「IPO頼み」に警鐘、経産省がスタートアップM&A指針公表
経済産業省は今月21日、新興企業の合併・買収(M&A)活用に向けた留意点を体系化した「スタートアップM&Aガイダンス」を公表した。東京証券取引所の新興企業向け「グロース市場」に新規上場した後、時価総額が10倍以上に成長した企業は5%にとどまるとの調査データを示し、新規株式公開(IPO)を前提とした資本政策だけでは成長機会を狭める恐れがあると指摘。経営の早期段階から企業のM&Aも視野に入れる「デュアルトラック経営」の重要性を示している。
ガイダンスは、政府が2022年11月に取りまとめた「スタートアップ育成5か年計画」を踏まえ、有識者ヒアリングを基にまとめた。売り手のスタートアップと買い手側双方の留意点を整理している。
グロース市場の現状としては、24年末時点で同市場に上場する610社の時価総額の中央値が55億円にとどまることを紹介。さらに、04年からの新規上場会社(上場廃止を除く)でみても、上場時から時価総額が10倍以上に拡大した企業は42社(5%)に過ぎなかった。東証は上場維持基準の見直しを含め市場改善に取り組んでおり、ガイダンスはこうした環境変化が「スタートアップにとってのM&Aの重要性を高めている」と位置付けた。
国際比較では、日本のスタートアップのIPO・M&A件数の比率はM&Aが60%、IPOが40%に対し、米国は92%対8%、英国は94%対6%と、海外ではM&Aが圧倒的に主流になっている。ガイダンスによると、三井住友信託銀行が25年に実施した経営者意識調査(対象741件)でも、将来の成長手段として「IPO予定」と答えた経営者が80.2%を占め、「M&A予定」は5.3%にとどまった。こうしたIPO偏重の背景について、経産省は有識者の見方として、日本の上場基準が諸外国に比べ相対的に低いことなどを仮説として挙げ、経営の早期段階からM&Aも見据えた資本政策やガバナンスなどの構築を求めている。
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