栄養バランスアプリの動向 女性のニーズ別に特徴をチェック

食の基本は「体を作ること」であるが、今は「病気予防」「心を満たす」といった役割のほか、コミュニケーションやセルフプロデュース、ライフスタイルそのものの役割を担う場合も多い。また乳児や幼児、思春期や成長期、そして成人、中年、高齢者とそれぞれの世代や時期ごとに必要な栄養素やカロリー、献立は異なり、つまり「バランスの良い食事」の定義は世代や性別、ライフスタイルによって変化する。食のニーズやありかたが多様化する中、注目されているのがパーソナル対応してくれる「栄養バランスアプリ」だ。

栄養バランスアプリとは?

栄養バランスアプリとは?

栄養バランスアプリとは、アプリ上に食事を記録することで、食事のバランスや食事時間、体重などを管理できるアプリのこと。食事記録をすることで自分の食事の傾向を客観的に見る、不足しがちな栄養素や食材に気づく、食べ過ぎや偏食を予防することができるといったメリットがある。

「食事記録」「栄養バランス管理」「栄養計算」「カロリー管理」「体重管理」といったものから「糖質管理」「食事時間管理」「レシピ提案」「外食管理」などさまざまなタイプのものがここ数年で続々と登場している。

女性にとってのアプリの利用メリット

育児中ママ、忙しい働く女性、一人暮らしを始めたばかりの女性にとって、日々の食事のバランスを整えることは容易ではない。なかなか自炊できない、外食の誘いが多い、好きな食べ物やメニューばかり食べてしまうという女性は多い一方で、「食生活を改善したい」というニーズは高い。食事や栄養のバランスが整うことによって「よりキレイに」「より健康に」が叶うからだ。

そんな女性たちのニーズに応えてくれるのが栄養バランスアプリ。アプリを使って日々の食事を記録し、データ化するだけで「食事や栄養の改善」に効率的に正しく取り組むことができる。

またひとりひとりのニーズに合った献立を教えてくれる、足りない栄養素を教えてくれる、といった1:1のパーソナルな食事コーチの役割も担っており、「並走してくれる心強い味方」「継続のモチベーションになる」と女性たちに喜ばれている。では具体的にはどのようなアプリが登場しているのか?ニーズ別に、栄養バランスアプリを見ていこう。

 

ニーズ1:私に適した栄養バランスで食事を摂りたい

日々の食事の栄養バランスをチェック

数ある栄養バランスアプリのなかでもベーシックなものが「私に適した栄養バランスで食事を摂りたい」ニーズを叶えるアプリ。個々の体格・体質・目的に応じ、食べるべき食材やメニューをアプリが提案してくれる。パーソナライズされた情報が得られるので取り組みやすく、食事改善による体の変化も感じられやすい。

  • タニタ社員食堂レシピ
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・話題となった「タニタ社員食堂レシピ」のアプリバージョン。タニタ食堂が得意とする「1食500kcal」のレシピを1,000以上掲載。カロリーや糖分など、ダイエットアプリによく見られるダイエット機能のみならず、塩分にも着目し、健康志向の高い人向けに作られている点がポイント。タニタ管理栄養士への質問機能も搭載。ただし無料で利用できるコンテンツは少なく、アプリを使いこなすには月額200円(税別)の有料会員になる必要がある
  • ベジタリアンレシピ
    ・480円
    ・iPhoneのみ
    ・ベジタリアンを対象としたアプリ。ベジタリアンといえばサラダの印象が強いが、同アプリにはボリューミーなメインディッシュからスイーツまで、90ものレシピが掲載されている。写真がおしゃれで、ベジタリアンでなくても食べてみたくなるメニューが満載。ベジタリアンの中でもビーガンやグルテンフリーといった厳格な食事管理を行っている人にも対応
  • わたしの水バランス : 毎日の飲み物トラッカーとリマインダー
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・水分補給を管理してくれるアプリ。体重や性別を登録することで体型に合った必要水分量がわかり、一日の水分摂取量(ノルマ)に向かって摂取すべきタイミングで知らせてくれる。ついジュースやコーヒーばかり飲んでしまう人、水分補給を忘れがちな人、脱水症や熱中症、便秘予防をしたい人におすすめ。「ゲーム感覚で水分補給を怠らないようになった」といった声も

ニーズ2:時短かつ栄養バランスの良い食事を摂りたい

栄養バランスの良いレシピ・献立を簡単検索

働く女性のキーワードの一つが「時短」。「手間をかけなくても栄養バランスはしっかりカバーできる」を叶えてくれるアプリが人気。

  • タベソダ 生協パルシステムのお買い物アプリ
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・子育て中のママから人気のサービス「生協パルシステム」の活用をサポートしてくれるアプリ。国産・産直・環境にこだわり、安心・安全食材を届けてくれるパルシステム。アプリに掲載されているレシピを見ながらパルシステムの商品が入力なしで注文できる。献立を考えずに済む、隙間時間にアプリで買い物ができる、生活雑貨も一緒に買えると“時短”できる点が高評価。カット済み・タレ付きの「3日分の時短ごはんセット」は中でも大人気。手抜きの罪悪感からも解放される
  • 最長1週間の献立が簡単に作れるme:new(ミーニュー)
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・栄養バランスは保ちながらも、好みに合わせた献立(夕食のみ)を1週間分自動的に提案。さらに買い物リストも作成してくれるのが嬉しい。献立の必要材料の量、調理時間、カロリー、塩分も確認できる。料理時間の時短だけでなく、まとめ買いや、売り場での買い忘れ防止などの時短にも配慮。また朝と昼の食事は乱れてしまっても、夕食だけはバランスよく、家族のために、といった設計が女性から支持されている

