オメガ3市場2兆円規模も、サプリ生産で魚の乱獲が問題に 商機につなげたスコットランド企業
心疾患や脳卒中のリスク低下などの健康効果で知られる、オメガ3脂肪酸。不安症状の軽減や母親の産後の不適切療育行動の軽減なども報告され、人々の健康意識の向上や高齢社会を背景に、今国内外で需要が拡大している。調査会社IMARCによれば、世界のオメガ3サプリメント市場は2023年の79億ドル(約1.1兆円)から、2032年には147億ドル(約2兆円)にまで拡大する見通しで、世界的に有望視される成長市場だ。
だがその裏では、サプリ生産のための魚の乱獲が問題に。人類のオメガ3脂肪酸の摂取のために毎年1,600万匹もの魚が捕獲され、そのうち20%は、サプリ生産に用いる養殖魚にオメガ3脂肪酸を摂取させるための”餌”として利用されているという。この乱獲問題を解決しようと、スコットランドのMiAlgae社が着目したのは、地域経済を支えるウイスキー産業だ。ウイスキーを蒸留する際に出る廃水は、藻類が好む栄養素を豊富に含んでおり、その廃水で育てた藻類を養殖魚の餌にすることで、魚の乱獲を抑えようというもの。養殖魚は藻類からオメガ3脂肪酸を摂取することもできるため、これまで餌としてきた魚の代替になる、ということだ。
国際ニュースメディアの『ユーロニュース』によると、同社は現在、蒸留所廃水発生源の近くに複数の拠点を設置し、再生可能エネルギーを利用して巨大な発酵槽を稼働させ、毎週数トンの藻類を生産しているという。藻類1トンで魚62万匹分のオメガ3を生成できるというから、乱獲の抑制効果は大きい。
ユーロニュースの取材に対し、同社は次のように語っている。「今後5年間で、私たちは持続可能な食品生産における世界的リーダーとなり、魚油に代わる拡張可能な代替品を提供することを目指している。海を蘇らせるだけでなく、増加する人口に不可欠な栄養素を生産する方法を再定義する運動の最前線に立ちたい」(参考:euro news「‘It was a bit of a no-brainer!’ How Scotland’s whisky distilleries now help prevent overfishing.」2025.5.1)。
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