Society 5.0(ソサエティ5.0)とは?実現可能なことと製品・サービス事例(3/3)

Society 5.0(ソサエティ5.0)時代のヘルスケア

ここからはソサエティ5.0時代におけるヘルスケア市場について見ていきたい。

ヘルスケアトレンド

ソサエティ5.0時代では、ヘルスケア市場にどのようなトレンドが訪れるのか?経団連による以下レポートが参考になる。

Society 5.0(ソサエティ5.0)を実現するヘルスケア分野の製品・サービス事例

Society5.0を実現する製品・サービスはすでに各分野で登場している。ヘルスケア分野に焦点を当てて事例を紹介。

AIホスピタル

Society5.0を医療分野で実現する代表例が、現在、政府が主体となって研究開発に取り組んでいる「AIホスピタル」。AIホスピタルとはAIやIoT、ビッグデータを診断・治療に活用した医療機関のことで、高度で先進的な医療サービスを患者に提供するとともに、医療機関における効率化を図り、医師や看護師などの医療従事者の抜本的な負担の軽減を実現する。AIホスピタルでは、医療現場の事務的業務の自動化、診療時記録の自動文書化、AIによる診断支援や超精密検査、患者に起こる危険な兆候の察知、薬剤の誤投与などの人為的ミスの回避が可能となり、医療従事者の負担軽減(医療業界の働き方改革につながる)、医療の質的向上、患者のQOL向上を図る。

ウェルウォークWW-1000

ウェルウォークWW-1000(トヨタ自動車/藤田医科大学)は、脳卒中などによる下肢麻痺者向けに開発されたリハビリテーション支援ロボット。第8回ロボット大賞(2018年開催)で厚生労働大臣賞を受賞。

本ロボットの特徴は運動学習理論に基づいて機能がデザインされている点で、運動学習の主要因子である転移性、動機づけ、フィードバック、難易度、練習量を考慮して諸機能を統合し一つのシステムとして具現化している。患者の能力に合わせた練習難易度の調整機能、患者に今の状態(全身映像、膝折れ音、荷重成功音など)をフィードバックする機能、タッチパネルでの一括操作機能、練習ガイドの機能などを備えている。患者の歩自立生活を支援し健康寿命の延伸を図るとともに、リハビリの現場で働く人の負担を軽減する。

出典:第8回 ロボット大賞

aibo

aibo(ソニー)は、AI技術を搭載した犬型ロボット。グッドデザインアワード2018のグッドデザイン金賞を受賞。

aiboは飼い主(持ち主)との触れ合いを通じて固有の性格が形成されていくエンタテイメントロボット。周辺の環境や人を認識するセンサーデバイスとAI技術により、aiboは好奇心を持つ上に、自ら人に近づくこともする。まばたきやしぐさも成長し、日々の人との関わりを通じて感情を豊かに表現するようになる。日々ロボットが成長していく姿は、まるで本物の犬を飼っているような気持ちになる。aiboのようにペットのようなロボットが多くの家庭で受け入れられるようになれば、今後増加すると予測されている単身者、とりわけ人間関係が希薄になりがちな高齢者のQOLを向上させるとともに、外部の人とのコミュニケーションや外出の機会の創出にもつながり、心身に健康効果をもたらす。エンタテイメントロボットや介護ロボットが一家に一台ある社会は、もうすぐそこまでやってきている。同社のHPでは、実際にaiboを購入した飼い主たちのインタビューを掲載しており、aiboが人々に幸せをもたらしている様子がうかがえる。

歯のケンコウシンダンアプリ

歯のケンコウシンダンアプリ(株式会社テラスカイ)は、口の写真を撮るだけで歯の健康診断ができ歯科医に診てもらうべきかを教えてくれるAIアプリ。「Salesforce AIコンテスト2018」で3等を受賞。

歯科医院での検査には手間・時間・コストがかかることから歯科医院へ足を運ぶのを躊躇する人は多く、それが歯の健康寿命を短くする要因になっている点に着目。このAIアプリを使えば短時間で歯の状態を知ることができ、歯科医に診てもらうべきか否かを判断できる。

仕事・家事・育児・介護などで日々を忙しく過ごす働き世代は、忙しさを理由に医療機関を受診せずに重大な病気の発見が遅れてしまうこともある。そのような現代人のニーズを捉えた予防医療アプリは今後さらなる充実が見られそうだ。

期待大きいヘルスケア分野

Society5.0は個々の生活を豊かにするだけではなく、さまざまな社会課題を解決していく。特にAIやビックデータの活躍の幅が広いヘルスケア分野においてはその期待は大きく、消費者のライフスタイル・消費行動・健康行動を大きく変えていくことだろう。Society5.0を実現する製品・サービスの動向は常にチェックしておきたい。

 

 

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