ダイエット 女性のニーズはどう変わった?
ダイエットは全年代の女性にとって大きな関心事。これまでにさまざまなダイエット法が話題を集めてきたが、近年は、人気ダイエットの傾向に変化が起きている。ダイエットをする女性のニーズはどう変わったのか?女性の意識変化とあわせ、女性の間で人気の簡単ダイエットの方法を紹介。
目次
変化する女性のダイエットニーズ
ダイエットは「簡単」「楽」から「楽しみたい」へ
女性たちのダイエットニーズが変化している。飲むだけで痩せるという手軽さが受け「ダイエットシェーク」が一大ブームとなった前例があるように、以前は「簡単」「楽」なダイエット方法が人気を集めていたが、最近は「簡単で楽なダイエット人気」は落ち着いてきている。「ダイエット 簡単」のネット上の検索ボリュームを見ると、2015~2016年をピークに減少傾向にある。
では、今はダイエットに何が求められているのか?マイナビウーマンが女性を対象に行った調査で、「ダイエット方法を選ぶ際に大事だと思うことは何ですか?」と聞いたところ、次のような結果となった。
- 1位:結果が出ること(57.7%%)
- 2位:続けられること(55.1%)
- 3位:楽しめること(48.4%)
- 4位:ストレス解消ができること(31.3%)
- 5位:体の不調が治ること(27.1%)
- 6位:リラックス効果があること(23.5%)
- 7位:楽なこと(20.8%)
- 8位:疲労回復できること(18.6%)
- 9位:ファッションが楽しめること(6.5%)
- 10位:コミュニケーションがとれること(4.0%)
- 11位:その他(2.3%)
※参考:マイナビウーマン「働く女性のマインド調査」
「楽なこと」を求めているのは2割ほどで7位。「続けられること」「楽しめること」「ストレス解消ができること」「体の不調が治ること」「リラックス効果があること」が「楽なこと」を上回る結果となった。
ニーズが変化している理由
ニーズが変化しているのは、女性たちのヘルスリテラシーが高まり「そう簡単に・楽には痩せられない」と気づき始めたことが理由だと考えられる。
ダイエット関連商品・サービスが市場に増えたこと、口コミサイトで消費者サイドの情報を得られるようになったこと、自身のダイエット経験が豊富になったことで、女性たちは賢い消費ができるようになり、企業が広告で謳うほど簡単には痩せられないことを理解するようになった。
女性の美に対する価値観の変化も一つの要因だ。「おしゃれ」「きれい」の定義が変わり、今は「ただ細い」ではなく「メリハリボディ」が好まれるようになった。
実際に、女性が憧れる理想の体型に関する調査では、「全体的に細い華奢ボディ」よりも「スレンダーなしなやか筋肉ボディ」や「なめらかなくびれボディ」に支持が集まり、筋肉や女性らしい曲線を理想に掲げる女性の存在が明らかになっている。
このように価値観が変化した背景としては、米国セレブの存在が大きい。おしゃれなワークアウトファッションでフィットネスに励み、ほどよい筋肉美を披露している姿がSNSで拡散され、「運動するのはおしゃれなライフスタイル」「ただ細いよりも筋肉がある引き締まった体がおしゃれ」という考えが急速に広まった。たとえば、国内ではカリスマトレーナーのAYAさんが女性たちから人気を集めている。
今、求められている「簡単ダイエット」とは?
