ヘルスケアビジネスの市場規模・企業事例・領域(3/3)

ヘルスケアビジネスの注目企業

次に、国内のヘルスケアビジネスの注目企業を紹介。以下は経済産業省が2016年より開催している「ヘルスケアビジネスコンテスト」の2020年の受賞者。グランプリの2社はどちらも、「つなげる」をテーマにしたヘルスケアサービス。他、「ケア」「予防」「治療」」をテーマにテクノロジーを活用したプロダクトやサービスが受賞を果たした。

ヘルスケア分野のコンテストや大手企業とのコラボを前提としたアイデア募集は、国・各種団体・各大手企業が頻繁に開催している。受賞・採択されるメリットは大きいので、中小企業こそ積極的にトライしたい。

ヘルスケアビジネスコンテンスト2020 アイデアコンテスト部門グランプリ

  • 介護ワークシェアリングサービス「カイスケ」(カイテク株式会社
    人材不足の介護施設と、空いた時間を有効活用したい介護士・看護師をマッチングし、給与受け取りまでの一連の流れを1プロダクトで完結するサービス。受注したいフリーランスと発注したい企業をマッチングする「ランサーズ」や「クラウドワークス」の介護業界版といったところだ。スポットで仕事を検索できる仕組みは働く側にとって精神的にも体力的にも負担が少なく、また、施設側にとっては採用コストを抑えられる。双方にとってメリットが大きく、人材不足、採用コストの増大、高い離職率など、問題が山積みの介護業界に大きく貢献しそうなサービスだ。リリースは2020年12月ごろを予定。

ヘルスケアビジネスコンテンスト2020 ビジネスコンテスト部門グランプリ

  • 病児保育室と家族をつなぐ「あずかるこちゃん」(CI Inc.)
    病児保育室に預けたい親が、子どもに最適な施設をスマホで簡単に検索・予約できるサービス。施設内の様子やスタッフなどを写真で確認したり、預け先の施設とコミュニケーションできる機能も備える。怪我や病気で通園・通学できない子どもの適切な預け先を見つけるのは容易ではない。共働き世帯が多い今、病児を抱えるママ・パパにとって重宝される人気サービスとなりそう。2020年4月にサービス開始予定。

その他の受賞者

  • 10分1000円から利用できる、治療をしない予防歯科Hakara(Hakara)
  • 身体にやさしい心臓病治療を可能にする新規カテーテルデバイス「MAV」(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 塩分管理をラクにする食品検索・食事管理アプリケーション「さがそると」(湯野川 恵)
  • 日本初の“アトピー見える化アプリ”アトピヨ ~アトピーはみんなで治す時代へ~(アトピヨ)
  • ピアサポート型習慣化アプリ「みんチャレ」を活用した2型糖尿病の重症化予防(エーテンラボ株式会社)
  • 発達障害支援機関向けソーシャルスキルトレーニングVR「emou(エモウ)」(株式会社ジョリーグッド)
  • 和歌山発、誤嚥の予防のために開発した器具「タン練くん」の製造販売。全国のお年寄りを助けたい。(株式会社リハートテック)

ヘルスケアビジネス関連情報

ヘルスケア産業政策の概要

経済産業省のホームページで、ヘルスケア産業政策の概要をまとめている。

ヘルスケア関連の展示会

ヘルスケア産業の市場拡大で、近年、ヘルスケア関連の展示会が増えている。食、スポーツ、美容、介護、医療機器、予防医療、統合医療などヘルスケア関連の専門展示会の他、AI・ロボット、デジタルマーケティング、広告、PB開発などヘルスケアビジネス周辺の展示会まで、主要展示会を以下ページで紹介。

ヘルスケア関連書籍

2020年、チェックしておきたいヘルスケア関連の書籍は以下4冊。

ヘルスケアビジネス成長戦略研究


ヘルスケア産業のデジタル経営革命


医療4.0

医療白書2018年度版  AI,IoT,ビッグデータがヘルスケアの未来を変える

女性市場のヘルスケアビジネス構築

事業を推進する上でのポイント

女性向けのヘルスケアビジネスに取り組む際は、ライフコース視点で女性をセグメントし、各セグメント特有の健康問題、価値観、消費行動、ライフスタイル、ニーズを捉えることが重要。わかりやすい例で言うと、同じ30代女性でも、妊娠中の専業主婦と未婚の働く女性では、日々考えていることも行動も健康悩みも全く異なる。前者で健康問題をあげるなら、例えばマタニティーブルーや産後うつ。後者の場合はPMSや仕事によるストレス、慢性疲労などがあるだろう。

このようにライフコースが異なれば、直面している健康問題も違うので、購入する商品・サービスや興味を持つモノ・コトは当然異なる。女性は結婚・妊娠出産・離職・夫の転勤・家族の介護などの各ライフイベントで都度ライフコースが変わりそれに伴い価値観も大きく変わるため、女性を対象にビジネスでは、ライフコース視点でマーケティング戦略立案を行うのが基本となる。

なお、ヘルスケア女性マーケティング専門の当社ウーマンズの分析では、ライフコース視点で女性を分類すると、20~70代の中間層女性は20クラスターに。富裕層女性は8クラスターに分類される。各クラスターごとに特徴が異なるため、女性ターゲット策定では必ず、ターゲット女性のクラスターをチェックしておきたい(ご興味ある方は、当社販売レポート「20~70代の中間層女性・富裕層女性のクラスター(¥5,500税込)」をご覧ください)。

 

おすすめのヘルスケア市場

働く女性の増加や女性の方が長生きすることを考えると、女性市場は今後さらに盛り上がりを見せると予測できる。国内ではまだまだ商品・サービスが充実しておらず成熟していないブルーオーシャン市場の例は以下。

ヘルスケア市場のブルーオーシャン戦略事例

近年、医師によるヘルスケアベンチャーも次々に立ち上がっており、革新的で明確な差別化がされたヘルスケア&医療関連の商品・サービスが相次いで登場している。上記で紹介の書籍「医療4.0」に多数事例が掲載されているのでそちらもぜひチェックを。

ヘルスケア市場は課題山積み

ここまで見てきた通り国内のヘルスケア市場で課題はまだまだ山積みだ。ビジネスチャンスは多い。社会情勢、政策、日本の健康問題、女性市場の動向を踏まえた上でヘルスケアビジネスに取り組みたい。

 

 

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