健康経営優良法人のメリット・認定基準・健康経営銘柄との違い(4/4)

「健康経営優良法人」と「健康経営銘柄」の違い

健康経営優良法人の初回選定(2017年)より早く始まったのが、健康経営銘柄の選定。健康経営優良法人認定制度と同様に健康経営に積極的に取り組む企業を顕彰する制度だが、こちらは上場企業のみが選定される。第1回目は2015年、今年で5回目を迎える。条件が厳しく選定企業の数が少ないためハードルが高く、選定されたのは、第1回目は22社、第2回目は25社、第3回目は24社、第4回目は26社、今回の第5回目は37社のみ。一方、健康経営優良法人は選定数が多く、2019年は大規模法人部門に821法人、中小規模法人部門に2,503法人が認定され、前回の2.5倍の認定数となった。健康経営銘柄2019で選定された企業一覧は「健康経営優良法人2019に3,324法人を認定(ウーマンズラボ)」から確認できる。

健康経営銘柄ロゴマーク

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今後の健康経営

経産省は今後の健康経営の方針として、中小企業への普及促進と、健康経営による女性の健康課題への対応をあげている。

中小企業への促進

国内の中小企業に健康経営の認知度と実施状況について聞いたところ(平成29年実施,3,476社が回答)、52%が「健康経営を全く知らなかった」と回答、32%が「聞いたことがあるが、内容は知らない」と回答しており、中小企業間で健康経営が浸透していないことが浮き彫りとなった。

だが、健康経営実践の現状と意向について尋ねると53%の企業が「今後取り組みたい」と回答しており、健康経営に対して前向きな企業は多い。

各自治体では中小企業の健康経営を推進するために、独自の認定・表彰制度を実施しており、各地域でも健康経営に取り組む企業の「見える化」が進んでいる。

女性の健康課題への対応

中小企業への促進と合わせて重要視されているのが、女性の健康課題への対応。日本の全従業員のうち約44%は女性が占めており(2016年)、女性の健康課題への対応は急務だ。女性は、月経随伴症、妊娠、更年期症状といった女性特有の体の変化による不調があるため、仕事と健康の両立は働く女性にとって大きな課題である。経産省のまとめでは、月経随伴症による1年間の労働損失は4,911億円と試算されている。よって、健康経営において女性の健康課題への対応として女性が働きやすい環境を進めることが、生産性向上や企業の業績向上に結びつくとの考えから、今回から、健康経営銘柄の選定基準と健康経営優良法人の認定基準に女性の健康に関する取り組みの項目が設けられた。

すでに企業の女性の健康づくりに対する関心は高く、経産省ヘルスケア産業課が行った調査では、「健康経営の取り組みで関心が高いものは?」という質問に対し「女性特有の健康問題対」が56%で最も回答数が多い結果となった。

健康経営、企業のスタンダードに

健康経営優良法人の認定は健康経営銘柄の選定よりも基準がやさしく、また、政府や各自治体による中小企業への推進と、女性の健康づくりが認定基準に入ったことで、健康経営優良法人の認定にチャレンジする企業は今後さらに加速度的に増えると考えられる。健康経営が企業のスタンダードになる日は近い。

 

 

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