とはいえ今なお簡単なダイエットのニーズはある。だが最近は以前のように「楽して痩せたいから簡単なダイエット方法を知りたい」というより、「毎日忙しくてダイエットの時間を確保するのが難しいから、無理なく時短でできる簡単なダイエットを知りたい」というニーズが強まっている。また、最近の世界的な潮流と言える「力まない」「ナチュラル」「頑張りすぎない」という思考も、「がっつりダイエットに取り組むよりは、ゆるく簡単に取り組みたい」というニーズを生んでいる。
合わせて読みたい記事
簡単ダイエット 〜おすすめの食事方法と人気料理の レシピ〜
ここからは、女性たちの「時短ニーズ」を叶えている女性に人気の簡単ダイエット方法を紹介。
糖質制限
- 【糖質制限ダイエットの特徴】
糖質を採らないようにするダイエットのこと。3大栄養素の1つである「炭水化物」の一部を摂取しない方法 - 【簡単ポイント】
炭水化物・糖質を食事から除去するだけ - 【人気のポイント】
特別なものを用意する必要がない手軽さと、糖質以外の摂取の制限はないという手法から、カロリー制限ダイエットと比べると食事の満足度は適度にあり、比較的継続しやすい点
簡単に取り組めるが、過度な糖質制限は脂質やたんぱく質の過剰摂取を招き、体への負担が大きくなることが指摘されており、注意が必要。以前は完全に糖質を摂らない方法が人気だったが、健康志向の高まりや糖質制限のリスクの認知が広がったことで、今はゆるやかに糖質制限をする方法が人気。参考になる書籍は「糖質制限食のススメ その医学的根拠と指針」。
代用
- 【代用ダイエットの特徴】
代用食材を使うことで食事のカロリーコントロールを行う方法 - 【簡単ポイント】
普段のレシピの一部を代用食材に変更するだけ - 【人気のポイント】
味付けの工夫ができれば、低カロリーなのに高い満腹感、満足感を得られる
オイシックスはお米の代用品として、細かくカットしたカリフラワー「お米のかわりに カリフライス」を販売。大塚食品はお米と混ぜて炊くだけで糖質&カロリーカットができる「マンナンヒカリ」を販売。マンナンヒカリに関して、ネット上には「米と比較して“パラパラ”はしているが、違和感が思ったよりなく、味も悪くないため続けやすい」といった満足度の高い声が多数。継続しやすい点が評価されている。
サラダ、サラダご飯
- 【サラダご飯の特徴】
ご飯の代わりに野菜たっぷりのサラダを食べる、あるいはご飯の前に食べる(ベジタブルファースト) - 【簡単ポイント】
多様な種類の野菜をたくさん摂取するだけで満腹感を得られる - 【人気のポイント】
カロリーを抑えられ、野菜不足も解消できる。主食に入る前にサラダをたくさん食べておくことで主食のドカ食いを防げるのも利点。特にキャベツは年中販売しているため入手しやすく、価格も安く、ボリュームを出しやすいことから人気。「栄養バランスを1食で簡単に叶えるダイエット食」という点が評価されていることや、近年女性たちの間でインスタ映えもあってサラダは一大ブームに
スープ、鍋
- 【スープや鍋ダイエットの特徴】
具沢山スープや鍋を主食にする - 【簡単ポイント】
多様な具材を鍋に投入するだけで、調理の手間がかからない - 【人気のポイント】
野菜たっぷりで栄養バランスを簡単に整えられることや、野菜と温かいスープで満腹感を得やすいこと。調理の手間がかからないこと。低脂質・高たんぱく質のダイエット食として人気の豆腐は鍋との相性が良く、ヘルシーな食事に仕上げられる点も良い
食品スーパーでは冬が終わると、鍋スープの素など鍋関連の商品が棚から消えしてまうが、せっかくの商機を逃している。鍋は女性の人気のダイエット方法なので、鍋ニーズは通年ある。春~秋も用意しておきたい。
作り置き
- 【作り置きダイエットの特徴】
ダイエットに良い料理を作り置きしておく - 【簡単ポイント】
ダイエットに良い料理を多めに作りストックしておくだけ - 【人気のポイント】
ダイエットの食事管理がうまくいかない理由の一つは、料理の手間や料理の時間を確保できないことで、お菓子につい手が伸びたり外食が増えてしまうこと。想定外のカロリー摂取につながりダイエットに失敗する。作り置きしておけば、忙しい時でも疲れている時でもヘルシーな食事を続けられる。冷凍食品やチルド食品と比較してヘルシーな献立にできる点も好評価。
おかずの作り置きでダイエット成功を目指す「やせるおかずシリーズ(やせおかシリーズ)」の書籍は特に忙しい女性に人気。
