機能性表示食品の市場規模(2019年)から考える戦略と注目カテゴリー(3/3)

【2】ターゲットの細分化で具体的な訴求を

ヘルスリテラシーの高い女性は、女性ホルモンによる体調の変化、出産・育児、更年期などを機に健康ニーズが急激に高まる。さらに高齢になれば健康への投資額は上がることが各種調査で明らかになっている。

消費者の心に響くものであれば購入はしてもらえるものの、市場の供給過剰に加え、さらに多忙を極める人が増えている今、商品選択を「難しい」「面倒」と感じている人が増えている。そのため「これは自分に向けた商品だ」と直感的に理解してもらえるよう、ターゲットを細分化して訴求するのが望ましい。ライフスタイル、ライフステージ、年齢に合わせた的確な訴求なら、商品を選択しやすくなる。例えば以下のような具合だ。

ワーキングシングルがターゲットの場合

ドリンクを例に考えたい。ワーキングシングルを狙うなら、仕事中にバックに入れられるタイプ(軽量、バックに入るサイズ、スリム、蓋がしっかり閉まる、など)が好まれるが、家族と一緒に住んでいる既婚者を狙うなら、自宅で家族全員が一緒に飲める大容量タイプが好まれる。

妊婦がターゲットの場合

妊婦を狙うなら、カフェインレスが良い。それまで愛飲していたドリンクを、妊娠を機に摂取をやめる女性は多い。そんな時に、それまで愛飲していた商品のカフェンレスタイプがあれば、そちらに移行して飲み続けるだろう。

中高年層がターゲットの場合

中高年層を狙うなら、若い人向けに謳うのとは異なる効果で訴求したい。同じ「コラーゲン」でも、若い人と中高年層では期待していることは異なる。一般的には美肌を目的に飲む女性が多いが、中高年層では、髪のツヤ、爪の補強なども期待している。

高齢者がターゲットの場合

高齢者を狙うなら、商品のパッケージに記載する文字、ホームページの文字サイズ、広告の文字など、これらは大きく表示するべきだ。本も商品のパッケージも文字の小さいものが多いが、高齢者は、老眼や視力低下の影響で小さい文字を読むのが苦痛だ。当然のことだが、必然的に大きい文字で読みやすい商品に目がいく。また、流行りのヘルスケアキーワードも避けた方が良い。新しいトレンド情報に常にアンテナを張っている若い人と高齢者では、トレンド変化に対する耐性も違えば理解度も違う。特に横文字のものは馴染みがない上に抵抗を感じやすい。ネットを使いこなす人であればネットで調べるかもしれないが、70代、80代のネット利用率はまだまだ低く、そしてインターネットを「参考情報源」と捉えている人も少ない。

このようにライフスタイル、ライフステージ、年齢でターゲットを設定すると、どのような工夫をすれば良いかが明確に見えてくる。

【3】ストーリーテリングで信憑性と興味・関心を引く

機能性関与成分に関する研究レビュー、商品の開発経緯、企業担当者や研究者の市場投入までのエピソードなど、普段は消費者が目にすることのない商品の「裏側」の部分をストーリーテリングで惹きつけるのも、商品を目立たせる手。ただし、「エビデンスが数字や難しいグラフだらけで理解が難しく、堅苦しい」というありがちなNG例に陥らないように気をつけたい。小難しい話は女性は好まない。女性が共感するのは「直感的でわかりやすい」ストーリーだ。

【4】商品の周辺情報を充実させる

健康食品の見分け方、商品と自分の相性の見分け方、その商品はどんなシーンで「私」におすすめなのか、商品の効果を高めるための生活習慣提案(例:睡眠改善の機能性食品であれば、就寝前に半身浴で体を温める、睡眠の質を低下させるブルーライトを発するスマホやテレビを見ないなど)、機能性関与成分にまつわる健康トピックなど、商品そのものの情報だけではなく、商品の魅力を高めるコンテンツ作りも織り交ぜると、消費者の目に留まりやすくなるだろう。

 

 

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