Society 5.0(ソサエティ5.0)とは?実現可能なことと製品・サービス事例(2/3)

【分野別】Society 5.0(ソサエティ5.0)で実現できること

Society5.0の到来で、具体的には各分野でどのようなことが実現されるのか?「医療・介護」「食品」「農業」「交通」「金融」の各分野がどう変化するのか?を見てみよう。

Society 5.0

出典:内閣府「Society 5.0 」

医療・介護

ビッグデータやAIの活用において特に期待が大きいとされている分野が、医療・介護。AIを活用した製品・サービスが、医療や介護を必要としている人の生活をサポートしたり、医療・介護の現場で働く人の負担を軽減する。例えば介護の現場では、ロボットが高齢者の話し相手をしたり介護活動を担う。医療の現場においては、リアルタイムでチェックする患者の健康状態などをAIが解析することで病気の早期発見につながる。エビデンスに基づく効率的かつ効果的な治療を個別最適化して提供することも可能になる。

誰もが適時適切な医療・介護を受けられるようになることは、それを必要とする本人や現場で働く人のみならず、家族など周囲の人の負担をも軽減する。少子高齢化や晩婚化・晩産化を背景に、仕事をしながら介護をする人、育児と介護が同時期にやってくる”ダブルケア”をしている人、10代・20代の若い世代が家族を介護するヤングケアラーの増加などが新たな社会問題となっているが、Sosiety5.0ではこの課題の解決が期待される。仕事と治療の両立における問題にも新たな解決策が見出されるだろう。人々の健康寿命は延び平均寿命との差が急速に縮むことも容易に考えられ、医療費などの社会的コスト削減にも貢献する。

医療・介護分野にSociety5.0が浸透することは、昨今新たな社会キーワードとして取り上げられているダイバーシティとイングルージョンを急速に推し進めるとともに、誰もが快適に、そして安心して人生100年を歩むことができる社会がやってくる。

Society 5.0

出典:内閣府「Society 5.0 」

食品

食品分野におけるSociety5.0の到来は、人々により健康で快適な生活をもたらす。AIが個々の情報を解析することで、消費者は、自分や家族のアレルギーの有無・健康状態・嗜好に合わせた食品や料理の提案を受けられるようになる。冷蔵庫内の食材管理は自動化され、必要な時に必要な分だけ発注・購入できるようになるので食品ロスが減り家計にも嬉しい。生産者や店舗側にもメリットは大きく、消費者のニーズに合わせた生産・発注・在庫管理ができる。

今フードロスは先進国を中心に世界的な問題として指摘されているが、AIにより需給が最適化されるSociety5.0ではこの問題は徐々に解決へ向かっていくだろう。

Society 5.0

出典:内閣府「Society 5.0 」

農業

農業の分野でもAIによるビックデータの解析やロボットが活躍し、農作業の省力化・軽労化・自動化や、需要と供給に合わせた無駄のない生産が可能になる。例えばマルチロボットトラクタが人に代わり農作業を行ったり、AIが消費者のニーズやトレンドに合わせた収穫量を設定したり、天候予測に沿った作業計画の立案、農業従事者間での経験やノウハウの共有を可能にする。これにより高生産なスマート農業が実現し、食料の安定供給、農業従事者の高齢化や人手不足の解消、食品ロスの軽減につながる。

スマート農業の実現に向けては、農林水産省が2013年に「スマート農業の実現に向けた研究会」を立ち上げており、各企業による技術開発が急速に進められている。

交通

Society5.0では誰もが快適に安全に移動できるようになる。無人自動走行により事故の軽減や交通渋滞が緩和され安全・快適に移動できるようになる他、天気・交通・飲食・宿泊などのリアルタイム情報やセンサー情報などのビッグデータをAIが解析し、天気や混雑を考慮したルートを個別に提案する。また、高齢者や障がい者は自立型いすにより一人で移動できるようになるので、本人やその周りの家族などの移動時の負担が軽減される

金融

金融の分野ではすでに「フィンテック」がSociety5.0の実現を支えている。すでに提供が始まっている事例としては、AIを活用した家計簿管理、クラウド上の決済データを活用した融資サービス、クラウド会計ソフト、アルゴリズムを活用し顧客のリスク許容度に合わせた自動資産運用などが挙げられる。利用者が徐々に増えているキャッシュレスサービスも当てはまる。日本のキャッシュレス比率は20%ほどで、40〜 50%をゆく他先進国と比べると未だ低い水準だが、2018年末にペイペイが実施した「100億あげちゃうキャンペーン」で大きな話題を集めたのを皮切りに、利用者は今後急速に増えるだろう。まずは、デジタル決済に抵抗を感じない若い世代を中心に浸透の予感。

フィンテックの活用が進むSociety5.0では、各種サービスにより蓄積されるビックデータを企業が活用することで販売機会が拡大する他、事務手続きの効率化や人的コストの削減により生産性が向上する。

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