簡単ダイエット 〜人気の運動方法〜
「ダイエット=食事制限」のイメージは薄れ、最近はダイエットとしての運動に積極的に取り組む女性が増えている。男性と比較すると女性の運動行動者率は低いが、最近の女性は具体的にどのような運動に取り組んでいるのか?女性に人気の運動方法を8つ紹介。
EMS
- 【EMSの特徴】
筋肉に電気刺激を与えて鍛えるエクササイズ方法 - 【簡単ポイント】
装着するだけで鍛えられる - 【人気のポイント】
つらい筋トレをする必要がなく、装着するだけでシェイプアップできるのが最大の魅力。「つらい」「疲れる」といった筋トレのネガティブイメージが一切ないため、心理的ハードルが低く継続しやすい。テレビを見ながら、家事をしながら、など「ながら」で取り組める点もGood。日々忙しい女性にとって運動を時短化できるのは嬉しい
一昔前に話題になったEMSが今再び脚光を浴びている。男性にも人気のSIXPADを女性向けに開発したEMS商品「Bottom Belt」はヒップのシェイプアップに使えるEMSアイテムで、大臀筋・中臀筋・ハムストリングスの3つの筋肉を同時にシェイプアップし、効果的にお尻周りの筋肉を鍛えることができる。
EMSを使ったフィットネスジム「X BODY Lab」は世界55ヶ国で展開。全身型EMSトレーニングシステムが特徴。スーツを装着してトレーニングを行うことで、全身24ヵ所の筋肉群を同時に刺激できる。20分間のトレーニングで、約3~4時間トレーニングを行ったのとほぼ同じ効果が得られ、効果的なボディメイキングが可能。
アプリ
- 【アプリでダイエットの特徴】
アプリで手軽にダイエット計画をたてたり、管理、実行できる - 【簡単ポイント】
常に持ち歩いているスマホで記録・管理ができる。場所や時間を選ばない。歩数などを自動計測してくれる点も簡単ポイント - 【人気のポイント】
機能は各アプリで異なるが簡単ポイントとして一律評価されているのが、簡単に日々の体重やダイエット行動を記録し、可視化できる点。ユーザー同士でコミュニケーションをとる機能を採用しているアプリもあり、ダイエットの最大のハードルである「モチベーション維持」にも貢献している
女性たちに人気のダイエットアプリは以下の記事をチェック。人気アプリの特徴が見えてくる。
合わせて読みたい記事
ユーチューブ
- 【ユーチューブでダイエットの特徴】
エクササイズ動画をユーチューブで見ながらダイエット。ヨガ、ストレッチ、セルフ整体、筋トレなどエクササイズ内容は多岐に渡る - 【簡単ポイント】
雑誌や書籍の弱点である「一つ一つの細かい動作確認」も、ユーチューブなら動画なので容易にできる - 【人気のポイント】
無料で多様なプログラムが公開されている。自分の好きな時間・好きな場所でサクッと取り組める
人気ユーチューバーの代表は、登録チャンネル数が多いB-life。女性に人気が高いヨガをわかりやすく紹介している。短時間で手軽にできるものが多いのが◎。
他、ヘルスケア分野の人気ユーチューバーは以下の記事で紹介。
DVD
- 【DVDでダイエットの特徴】
ダイエットに役立つ運動をDVDを見ながら取り組む - 【簡単ポイント】
雑誌や書籍の弱点である「一つ一つの細かい動作確認」がDVDなら容易 - 【人気のポイント】
動きの姿勢や呼吸などを確認しやすい点や、自分の都合の良い時間に本格的なエクササイズに取り組める点
ただしDVDはユーチューブやアプリと異なり、開始するまでの各種操作(DVDセット、テレビやPCのスイッチをつけるなど)に時間をとられることが、若干の心理的ハードルとなりマイナス。ユーチューブやアプリは短時間エクササイズを中心とした構成であるのに対し、DVDは1時間前後と長時間構成なのが特徴。ジムに通うのは抵抗があるが、ユーチューブやアプリのような短時間構成のプログラムでは物足りない女性がDVDダイエットを利用する傾向にある。
短時間フィットネス
- 【短時間フィットネスの特徴】
短時間プログラムをコンセプトにした忙しい人向けのフィットネス施設 - 【簡単ポイント】
20~30分と短時間で筋肉を鍛えたり基礎代謝を上げるプログラムに取り組める - 【人気ポイント】
自宅では用意できない本格的な器具を使用したトレーニングに短時間で取り組める点。滞在時間が長くなりがちな総合フィットネスクラブと比較すると心理的ハードルが低い
