F1層とは?特徴・トレンド・消費行動(2020年)(2/3)

F1層の消費行動の特徴

F1層は最も消費意欲が高いが、“コスパ”を重視

F1層は、F1〜3層の中で自分への関心が最も高く消費に意欲的。社会人になり収入を得られるようになったことで特に自分消費が活発で、この層においては化粧品やヘア、ファッションなど自分の外見磨きに関する消費が好き。また、トレンドに敏感で新しい商品やサービスへの消費に対する心理的ハードルが低い。このようにF1層は消費に意欲的なので企業に人気のターゲット層だ。

だだ気をつけたいのは、自分への興味・関心が高いといっても、近年のF1層は消費にシビアな点だ。節約志向の高まりで若者の消費支出は以前よりも減少している。30歳未満の単身者に絞られたデータになるが、消費者白書(消費者庁,平成29年)によると男女ともにこの年齢層の消費支出は減少傾向にあり、女性においては1999~2014年の間で「被覆及び履物費」は-7,576円、「食料費」は-7,372円と、減少している。

この変化を見ると、近年言われている「若い世代は消費をしなくなった」裏付けのように感じてしまうが、必ずしもそうとは言い切れない。F1層を中心に安価で品質の良い商品は今大人気だ。ユニクロ、H&Mなどのファストファッションや、100円ショップ、300円ショップのコスメや生活雑貨は「コスパが良い!」と高く評価され、今や「おしゃれ上手」「お買い物上手」の代名詞。ブランド至上主義であった一昔前なら恥ずかしくておおっぴらには言えなかった “ 安上がりの買い物 ” や ” コスパ重視 ” が、今は若い女性たちにとって重要な消費判断基準になっている。特にそれが顕著なのが100円ショップ。化粧品、コスメ、美容アイテム、生活雑貨のカテゴリーで数々のヒット商品を生み出しており、機能性以外に、今までにありそうでなかったアイディアや今時の女性の心をつかむデザインセンスが高く評価されている。F1層の消費金額は減少傾向にあるが、コスパが良いものにはお金をかけるのがF1層の大きな特徴だ。

ライフコース別に異なる特徴

コスパを重視しながら消費意欲に活発なのがF1層の大きな特徴だが、ライフコースによって異なる特徴が見られる。

シングル女性の消費行動の特徴

シングル女性はほぼすべての収入を自由に使えるので、F1層の中でも特に自分消費が活発。美容、ヘルスケア、ファッション、女子会、旅行、スキルアップなどの消費に意欲的。

既婚女性の消費行動の特徴

既婚で子あり・専業主婦の女性の場合は、自分消費よりも家族消費が活発。自分自身の就労による収入がないこともあり自由に使えるお金は少なく、家事・夫・子どもに関連する消費が中心。

既婚で子あり・仕事ありの女性の場合も、同様に家事・夫・子どもに関する消費が中心だが、自分消費や時短商品への消費も活発。自身の収入があるので経済的に多少余裕があり、仕事と家事・育児を両立するためにお金を時間で買う傾向が強い。収入がある上に仕事で外出する機会も多いので、自分の美容消費や疲れをためないためのヘルスケア消費にも意欲的。

F1層が好きなもの(トレンド)

F1層が好きなモノ・コトや興味を、キーワードと一言解説で見てみよう。

<スマホ>

スマホは生活の中心で、スマホで何でもこなす。商品選択も購入・決済も口コミも、家族・友人とのコミュニケーションも、ラジオ・動画の視聴や体のケアなどもすべてスマホ1台で管理。

<SNS>

SNSで人間関係を構築したり自分を表現するなど、SNSは自身のアイデンティティのコアを形成している。SNSでの「いいね」を自分の評価軸にする傾向が強く、「SNS映え」「インスタ映え」は一大トレンドに。

<アプリ>

情報収集、通販、フリマ出品、メイクやヘアスタイルのハウツー、ダイエット、食事管理、エクササイズ、月経管理、スキルアップ、ゲーム、子ども向けの知育・遊びなど、欲しいこと・やりたいことはたいていアプリで済ませる。F1層〜F3層の中で最もアプリを最大限活用する世代。

<インフルエンサー>

芸能人やファッションモデルにも憧れるが、F1層はもっと身近なインフルエンサーを憧れの対象とし手本にする。InstagramのインフルエンサーやYou Tuberからメイクやヘアスタイル、ファッションなどを習得する行動は日常的に見られる。

<シェア>

「所有」よりも「シェア」を好む。自分の親とコスメを共有したり、自分の子どもと化粧品をシェアするのは日常的。自動車・自転車はシェアリングで十分。新品へのこだわりは強くなく、他人の使いかけの化粧品をフリマで購入する文化もF1層が作り出した。

<DIY>

何でも簡単に手に入る時代だからこそ「あえて手づくりをしたい」ニーズが高まっていることと、コスパ重視や個性を大事にしたいという考えから、自分だけのオリジナルを生み出せるDIYがブーム。生活雑貨もメイクパレットもアクセサリーも、今のF1層は簡単に手づくりする。

<昭和レトロ>

F1層にとって自分が知らない昭和は、「古い」ではなく「レトロ」「おしゃれ」「かわいい」。インスタ映えすることからも、母親や祖母が使っていたコスメや雑貨などを投稿する女性は多い。

<スキルアップ>

F1層の中でも特にスキルアップに興味・関心が高いのは20代後半以降。仕事で経験を積み、また、結婚・出産などライフプランを考える時期にあたるため、必然的にキャリアプランを考えるようになるからだ。

F1層の検索傾向

F1層を理解するのに押さえておきたいのが、特徴的な検索行動。F2層以上はインターネットで情報を得る時、グーグルやヤフーなどの検索エンジンを使うのが主流だが、F1層はSNSでの検索を活用する。リアルタイムで検索できる点や、広告ではないリアルな情報を得られることに利便性を感じている。

検索傾向と合わせて特徴的なのは、F1層が参考にしている情報源。中高年層はテレビの情報源を参考にする人が最多であるのに対し、F1層はインターネットの情報が最多という調査結果がある。デジタルネイティブ世代でもあるF1層にとってインターネットからあらゆる情報を得るのは日常的であると同時に、インターネットでの情報収集が消費や行動に影響を与えていることがうかがえる。

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