:性別関係なく仕事で活躍できるチャンスが与えられる…44.1%
- 5位:性別関係なくやりたいことを選べる(スポーツや進路など)…43.2%
- 6位:性別関係なくメイクを楽しめる…41.9%
- 7位:LGBTQ +の理解が進み、街中でも同性同士の恋人たちが手を繋いでても、偏見のない社会…38.7%
- 8位:同性結婚が当たり前にできる…36.0%
- 9位:LGBTQ +という言葉自体がなくなり、全ての人たちが認め合える社会…34.7%
- 10位: 同性パートナーが家族として認められる…34.2%
- 11位:性別関係なく制服を選べる(スボン・スカートなど)… 33.8%
- 12位:性別を自分で選べる…24.8%
- その他…0.9%
- 特にない…5.0%
他、調査では「LGBTQ +の認知率」「Z世代と親世代・社会の、LGBTQ +の理解度のギャップ」「LGBTQ +に関するニュースなどを聞いて課題だと感じていること」「LGBTQ+に対して理解していること・したいこと」などについて聞いている。
ミレニアル・Z世代の心を捉える世界観
最後は、ミレニアル世代・Z世代の心を捉える今時の世界観について。参考になるのが、今年7月に発売された書籍「ミレニアル+Z世代の心に響くデザイン(出版:パイインターナショナル)」。この世代特有の消費の価値観に着目しながら、彼らの心を捉えるデザインをキュレートしたもので、実際にキャンペーンなどで使用されたクリエイティブを閲覧できる。
若年層に向けたPRやマーケティングの手法を学びたい時の参考にしてみては?(本書での定義:ミレニアル世代は2021年に26〜40歳を迎える人、Z世代は11〜25歳を迎える人)。
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