「短時間」を謳ったフィットネスが次々に登場。特に忙しい女性に支持されている。短時間フィットネスの元祖はカーブス。女性に特化しており会員もスタッフも女性のみ。1回30分のオリジナルプログラムがあり、予約不要で気軽に通える気軽さが評価されている。40~60歳代が中心で比較的高年齢層に人気。
ニューヨークから全世界に流行したバイクエクササイズができる暗闇フィットネスのフィールサイクルも人気。「わずか45分で800kcal消費」を謳う。有酸素運動と筋トレを組み合わせたプログラムで、効果的に脂肪燃焼できるエクササイズを提供しているのが特徴。大音量の音楽、プログラムと連動した映像を楽しむことができるためストレス発散にも貢献。短時間で爽快感抜群の暗闇フィットネスにはまる女性は多い。
ダイエットツール
- 【自宅でツールを使うダイエットの特徴】
腹筋を鍛えるローラーや自宅用フィットネスマシンなど器具を使って自宅でトレーニングを行う - 【簡単ポイント】
ジムに通う時間が取れない人でも、ジムと似たような環境を自宅につくることができる - 【人気ポイント】
自宅にいながらにして、ジム同様の本格的なトレーニングに取り組める。騒音対策に、消音設計になっている器具もある
テレビを見ながら、家事の合間、就寝前などにサクッとダイエットツールを使ってエクササイズに取り組める点が喜ばれているが、自宅で1人でもくもくとダイエットを継続するのが難点という女性も。購入してもあっという間にタンスの肥やしになったというのは、特にダイエット商品でよく聞く話。
ウォーキング
- 【ウォーキングダイエットの特徴】
歩くだけ。主に足腰、腹筋を鍛えられる
- 【簡単ポイント】
姿勢や歩行速度にもよるが、歩くだけでダイエット効果がある - 【人気ポイント】
特に中高年に人気。器具も運動スペースも必要なく手軽にスタートできる。お金がかからないことも人気ポイント
中高年層のウォーキング人気を背景に、各自治体では「ウォーキング+観光」のイベントが頻繁に開催されている。いずれも人気で、集客に成功している。中高年層をターゲットにした女性誌もウォーキングイベントを開催、人気コンテンツの一つになっている。
スニーカー通勤
- 【スニーカー通勤ダイエットの特徴】
通勤時に履く靴をパンプスなどからスニーカーに変えることで、運動効果を高める - 【簡単ポイント】
シューズを履くだけ - 【人気ポイント】
日々の通勤でスニーカーを履いて歩くだけで、消費カロリーを上げられる。忙しい女性にとっては通勤しながら運動もできるので一石二鳥。ハイヒールによる脚のむくみに悩む女性は多く、スニーカー通勤はむくみ対策としても人気
スニーカー通勤が増えている背景には、近年の「アスレジャー人気」や「ファッションのカジュアル化」「スポーツ庁が推進する官民連携プロジェクトファン&ウォーク」がある。
ダイエットマーケティングのコツ
他にも、女性に人気の簡単ダイエットは「睡眠の質を高める」「セルフマッサージ」「日頃から姿勢を良くする」「呼吸を整える(スローブレスダイエット)」など多岐にわたる。男性はダイエットを決意するとすぐに本格的な食事改善と運動を開始できる傾向があるが、女性は緩やかに継続でき、かつ心身の負担にならない“ゆるやかな”ダイエットを実践する傾向にある。女性にダイエット商品・サービスをすすめるなら「簡単で心身の負担にならない」ことを打ち出すのが良い。他、以下にダイエットマーケティングのコツをピックアップ。特に重要なのは「年齢やライフステージによって異なるダイエットニーズを理解した訴求」。
- 「簡単」「心身の負担にならない」ことを打ち出す
- さらに「時短」「ゆるく」もセットでアピール(女性は時間予算も考慮するため)
- 劇的な効果はうたわない(最近の消費者は賢いので、かえって信用を損なう)
- 楽しんで続けられる要素をアピール(先述のアプリのようにコミュニケーション機能を取り入れるなど)
- ストレスフリーなダイエットであることをイメージさせる
- おしゃれなライフスタイルになることをアピール(「ヘルシー=イケてる!」感は特に若い女性層にささる)
- 年齢やライフステージによって異なるダイエットニーズを理解した訴求
- 多くの女性がリバウンドを繰り返すことに悩んでいるので、リバウンドさせない仕組み・手法を用意する
- ダイエットで美肌もエイジングケアも叶うなど、一石二鳥、三鳥であることを訴求する
など
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