女性の消費行動の特徴 ライフスタイル新潮流2019

(最終更新:2019年1月)
女性消費行動において、個人消費が低迷していると言われているが、概に「女性がお金をつかわなくなった」「買い物をしなくなった」とは言えない。お金の使い道、お金を使う時のマインドに変化があらわれていることに着目すると、女性の「消費行動を起こすポイント」が見えてくる。

女性生活者のライフスタイル潮流を示す 女性消費行動5キーワード

女性の生活スタイルの動向を分析・予測するベルメゾン生活スタイル研究所は、女性生活者へのアンケート調査から女性の生活スタイルの潮流を「イマを楽しむ。ミライに備える」と発表した。調査結果からは女性の「節約意識は維持しつつ、今と未来のQOL(クオリティオブライフ)を高めたい」という意識の高まりが伺える。そんな今時の女性たちの意識をあらわすキーワードとしてあげたのは以下5つ。(ベルメゾン生活スタイル研究所「2017年女性の生活スタイル潮流『イマを楽しむ。ミライに備える』生活スタイルへ」)

1.イマを楽しむために、「ワクワクする体験をしたい」
2.イマを楽しむために、「気持ちよく暮らしたい」
3.イマを楽しむために、「おいしいものを味わいたい」
4.ミライに備えるために、「いつまでも若さを保ちたい」
5.ミライに備えるために、「成長や自立を目指していきたい」
(引用:ベルメゾン生活研究所)

活発化する「コト消費」。どんな「コト」に興味あり?

物質的な豊かさよりも精神的な豊かさが求められるようになった近年、女性消費行動のスタイルは「モノ消費」から「コト消費」へ移行。コト消費の軸となっているのが「ワクワクできるコトをしたい!」ニーズで、ワクワクできるコト、自分が興味あるコトに関しては消費を惜しまない。例えば以下のようなコト消費へ女性の注目が集まっている。

コト消費、そしてトキ消費

  • コンサート、アニメの声優が登場するライブ
  • 歌舞伎などの芝居
  • スポーツ観戦
  • スポーツ各種(トレッキング、ボルタリング、カヌー、ヨガなど)
  • 自分磨きのための教室通いやセミナー参加(茶道、華道、手芸など)
  • 旅行
  • エコな活動やボランティア活動
  • ホームパーティ
  • DIY

コト消費とあわせ、近年は“トキ消費”もトレンド(提唱:博報堂)。トキ消費は、新たな女性の消費行動の形として今後チェックしておきたい。

伝統・歴史・文化への興味関心

食やライフスタイルで伝統回帰の流れが起きている背景もあり、特に「伝統」「歴史」「文化」をテーマにしたコト体験は、女性の「行ってみようかな」「やってみたい」を刺激。手作り教室、歴史・文化を堪能できるツーリズム、伝統料理の勉強会などが該当する。元号が変わる2019年はさらに日本文化や伝統行事への興味関心が高まりそう。2018年は控え目だった日本美術が2019年はめじろ押し。例えば次のような美術展が予定されている。

  • 1~3月:「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」森アーツセンターギャラリー
  • 2~4月:「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」東京都美術館
  • 3~6月:「特別展 国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」東京国立博物館

進む女性の多趣味化

また、アニメやゲーム、スポーツ観戦などこれまで男性がメインだった領域への女性の進出が増えていることや、野外フェスやライブの人気、若者を中心としたフォトジェニック消費、趣味や習い事の需要の高まり、食の楽しみ方が増えたこと(外食、食べ歩き、SNS発信を目的とした食選び、ホームパーティ、手作り、グルメイベントの参加など)、食やスポーツを通じたヘルスケア消費が活発になっているなど、女性全体の多趣味化が進んでいる点にも着目したい。女性の興味・関心ゴトが多様化してきたということは、消費先が分散されているということ。企業は、女性をつぶさに観察することでバリエーション豊富な「コト体験」を女性消費者に提供したい。

 

価格より質重視のメリハリ消費

「断捨離」「片付けコンサルタント、コンマリのときめく片付け術」「持たない暮らしをするミニマリスト」など、あふれ返るモノを整理整頓してシンプルに心地よく生きるライフスタイル「シンプルライフ」が近年女性の支持を得ている。“エシカル消費”や“シェアリング”も後押しし、「物を過剰に持ちすぎない生き方・暮らし方」は今後さらに広がる見込み。ベルメゾンの調査によると「今後、不用なモノを減らしていきたい」と考える女性生活者は92%でほぼ全員だ。

課題は「購入してもらう価値」の提案

とは言っても、女性たちは「消費をしない」わけではない。QOLを向上してくれるモノ・コト、本当に自分に必要なモノ・コト、気持ちを豊かにしてくれるモノ・コトであれば積極的に消費をする。「節約のために安いモノを買う」傾向は減少に転じ「不必要なモノ・コトはしっかり見定めた上で、良いモノ・コトにはお金を払いたい」傾向が強くなっている。女性によく見られる”衝動買い”という消費スタイルが一昔前の形態になる日は近いかもしれない。

シンプルライフやシェアリングが急速に浸透した2018年以降のマーケティングの課題は、「シェアではなく、あえて購入してもらう価値をどう提案するか?」。

女性の「自己投資」消費は年々活発

女性の自己投資関連消費は今後さらに大きな商機となるはず。働く女性の増加、晩婚化、生涯未婚率の上昇、少子高齢化による年金の不安、老後の不安などから、将来に備えるため資産運用を始めとした「お金」に関するマネー講座は女性の間で人気を集めている。より自分らしく働くために、あるいは人生100年時代を意識して、転職や起業、副業のためのスキルアップに励む女性は増えている。「パラキャリ」が女性たちの新たな生き方の選択肢となっているのは、そんな流れによるものだ。

ライフコースや働き方の多様化、平均寿命の延伸が進む中、女性たちの「ライフプランを積極的に描こう」とする姿勢は強くなっている。女性がスキルアップできる機会を積極的に提供したい。

2019年 女性の消費トレンド

2019年度の女性の消費トレンドと、把握しておきたい2019年の女性市場の課題については以下記事で詳細をご紹介。

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