 

ニーズ3:ダイエット中の食事を管理したい

ダイエット中の食事をアプリで管理・計算

「食べないダイエット」より「食べるダイエット」が主流の時代。「何を食べないか」より、「何を食べるべきか」を知りたい人をサポートするアプリや、ダイエットの王道である「カロリー管理」をサポートしてくれるものなどが人気。

  • カロミル – ダイエット・糖質制限などの栄養管理
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・特に外食が多い人におすすめ。食べる前に料理の写真を撮るだけでOK。細かい入力は一切不要。食事の写真を撮るだけで、AIがカロリーだけでなくタンパク質や糖質を瞬時に計算してくれる。写真を撮らなくても自分の食べたものを選ぶだけで、食べたものに含まれる栄養素がすぐに確認できる。その日に足りなかった栄養素を見える化し、1週間で「帳尻合わせ」をサポートしてくれる機能も。糖質制限やロカボダイエットをしたい人にも便利
  • 栄養士サポートとカロリー管理で簡単ダイエット!「メルシー」
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・減量の目標達成をサポートしてくれる、外食やコンビニの低カロリー食や食事を提案。現在地から5分圏内のお店を紹介してくれるので、職場でも通勤途中でも使える。外食でも糖質制限や低カロリーの意識と習慣が身につく。食事写真を撮影して、管理栄養士からアドバイスをもらえる機能もあり
  • あすけんダイエット 体重記録とカロリー管理アプリ
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・簡単な食事記録(入力)だけでカロリー計算と体重管理ができる人気アプリ。食べたものを記録する(または写真で解析)だけで、食べているもの、摂取している栄養素、バランス等が見える化される。それによって食欲がコントロールされ、3ヶ月平均で3.16kg痩せるとのこと。専属管理栄養士のアドバイスや体重グラフ表示など、モチベーション維持をサポートしてくれる機能も多い
  • カロリーママ AI管理栄養士がダイエットサポート
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・管理栄養士のキャラクターがカロリーママ。カロリーママに食事の写真を送信すると、毎食ごとにアドバイスがもらえ、入力した目標体重に対し摂取カロリー量のアドバイスや運動のアドバイスを個別にしてくれる。カロリーママとタイムラインのチャット形式で会話ができるので「楽しい」「応援してもらえて嬉しい」と高評価。女性の心を掴んだ設計だ

 

ニーズ4:妊娠中の栄養バランスを整えたい

プレママの細やかな栄養管理をサポート

妊娠中のプレママは意識的に摂りたい栄養素(葉酸や鉄分)、あるいは摂取を控えたい栄養素(糖質やカフェイン)など、細やかな健康管理・栄養管理が必要になる。体重管理についても厳しい産院が増えている。それをサポートしてくれるアプリが多数登場。

  • 妊婦手帳
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・医師監修アプリ。お腹の赤ちゃんの様子が毎日更新され、管理栄養士が監修した妊娠週数ごとにおすすめのレシピも確認できる。レシピは「週数ごとのオススメ」「体調別」「症状別」とわかれていて、妊婦さんが気をつけるべき「妊娠糖尿病」「妊娠高血圧症候群」などの予防にも役立つ

ニーズ5:栄養バランスの良い赤ちゃんの離乳食を知りたい

赤ちゃんに適切な栄養バランスをチェック

離乳食は初期から後期まで段階があり、それぞれの段階に応じて必要な栄養や与えるべき栄養が異なる。特にはじめての赤ちゃんの場合、離乳食作りに悩むママは多い。離乳食の作り方や献立の提案、レシピの提案なども専用アプリがサポートする時代だ。

  • きほんの離乳食 管理栄養士が監修のレシピ&基本情報
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・栄養満点な離乳食レシピを250点以上収録。赤ちゃんの「月齢」「食材」などで検索をかけることができる。食材の使い方や保存のコツ、離乳食作りを助ける道具の紹介まで網羅
  • ステップ離乳食 成長にあった食材と手作りのための準備アプリ
    ・無料
    ・iPhone・アンドロイド版あり
    ・ゴックン期、モグモグ期など、発育ごとの「食べていい」食材を紹介。離乳食Q&Aでは、困った時に役立つ情報を豊富に掲載。他のママユーザーに質問ができる「ひろば」があるのも嬉しい

 スマホこそパーソナル栄養トレーナー

食事も運動も体重もスマホが管理する時代。スマホはパーソナルトレーナーの役割も果たすようになった。アプリによっては、スマホやスマートウォッチに搭載されている歩数計や心拍計と連動させることも可能で、人工知能が適切な摂取カロリー・運動・栄養素・睡眠時間などをパーソナルに提案、管理してくれる。特に「適切な栄養管理」は個人差が大きいため、パーソナルに提案してくれ、頑張った時だけでなくうまくいかなかった時にも二人三脚で並走してくれるアプリは、女性からの評価が高い。今のところ、20~40代を中心としたスマホ世代の利用が目立つが、今後はシニア女性特化型や介護特化型の栄養バランスアプリ登場にも期待したい。

 

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